在庫管理術
製造業のDX化とは【製造業の課題とDX化のメリット・ツール・成功事例】

製造業のDX化とは
最近、度々耳にすることの多いDX(ディーエックス)。
そもそも、DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。
そして、製造業のDXとはどんなものなのか、わかりやすくまとめると、
- 「IT化や、IoTやAIなどのデジタル技術を活用することだけではなく、デジタル技術を使い、これまでとはまったく異なる新しい便利なビジネス形態を実現すること」
- 「デジタル技術の活用によって、企業のビジネスモデルを変革。新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるように自社の競争力を高めていくこと」
参照:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」
参照:IPA「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」
日本でも経済産業省が中心となり、国をあげてDXを推進していることもあり、さまざまな業界でDX化が進められています。
そして、製造業においては、労働者不足が深刻な課題となっているほか、国内外の市場での競争激化、資材や物流コストの高騰などを受けて、製造現場の生産性の向上が求められているという背景があります。
このような理由から、製造業のDX化は、どの業界よりも急務であると言われています。
この記事では、IoT(モノのインターネット)やAIといった最新のデジタル技術を利用して、企業を取り巻く変化に対応し、業務を効率化する製造業のDX化についてわかりやすく説明。
製造業が直面している課題、DX化することのメリット、なぜDX化が進まないのか、DX化に必要なツールを具体的に解説していきます。
また、DX化に成功した製造業の実例やDX化をサポートする今、話題のIoT機器についてもご紹介!
製造業が直面している課題
製造業は、原材料などを加工することによって製品を生産・提供する産業であり、日本社会の基盤となる「もの作り産業」です。
機械関連から医薬品、電子部品、食品、衣料品、生活雑貨、木材…と多岐に渡ります。
経済産業省・厚生労働省、文部科学省の3省が共同で公開した「2022年版ものづくり白書」によると以下のような課題があげられています。
少子高齢化・労働人口減少による労働不足
製造業の就業者数は、約20年間で157万人の減少。若年就業者数は、約20年間で121万人減少。
国際競争力の低下
人件費が安く、ローコストで生産できるシンガポール、香港、台湾などいわゆる新興国が台頭。
2022年IMD(世界競争力年鑑)では、日本は過去最低で34位となっています。
生産コストの増加
ウクライナ情勢の緊迫により、もともと上昇傾向にあった原油価格がさらに高騰。
半導体不足
2021年からさまざまな部素材不足が発生。特に半導体不足の影響は、加工組立製造業だけでなく、基礎素材製造業まで幅広く及んでいる。
脱炭素化やCO2排出量削減に伴うコストの負担
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言。
工場での大量のエネルギー消費などもあり、業界別にみてCO2排出の占める割合の高い製造業界のカーボンニュートラル化の促進は必須。
人材育成が進まない
「指導する人材が不足している」(2020年度)とした事業所が6割を超える。
*参照:「2022年版ものづくり白書」
長年、日本を支え続けている製造業ですが、近年はこのような課題が深刻化しており、早急な改善策が求められています。
そのために国を挙げて推進しているのが製造業のDX化なのです。
製造業のDX化のメリット
では、実際に製造業のDXを実現することで、何ができるようになり、どんなメリットが生まれるのかを具体的に見ていきましょう。
人の手や目視で行なってきたことをデジタルや機械に置き換えることで…、
生産性の向上
在庫管理や、受注・発注記録といった管理業務を効率化。
人的ミスが少なくなるため、製造工程でのトラブルや生産ロスを削減し、生産性が向上。
コスト削減
人件費や採用費・人材育成費などを削減することで、新たな労働力の確保が可能に。
また在庫管理などの管理業務のミスが減ることにより、資材や材料、原料費の削減にも。
新しいサービスや製品の開発
DX化で収集したデータを分析することで、市場の変化に対応。新たなサービスや製品の開発が可能に。
製造業のDX化の課題【進まない理由】
