在庫管理術
飲食店の人手不足【原因や理由・コロナとの関係・人手不足の影響と解消法・業務効率化に欠かせないIoT】

飲食店の人手不足の現状
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)*」によると、企業の53.4%で正社員が不足と感じており、コロナ禍(2020年4月)以降で最も高くなりました。
業種別の人手不足割合では、正社員では「情報サービス」(72.5%)、「建設」(70.4%)と高い割合となっています。
一方、非正社員の人手不足割合を見ると、最も高い「人材派遣・紹介」(65.3%)に次いで二番目に「飲食店」があげられ60.7%と高い割合となっています。
また、帝国データバンク「飲食店」の倒産動向調査(2024年)*によると2024年の飲食店の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理)は894件で、前年(768件)比で16.4%増加。2020年(780件)を上回って過去最多を更新しました。
コロナ関連の資金繰り支援終了と物価高などの理由とともに、コロナ禍からの経済回復により幅広い業態で人手不足となり、人材獲得のため賃上げなどの人件費負担の増加もネックとなっています。
*参照:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)
*参照:帝国データバンク「飲食店」の倒産動向調査(2024年)
この記事では、その業界よりも課題が深刻な飲食店の人手不足について、その原因や理由、コロナとの関係、人手不足がもたらす影響、人手不足を解消する解決策についてわかりやすく解説していきます。
また、飲食業の人手不足解消の切り札とも言われている今、注目のIoTについてもご紹介!
飲食店の人手不足とコロナ
日本フードサービス協会会員社による 外食産業市場動向調査 令和6年(2024年)年間結果報告によると、令和6年(2024年)の外食需要は、令和5年(2023年)5 月8日以降の新型コロナ感染症の行動規制撤廃により、多くの業態でコロナ禍のダメージからの回復傾向がみられます。
コロナ禍の中で健闘していた「ファーストフード」が昨年も引き続き牽引したことに加え、度重なる価格改定による「客単価の上昇」とあいまって、売上は前年比108.4%となりました。
年間を通して訪日外客数は大きく増加し、2024年は過去最高だったコロナ前の2019年を上回り、「ディナーレストラン」などを中心に、外食の売上のプラス要因に。
ただ、米価格をはじめ原材料費の高騰で「値上げ」せざるを得ない状況が続いており、客単価は上昇したものの(103.9%)、一部企業では客数の伸び悩みがみられるなど、外食経営を圧迫しています。
コロナ禍からの回復による売上上昇に伴い、一時は落ち着いていた人手不足問題も再び再燃。さらに、コロナ渦で定着したテイクアウト・デリバリーに要する新たな人材不足も問題となっています。
また、コロナ禍の各種支援策が終了したこと、その際の債務の返金が追いついていないというのも深刻な問題となっています。
さらにこれに追い討ちをかけて、米や各種原材料や光熱費などの高騰、人手不足により、閉店時間を早める、廃業する飲食店も増えています。
*引用:日本フードサービス協会会員社による 外食産業市場動向調査 令和6年(2024年)年間結果報告
飲食店に社員は何人必要か
一般的に飲食店に必要な従業員の数は、店のテーブル数や客席数をもとに決定することが多いようです。
スムーズな店舗運営に必要なホールスタッフを求めるには次の計算式を用います。
- 「店舗の客席数÷4(=適切なテーブルの数)÷4=適正人数」
例えば、収容人数が50人の店舗なら、ホールスタッフは3人程度必要になります。
ここに、店長、調理スタッフや洗い場スタッフ、デリバリースタッフなど自店の規模や提供サービスを考慮して、必要な人員を確保、配置することになります。
飲食店の人手不足の原因・理由
では、そもそも飲食店が人手不足になる原因や理由は何でしょうか。主な原因としてあげられているものを具体的にご紹介します。
- 厳しい労働条件
24時間365日営業の店舗も多く、長時間労働に陥りがちなうえ、シフトの問題で休みを取りずらい。
ホールやキッチンなど立ち仕事であったり、料理や食器類、食材など重いものを運ぶなど体力的にもキツイ。 - 離職率が高い
上記のような厳しい労働条件のため、定着率が低く、人材の入れ替わりも激しい。 - 正社員と同等の仕事量を求められる
正社員が1人しかいないというケースも多く、あとはアルバイト・パートといった非正規雇用が占めるため、自ずと正社員同等の仕事量をこなさなければならない - 他業種より給与・賃金が低い
「doda平均年収ランキング2024年公開」によると、飲食業界の平均年収は、「居酒屋/バー」(358万円)、「レストラン」(353万円)。平均年収ランキング1位「金融」(491万円)、2位の「メーカー」(481万円)と比べて大きな差があり、年収が低いサービス業のカテゴリーに。 - 人間関係のトラブルが多い
ベテランスタッフや店長(経営者)が幅を利かせているような店舗では、人間関係のトラブルやいじめ、パワハラが起こりやすい。 - 新人教育が行き届かない
慢性的な人材不足のため、せっかく新人が入ってきても、教育がうまく進まない。 - お客からのクレーム対応が大変
髪の毛など異物混入、食中毒、料理の提供時間や順番、スタッフの接客など、あらゆるクレームに対応しなければならない。 - 求人広告を出しても人が集まらない
