在庫管理術

人手不足【日本の現状・深刻な業界・影響とデメリット・原因・解消法と成功事例】

日本の人手不足とは

この記事では、現在進行形で進行している日本の人手不足の原因と解消法をわかりやすく解説します。人手不足解消の対策に乗り出し成功している具体的な事例もあわせて紹介します。

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目次

日本における人手不足の現状

人手不足とは企業の経営を続けるにあたって、従業員が不足し、思うように事業が行えなくなる状況のことを言います

日本における人手不足の状況は深刻化しており、大きな社会問題になっています。

新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言などによる経済活動の停滞により、人手不足は一時的に緩和されていました。しかし新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、行動制限が解除されたことにより、再び人手不足の割合が上昇しつつあります。

厚生労働省による「令和5年版 労働経済の分析」によると、ほぼ全ての産業で人手不足感がコロナ禍前の水準まで戻ってきています

※参照:「令和5年版労働経済の分析」労働経済の推移と特徴

人手不足が深刻な業界

令和6年2月に厚生労働省が実施した労働経済動向調査によると、医療・福祉の73%、サービス業(他に分類されないもの)の72%、宿泊業・飲食サービス業の69%の事業所が未充足求人があると回答しています。

参照:厚生労働省「労働経済動向調査(令和6年2月)の概況」未充足求人の状況

東京商工リサーチ2024年4月上旬に実施したアンケートによると、業種別で、正社員が「非常に不足」・「やや不足」していると答えた企業は建設業が84.41%、運輸業が77.95%、情報通信業が76.34%、サービス業が69.74%、製造業が64.97なっています。

東京商工リサーチ「2024年 企業の「人手不足」に関するアンケート調査」※引用:東京商工リサーチ「2024年 企業の「人手不足」に関するアンケート調査

業界別人手不足の現状

人手不足が深刻な業界には、提供しているサービス・製品のニーズが増えている、業務内容の機械化・自動化が難しい、就業者の労働条件の改善が進んでいないなどの共通点があります。

人手不足が深刻な業界の共通点

●建設業

公共事業増加で需要が拡大しているにも関わらず、職員の高齢化が進み、労働条件の厳しさも改善されにくく、労働人口減少に歯止めがかかりません。

●情報通信業

2030年には最大で79万人不足すると経済産業省が発表している通り、IT人材の不足が顕著となっています。

運輸業

労働条件が悪く、労働力人口の減少が止まらない一方で、通販利用件数は増加し続けています。

●サービス業

飲食店、宿泊業などもともと人手不足の割合が高かった業種では、アフターコロナの経済活動正常化により人手不足感が再燃しています

●製造業

「2023年版ものづくり白書」によると、製造業全体で約11万人の人手不足状態にあります。人材育成の問題課題も強く「指導する人材が不足している」と回答した事業所が全体の6割を超えています。

参照:経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2023年版ものづくり白書概要

地方の人手不足はより深刻

中小企業を中心に、地方圏の人手不足感の水準が、三大都市圏の水準を上回って推移しており、特に正社員に対する人手不足感は、地方圏でより高くなっています。

その主な要因をまとめてみました。

  • 三大都市圏への若者の流出
  • 事業所の採用活動・人件費資金不足
  • 働き方改革・デジタル化遅れ

一方で地方には広大な土地を活用する製造業の大規模工場があり、企業は生産ラインを維持するため人材確保が急務となっています。

地方人手不足の原因
※三大都市圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県を指す

地方空港の人手不足対策事例を見る>>

人手不足の影響

職場環境の悪化

職場環境の悪化は、人材の定着を阻害するだけでなく「仕事を辞めさせてもらえない」「いくら頼んでも新しいスタッフを雇わない」「あんなブラック企業、ざまあみろ」などの悪評につながり、さらに人材確保が難しくなる、という負の連鎖をもたらします。

●「残業時間の増加、休暇取得の減少
医療・福祉関係専門職、技術系専門職などにおいて顕著にみられます。

●「従業員のやりがいや意欲の低下
製造・生産工程職、事務職(一般事務など)などにおいて顕著にみられます。

人材育成や新たな開発機会の減少

優秀な人材が育たない、競争に打ち勝つだけの新製品や新商品の開発ができなくなり、事業縮小に追い込まれるおそれがあります。

売り上げダウン

製造やサービスの提供が十分にできないことにより、生産性低下、サービスの低下、販売機会損失といった不利益が生じ、最悪の場合は廃業、倒産に追い込まれることがあります。

人手不足の原因【なぜ起こったのか?】

少子高齢化

内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は、2021年10月1日現在、1億2,550万人です。65歳以上の人口は3,621万人となり、総人口に占める高齢化率は28.9%となっています。