国も推進している製造業のDX化ですが、実はなかなか進まないという意見もあがっています。
その理由はというと…。
日本企業の営業利益率と企業行動の関係を分析すると、製造業における2017年度から2020年度の平均値で、営業利益率が高い企業では積極的に有形・無形の設備投資や研究開発投資を行っているという報告*があります。
一方で営業利益率が低い企業では、設備投資は少ないが借入金増加率が高いという報告があることから、
-
- 中小企業や営業利益率の低い企業はDX化に投資できない
という現実問題が浮き彫りになります。
さらに、新型コロナウィルスによる業績悪化、資材や燃料、物流費の高騰を懸念する企業トップも少なくなく、- デジタル投資によってビジネスリターンが得られないリスクを感じている
- 平時の効率性や生産性を重視して、旧来の基幹システムの更新や保守を志向し、
新たなデジタル投資に背極的でない - DX推進に関わる人材不足
-
という背景もあり、こられも製造業のDX化が進まない理由として考えられています。
ただし、さまざまな課題を早急に解決する危機感を持つ企業トップの中には、 -
- 不測の事態に対する柔軟性を重視し、
ビジネス変革や人材育成を志向したIT投資を志向
- 不測の事態に対する柔軟性を重視し、
-
する人も増えており、DX化を導入するか、しないかの企業トップの判断に注目が集まっています。
- 参照:製造産業局総務課「製造業におけるDX」
-
製造業のDXの成功事例
- 実際にDX化することで成功している製造業の事例をいくつかご紹介します。

-
沖電気工業株式会社
- 今まで工場ごとに分かれていた、設計部門から出される図面等などの各種設計情報を共通化。
具体的には、各工場の生産形態の特徴や製造に対する考え方、知見等を整理・把握し、設計デ-タを各工場で受け取れるようにした。
工場間で異なる生産管理システム(ERP)の統合検討を開始。
トヨタ自動車株式会社
効率や費用対効果重視の風土を鑑み、まず「工場IoT」から着手。工場横断の共有プラットフォームを2~3年かけて段階的投資。
製造側はデジタル技術を使ったトヨタ生産方式として、各社員が小規模なテーマを立案し、実行し、効果を出すというボトムアップの取り組みを行い、人材の育成も併せて進めた。
株式会社今野製作所
業務プロセスの分析ツールを活用し、自社に合ったプロセス整理をおこなって業務を可視化。
業務プロセスを最適化するため、必要なシステムツールの小規模な開発を行い、業務の改善に活用。
- 参照:製造業DX取組事例集-経済産業省
製造業のDX化スタートアップ【方法・ツール】
- では、製造業のDX化のスタートアップにはどのような方法やツールがあるのでしょうか。
実際に導入されている主なツールをご紹介します。
RPAツール(業務自動化ツール)
RPA(Robotic Process Automationの略称)ツールとは、人間が手作業で行っているルーティン業務を、ロボットで自動化することのできるツール。
コンピュータやサーバーにソフトウェアを入れて、バックオフィス業務で発生し誰がやっても同じ結果になるパソコン上の作業を自動化する仕組み。
ビッグデータ分析解析・データ見える化ツール
これまでのデータベース管理システムなどの技術では、管理したり分析したりすることが困難な大量のデータ、いわゆるビーグデータを分析解析するツール。
最新の情報を共有(見える化)することができるので、素早く問題点や課題を把握することができ、その課題に対して、業務データを迅速に用意し、解決のための対策分析で経営層の意思決定をサポートしてくれる。
データ分析の手法やツールは様々あるので、自社に合ったツール選びが重要。
生産管理システム
製造業の現場において生産計画に基づき、製品を製造する過程で生じる課題を解決し、生産管理業務を一括管理することに特化したシステム。
需要予測、生産計画、調達計画、購買計画、受注出荷、工程管理、製造管理、品質管理、設備管理(保全)、原価管理などさまざまな機能がある。
在庫管理システム
過剰在庫や欠品、不良在庫などをなくすために在庫情報や入出庫情報などを入力し、正確な情報を把握・管理するためのシステム。
手作業や目視で伝票やエクセルなどを使ったアナログな在庫の管理を自動化・効率化。
次の章では、誰でも簡単に在庫管理の自動化・見える化が可能なソリューションとして、現場のDXニーズに応えるIoT機器をご紹介します。
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