上記のような理由や昨今のコロナリスクの懸念もあり、何度求人広告を出しても応募が集まらない。 - コロナの影響
コロナの影響による退職者が出た李、店舗側の都合(コロナの影響)で解雇したスタッフの穴埋めができていない。
他にも、飲食店の形態や提供メニュー、規模(チェーン店か個人店かなど)、土地柄などにより、人手不足の原因は多数あげられています。
飲食店が人手不足になるとどうなる【影響・デメリット】
実際に飲食店が人手不足になるとどのような影響(デメリット)があるのでしょうか。具体的にみていきましょう。
- スタッフの負担が増え、さらなる労働条件の悪化、離職を招くという負のスパイラルに陥る
- 新人教育が進まないため、いっこうに戦力になるスタッフが確保できない
- 顧客サービスが低下し、クレームや店舗の評判が下がり、売り上げに悪影響を及ぼす
- どうしても店舗が回らなくなり、閉店に追い込まれる
このように、飲食店における人手不足はさまざまななデメリットを生み、最悪の場合は閉店にいたるという結果を招いてしまいます。
飲食店の人手不足を解消する解決策
慢性的な人手不足による悪循環から脱却し、厳しいと言われる飲食店経営を潤滑なものにするためにも、一刻も早く具体的な対策に取り組む必要があります。
飲食店の人手不足を解消する方法として実際に取り組みが行われているものをご紹介していきます。
- 労働環境の改善・働き方改革
長時間労働の是正や給与水準の引き上げ、シフトの見直しなどを行い、従業員が気持ち良く働ける環境づくり。 - 雇用条件を見直す
外国人やシニアなど採用の幅を広げたり、経験者のみ採用などといった雇用条件を見直す。 - 求人の方法を広げる
求人サイトや求人フリーペーパー、新聞広告といった従来の方法だけでなく、SNSなどまだ使っていない方法を取り入れて新たに募集してみる。 - 良好な人間関係を築い、働きやすい職場作りを進める
- 新人教育に力を入れる
離職率を下げ、定着してもらえるように、「見て覚える」ではなく誰もが理解できる具体的な新人教育を行う。 - やりがいを見出せる正当な評価や報酬
働いた分に見合った報酬を与える評価制度を導入する。 - DXの導入
タッチパネルやタブレットなどによる注文、AIやロボットによる接客など業務を効率化し、スタッフの負担を削減するデジタルツールを積極的に導入する。そこで得たデータや技術をもとに新しいビジネスモデルや組織編成などを生み出す。
次の章では、業務効率化をすすめ、人手不足を解消する方法として今、最も注目を集めているDXとIoTについて、さらに詳しく解説していきます。
飲食店の人手不足を解消するIoT
新型コロナウィルスにより最も経営的なダメージを受け、深刻だった人手不足問題がさらに広がった飲食店にとって、人材を確保し、労働環境を整え、働き方改革に取り組むことは急務とされています。
そのために、真っ先に効率化すべき業務が在庫管理や発注、棚卸といった業務です。
在庫管理や発注、棚卸は本来の業務(接客やサービス)の合間や時間外に行うことが多く、従業員にとってかなりの負担となっているケースがほとんど。
さらに、発注ミスや確認漏れなどにより在庫不足や過剰在庫に陥ることは、生産性の低下、機会損出、顧客満足度の低下を招き、経営を大きく左右するため大きな心理的負担も伴います。
長時間労働が離職の大きな要因となっている飲食店にとって在庫管理や発注、棚卸業務の負担から従業員を解放することは人手不足対策のために欠かせません。
そこで注目され、近年続々と導入されているのが在庫管理・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IIoT=「モノのインターネット化」
IIoTを使った家電や設備には、センサーやカメラなどが搭載されており、モノの状態や周辺環境といった情報を感知・収集し、インターネットを介して、それらのデータを人やモノに伝えます。
飲食店もIoTを導入することで、在庫状況などを把握し、より効率的な在庫管理や棚卸・発注が可能になります。
次の章では置くだけで在庫の見える化・自動発注が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
スマートマットクラウドで在庫管理・発注・棚卸を自動化
スマートマットクラウドは、現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、在庫管理・発注を自動化するDXソリューションです。
スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
タグやバーコードの貼り付け・読み取りなどの作業負担もなく、管理画面から実在庫の自動記録や、確認ができます。
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
置く場所を選びません
スマートマットはA3サイズ〜A6サイズまでの4サイズ展開。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
安心サポート
現場への導入に向けては、専門のカスタマー・サクセス担当が、お客様を厚くサポートします。
スマートマットクラウドで人手不足解消に成功した飲食店の事例
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。