2020年の主な世界の先進国と比較すると、日本の高齢化率は最も高いことがわかります。今後も高水準が続くと見込まれています。

先進諸国高齢化比率

参照:内閣府「令和4年版高齢社会白書

生産年齢人口の大幅減

生産年齢人口とは、生産活動の中心にいる人口層のことで、15歳以上65歳未満の人口がこれに該当します。

日本の生産人口は、7496万2731人で、対前年では60万3821人(0.80%)減少しています。1995年に8716万人とピークに達し、その後も減少が続いており、2050年には5,275万人に減少することが見込まれています。

生産年齢人口の減少により、さらなる労働力の不足が懸念されています。

参照:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数

有効求人倍率の上昇

有効求人倍率とは、有効求人数を有効求職者数で割って算出した数値です。有効求人倍率で売り手市場・買い手市場を区別します。

  • 売り手市場:1倍を上回り「求職者よりも求人数が多い」状況
  • 買い手市場:1倍を下回り「求人数より求職者の方が多い」状況

 

有効求人倍率が高いほど人手不足状態にあると言えます。
2022年6月の有効求人倍率は1.27倍だったので、「求職者よりも求人数が多い」=人手不足状態である、ということになります。

有効倍率は、2008年のリーマンショック後に下落し、2009年の有効求人倍率は0.42と一人あたりの求人件数が0.4件程度だったことを考えると、現在はより深刻な人手不足になっていることがわかります。

参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年6月分)

終身雇用制度の崩壊

かつて、日本に高度経済成長をもたらした理由のひとつに「終身雇用」による従業員の高い忠誠心がありました。バブル崩壊やリーマンショックを経て、経済の低成長に突入している日本では、終身雇用の見直しや撤廃を図る企業が増え、それに伴い、人々の働き方も大きく様変わりしています。

終身雇用制度崩壊は次のような変化をもたらしました。

  • 非正規労働者の増加:正規労働者からの転換で人件費を抑えようとする企業の増加
  • 離職率・転職率の上昇:外部で経験を積むことに対する労使双方の抵抗感の薄れ


人材獲得競争の激化

日本は現在、売り手市場です。外資系企業の日本進出に伴う人材確保のグローバル化に伴い、人材競争はさらに激化しています。

また、知名度の高い大企業に比べ、中小企業はより激しい人材獲得の競争に打ち勝つ必要があります。

外国人労働者の減少

新型コロナウィルス以前は、大勢の外国人労働者が来日していました。水際対策として、政府が行った外国人の新規入国拒否の結果、その数はかなり減少しました。

さらに、記録的な円安の影響も深刻です。日本の賃金の水準が国際的に見て以前より下がり、逆にアジア圏の国での賃金が上がっているため、わざわざ日本で働くメリットがないという風潮が広まりつつあります。

外国人労働者が多く働く業種である製造業、飲食業、ホテル・宿泊業、小売業が、この影響を受けています。
外国人労働者が従事する産業別の割合は、「卸売業、小売業」が18.5%で最も多く、次いで「製造業」が18.4%、「宿泊業、飲食サービス業」が14.3%の順となっており、人手不足が顕著な業界が目立ちます。

参照:「外国人雇用状況の届出状況について(令和3年10月末現在の結果)

スキルのミスマッチ

採用される側が本来のスキルを活かせる職種や職場ではない場合、早期の離職や転職につながります。スキルのミスマッチを未然に防ぐには、採用段階での適性の見極めと仕事内容の詳細の事前共有が重要です。

具体的には下記の対策が有効となります。

  • 募集時の企業情報・仕事情報の正確な開示
  • 面接官のトレーニング
  • 前職の関係者に求職者についてヒアリングする「リファレンスチェック」の実施
  • 自社の従業員や取引先から人材紹介を受ける「リファラル採用」の強化

人手不足の解消法

人手不足を解消するには、以下の点がポイントになります。

  • 転職や離職せずに、長期間働いてもらう
  • 人材育成や技術継承をスムーズに行う
  • 省人化・自動化で労力を削減、効率化を図る

これらを可能にする企業が行うべき人手不足の解消には以下の方法があります。

人手不足の解消法

働き方改革

厚生労働省では、「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。と定義しています。

具体的には、

働き方の見直し

長時間労働をなくし、年次有給休暇を取得しやすくすることなどによって、個々の事情にあった多様なワーク・ライフ・バランスを実現します。

  • 1人1年あたり5日間の年次有給休暇の取得を、企業に義務づけ
  • 月60時間を超える残業は、割増賃金率を引上げ(25%→50%)
  • 子育て・介護しながらでも、より働きやすい「フレックスタイム制」の拡充


参照:厚生労働省「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて)

