在庫管理術
【図解】ジャストインタイム(JIT)【意味・歴史・考え方と三原則・目的・事例・デメリット・在庫を適正化しコスト削減するIoT】

ジャストインタイムとは【意味・歴史】
ジャストインタイム(英語:Just In Time:JIT)とは、「必要なものを、必要な時に、必要な量を生産することで、在庫(経費)を徹底的に減らして効率化すること」。製造業や物流業界などの現場で用いられている生産方式のひとつです。
別名ジャストインタイム生産方式とも言われています。
そのルーツや歴史は、トヨタ自動車の創業者(2代目社長)である豊田喜一郎氏が合目的経営の観点から導入したトヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)にあります。
トヨタ生産方式は、次の2つの考え方を柱として確立されてきました。
- 自働化(トヨタではニンベンの付いた働)
「異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない」という考え方と、各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する考え方 - ジャストインタイム
この記事では、製造業をはじめ、さまざまな現場で導入されているトヨタ生産方式の柱の1つであるジャストインタイムの目的やメリット、カンバン方式との違い、ジャストインタイム物流、事例、デメリットについてわかりやすく解説。
ジャストインタイムに必要な在庫削減・在庫適正化を効率化するIoTについてもご紹介します。
生産工程とは
生産工程とは、原材料が加工され製品完成するまでの生産活動の進行過程のことで、やるべきことが順番に何段階も分かれています。
大量生産の場合、工程ごとに人員を分けることで、
- 作業員1人の作業スピードが早い
・作業への習熟度が高い
・ミスも減る - 途中の仕掛品を前もって作って置けるので、その工程の時間を削減できる
といったメリットがあるため、生産効率が高まります。
そして、生産効率が高まることで、
- 単位時間で生産できる量が増えるので、機会損失がなくなり売り上げアップ
- 1つあたりにかかる人件費が下がる=コストが安くなるので利益が上がる
というメリットが生じます。
このように大量生産を行う製造業において、生産工程をしっかり管理し生産性を高めることは大変重要なことであり、そのために生まれたのがジャストインタイムというわけです。
ジャストインタイムの前提
ジャストインタイムの前提として、平準化(へいじゅんか)があります。
平準化とは、製造業において、「量」や「種類」を均等にばらして生産する手法の一つ。
平準化生産は、いつでも一定に生産量や生産品目が流れ続けている状態をあらわします。
トヨタ生産方式のジャストインタイムは、この平準化生産ができていることが前提です。
ジャストインタイムの考え方・三原則
ジャストインタイムの考え方は、生産現場の3Mであるムダ・ムラ・ムリを徹底的になくし、良いものだけを効率良く造ることです。
注文のあった製品・商品を、より早く届けるために、以下の流れで最も短い時間で効率的に造ります。
- 受注(注文を受けた)したら、なるべく早く生産ラインの先頭に生産指示を出す
- 組立ラインは、どんな注文がきても造れるように、全ての種類の部品を少しずつ取りそろえておく
- 組立ラインは、使用した部品を使用した分だけ、その部品を造る工程(前工程*)に引き取りに行く
- 前工程では、すべての種類の部品を少しずつ取りそろえておき、後工程*に引き取られた分だけ生産する
*前工程・後工程:ものをつくる順序(工順)を意識した場合に使われる工程の呼び名の1つ。連続した2つの工程において順序が先の工程を前工程という。それに対して、順序が後の工程を後工程という。
そして、上記の内容を簡潔にまとめたものをジャストインタイムの三原則とよんでいます。
- 後工程引き取り
- 工程の流れ化
- 必要数に応じてラインタクト*を決定
*ラインタクト:1つの製品(同一品種)を造るのにかかる時間
ジャストインタイムの目的
ジャストインタイムが導入される前の製造業では、1910年代にアメリカのヘンリー・フォードがつくりあげたと言われる流れ作業の大量生産方式が主流でした。
しかし、大量生産方式には、急な市場のニーズの変化に対応ができないため機会損失や過剰在庫といったリスクがあったため、考え出されたのがジャストインタイム生産方式です。
そして、ジャストインタイムの目的をわかりやすく簡単にまとめると
- 停滞を解消する際の考え方・指針
- モノ・情報が停滞なく流れていくために1つずつ問題を解消していくこと
となります。
ジャストインタイムのメリット
「必要なものを、必要な時に、必要な量を生産することで、在庫(経費)を徹底的に減らして効率化する」ジャストインタイムは、市場環境の変化に柔軟に対応できるため、以下のようなメリットが生まれます。
- 在庫の適正化(過剰在庫や余剰在庫の削減)
- 管理コスト削減(保管スペースや光熱費、在庫管理費、人件費の削減)
- 販売機会損失の防止
- リードタイムの短縮
ジャストインタイムとカンバン方式の違い
ジャストインタイムとよく比較されるかんばん方式は、同じくトヨタ自動車が開発した生産方式です。