職場環境の改善

職場環境の改善とは、適切な空調・温度・照明管理を行う、休憩室などを設置するなど、職場を疲労やストレスを感じることの少ない快適な状態にすることです。

厚生労働省「労働安全衛生法第3条」では、事業者に対して、快適な職場環境形成のための措置として以下の4つの指針が示されています。

快適な職場環境形成のための4つの指針

1.作業環境の管理
空気環境、気温、湿度条件などの作業環境が不十分で不適切な場合、社員の疲労やストレスを高めるため、業務に従事する社員に適した状態に維持管理する。

2.作業方法の改善
不自然な姿勢での作業や大きな筋力を必要とする作業は、社員の心身の負担が大きいため、負担が軽減されるよう作業方法の改善を図る。

3.心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置・整備
業務による疲労を速やかに回復できるよう、休憩室といった疲労を回復できる施設の設置や設備を図る。

4.その他の施設・設備の維持管理
洗面所、トイレなど社員の職場生活において必要となる施設・設備については清潔で使いやすい状態となるよう維持管理する。

このほか、
・健康診断
・ストレスチェック
・禁煙
・テレワーク環境の整備
などに力を入れることも大切です。

参照:厚生労働省「労働安全衛生法

狭い倉庫での在庫確認作業をなくした事例を見る>>

給与や労働条件の改善

厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」では、以下のようなルールが定められています。一部を抜粋してご紹介します。

  • 賃金の最低限度額と支払い方法
  • 労働時間・休憩・休日
  • 労働安全衛生
  • 妊産婦の健康管理や育児休業・介護休業
  • 障害者への差別の禁止と合理的配慮の提供

参照:厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール

社内研修やスキルアップのためのサポート

新人研修や従業員のスキルアップのための施策を充実させることによって、新人に仕事へのやりがいや向上心を身につけさせることが大切です。

そのためには、以下の対策が有効です。

  • 求職者の特徴や性格、スキルを把握
  • 上司や人材育成者の研修
  • 目標を設定、達成状況を見える化
  • 正当に評価される実力主義の評価制度を作る
  • 資格支援制度
  • 書籍購入費用負担
  • 外部研修やセミナー費用負担

 

副業の許可

一般社団法人 日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケ―ト」によると、常用労働者数が5,000人以上の企業は、 83.9%が「副業を認めている」または「副業を認める予定」と回答したことが発表されています。

副業を認めたことによる効果として

  • 多様な働き方へのニーズの尊重
  • 自律的なキャリア形成
  • 本業で活用できる知識・スキルの習得
  • 人材の定着
  • 人材の確保

といったことが上位にあげられており、副業は人手不足解消に役立っていることがわかります。

参照:一般社団法人日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケ―ト(2022年10月11日)」

AIやDX、IoTなどデジタル技術の導入

デジタル技術を導入し、業務の省人化・自動化を推進し、人の手による作業を減らすことが可能になります。

省人化には人的ミスを解消し作業の精度を向上させる、夜間や休日も作業をすすめられる、といった多くのメリットがあります。

新型コロナ感染症流行下で、業務プロセスの効率化や社内の情報共有が急務であることに気づき、デジタル化を進展させた企業も急増しました。

スポーツジム運営の省人化に成功した事例はこちら>>

人手不足解消のカギとなるIoT・DX

経済産業省では、2018年9月に「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を公表して以降、DX推進ガイドラインやDX推進指標を公開し、日本企業のDXの推進に資する施策を展開してきました。

現在、デジタル変革に対する現状への危機感を持つ国内企業は増加しているものの、「DXの取り組みを始めている企業」と「まだ何も取り組めていない企業」に二極化しつつある状況です。

つまり、人手不足、円安、物流・資材の高騰…といった厳しい経済状況を乗り越えていくには、いち早くデジタル化の重要さを認識、導入を始めることが重要であり、旧態依然の考え方を捨てられない企業は取り残されてしまうという状況下にあるということです。

そのために、真っ先に効率化すべき業務が人力やアナログに頼って、本来の業務に大きな負担をかける在庫管理発注棚卸です。

在庫管理や発注、棚卸は本来の業務の合間や時間外に行うことが多く、従業員にとってかなりの負担となっているケースがほとんど。

さらに、発注ミスや確認漏れなどにより在庫不足や過剰在庫に陥ることは、生産性の低下、機会損失、顧客満足度の低下を招き、経営を大きく左右するため大きな心理的負担も伴います。

在庫管理や発注、棚卸業務の負担から従業員を解放することは人手不足対策のために欠かせません。

そこで注目され、近年続々と導入されているのが在庫管理・発注の自動化であり、その最も有効な方法としてIoTが注目されています。IoTを導入することで、リアルタイム実在庫を把握し、在庫管理・棚卸・発注の省人化が可能になります。

参照:経済産業省「2022年版中小企業白書・小規模企業白書概要

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