具体的には、製造する商品には「かんばん」と呼ばれる商品管理カードがあり、商品名・品番・保管場所など詳細な情報が書かれています。
そして、このかんばんの指示通りに生産することで無駄がなくなり、その後の工程もかんばんを確認することで詳細を把握できるという仕組みです。
2つの違いを簡単にまとめると…
カンバン方式は、ジャストインタイムを達成するためにトヨタが作り上げた独特の生産方式であり、手段。
わかりやすく言えば、ジャストインタイムが目的で、かんばん方式はその道具ということです。
ジャストインタイム物流
主に製造業の現場で用いられているジャストインタイムですが、物流の現場でも「ジャストインタイム物流」と呼ばれ、広く導入されています。
ジャストインタイム方式を応用した「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ届ける」配送システムです。
ジャストインタイム物流では、次のようなメリットがあります。
- 生産現場での在庫削減
- 作業効率アップ
- 在庫保管スペース改善
- 管理コストの削減
ジャストインタイムの事例
ジャストインタイムの最も代表的な事例は、その起源でもあるトヨタ自動車です。
トヨタ以外の事例には次のようなものが知られています。
- セブンイレブン・ジャパン(大手コンビニ)
「仮説、検証、単品管理」という独自の経営システムを基に、「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ生産、管理する仕組み」を構築。 - 大手物流会社や日本郵便
郵便物や荷物、小包の仕分け・発送作業の効率化、人件費や輸送費といったコストを大幅削減。
ジャストインタイムのデメリット・問題点
ジャストインタイムには大きなメリットがある反面、以下のようなデメリットがあるとも言われています。
- 在庫切れ・在庫不足
必要以上に在庫を持たないので、災害や天気、新型コロナといった不慮の事態の際に在庫切れ・在庫不足により、生産が止まってしまう危険性も。
コロナ渦で原材料となる半導体不足が大きな問題になった一因として、部品メーカー各社がジャストインタイムによる在庫管理に依存しすぎたため、という意見も上がり、ジャストインタイムを見直す必要性も検討された。 - 下請け業者へのしわ寄せ
在庫を徹底的に削減するため、その都度生産するので、必要な部品や資材を大量発注することがなく、下請け業者がその都度納入する必要がある。
人件費や運搬費、部品や資材の在庫保管費などが負担になることもあり、「下請けいじめ」と揶揄されることも。 - 導入コスト
カンバン方式の仕組みを構築したり、工程の流れ化などジャストインタイムの三原則を新たに構築するためのコストがかかるため、中小企業には不向きと言われている。
ジャストインタイムに欠かせない在庫削減を効率化するIoT
新型コロナウイルス、人手不足、原材料や物流のコスト高…などさまざまな経営問題に直面している製造業にとって、特に効率化が求められているのが、在庫管理と発注業務といった生産工程をしっかり管理することです。
発注ミスの発生や、在庫不足や過剰在庫に陥ることは、生産性の低下はもちろん、経営赤字を招く危険性が高まってしまいます。
そこで注目され、近年続々と各企業で導入されているのが在庫管理・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IIoT=「モノのインターネット化」
IoT機器を導入することにより、「自動化」や「見える化」が可能になり、発注・棚卸、現場作業の改善、在庫管理、生産管理なども効率的に行えるようになります。
このように稼働状況や生産状況、在庫などのデータを分析することで、人力では発見しにくい問題や傾向なども把握できるようになり、生産性の向上やロスタイムの削減につながります。
デジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためにIoTは欠かせない要素となります。
次の章では置くだけで在庫の見える化・自動発注が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
スマートマットクラウドで在庫管理・発注を自動化
スマートマットクラウドは、現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、在庫管理・発注を自動化するDXソリューションです。
スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
タグやバーコードの貼り付け・読み取りなどの作業負担もなく、管理画面から実在庫の自動記録や、確認ができます。
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
置く場所を選びません
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API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
安心サポート
現場への導入に向けては、専門のカスタマー・サクセス担当が、お客様を厚くサポートします。