在庫管理術
飲食店のDXとは【コロナの影響と現状・課題・成功事例・メリットとデメリット】

飲食店の現状【新型コロナウィルスの影響】
飲食業界は、開業3年で7割前後が廃業し、10年続くのは1割程度ともいわれる競争の激しい業界です。
外食産業総合研究センターの試算によると、2021年の外食産業の市場規模は約18兆円と報告されています。
かつては、30兆円に届くとも言われた外食市場は、新柄コロナウィルスにより状況は一変、前年比30%減という危機的な事態を招いています。
「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などの規制により、「時短要請」や「酒類提供の制限・禁止」を余儀なくされ、制限期間中、飲酒業態の多くは休業に追い込まれたことが大きな影を落としていることがわかります。
業態別にみると、もともとテイクアウトの比率が高い業態(ファーストフード業態など)では、店内飲食が制限されてもテイクアウトで売上をカバーできたこともあり、他の業態と比べて影響は少なかったという結果が出ています。
その反面、店内飲食を中心とするレストランやディナーをメインとしているレストラン、パブや居酒屋業態は影響を大きく受けました。
また、2022年2月に東京商工リサーチが全国の企業を対象に実施したアンケート調査(有効回答8340社)では、借入金の返済見通しについて聞いたところ、業種別で「懸念がある」が多かったのは、宿泊業65.9%、飲食店60.3%という結果が出ています。
このように飲食店・外食産業は新型コロナウィルスの影響により、最も大きなダメージを受けた業種であり、アフターコロナの今、まさに生き残りをかけて新たな対策に取り組むことが急務とされています。
この記事では、アフターコロナを見据えなければならない飲食店の課題、生き残りに欠かせないと言われているDXとは何か?その成功・失敗事例、DXのデメリットなどをわかりやすく解説していきます。
飲食店の課題を解決する今、注目のIoTについてもご紹介!
飲食店の課題
コロナ渦を経て、今、飲食店が抱えている・解決しなければならないと言われている主な課題を見ていきましょう。
人手不足
新型コロナウィルスにより、売り上げが大きく落ち込んだのと同時に、営業活動が制約されたことで、人手不足感は一時落ち着く傾向にありました。
しかし、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などの規制が解除され、アフターコロナを迎えた2022年の帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」によると、人手不足割合も上昇、再び経営課題として浮上、特に「飲食業」「ホテル業」においてその傾向が顕著であることが報告されています。
つまり、コロナの影響による退職者が出たり、店舗側の都合(コロナの影響)で解雇したスタッフの穴埋めができていないというのが現状です。
通常営業に伴う人手不足に加え、コロナ渦で定着したテイクアウト・デリバリーに要する新たな人材不足も問題となっています。
売上の低下
新型コロナウィルス感染対策として、密を避けるために座席の間隔・スペースを確保するため、可動席数を減らしたために、その分、以前より売上も低下しています。
また時短営業や営業自粛による顧客離れ、テレワーク(リモートワーク)の定着による常連客の来店が減るという影響も。
必要経費の拡大
新型コロナウィルス感染症対策のための、消毒液、パーテーション、マスクや手袋、体温測定器といった設備や備品代は、コロナ以前はかからなかった必要経費。
感染リスクを軽減させるために必要経費ではあるが、金銭的な負担となっている飲食店も少なくありません。
コスト削減・適正化
飲食店経営において、最も大きなコストであるのが、食材原価と人件費です。
飲食店の経営者は、しっかりとしたコスト意識とコスト管理ができなければ店は続けることができません。
その重要な指標となるのが「FLコスト」と「FLコスト比率」です。「F」はFoodで原価、材料費を示し、「L」はLabor(労働)で人件費を示します。
- FLコスト=食材原価と人件費
- FLコスト比率(%)=売上高に占めるFLコストの比率。計算式は、(食材原価+人件費)÷売上×100
FLコスト比率は60%以下が適正値とされます。その内訳は、食材費24~40%、人件費20~36%ほどが目安と言われています。
飲食店のDXとは
ここまでご紹介してきたように、もともと厳しい競争下にあり、生き残りが難しいと言われている飲食店。
そこに新型コロナウィルスの影響が加わり、いくつもの課題を解決することが必須となっています。
なかでも深刻な人手不足、業務効率化によるコスト削減という大きな課題解決は急務。
そのために、真っ先に効率化すべき業務が在庫管理や発注、棚卸です。
在庫管理や発注、棚卸は本来の業務(接客やサービス)の合間や時間外に行うことが多く、従業員にとってかなりの負担となっているケースがほとんど。
さらに、発注ミスや確認漏れなどにより在庫不足や過剰在庫に陥ることは、生産性の低下、機会損出、顧客満足度の低下を招き、経営を大きく左右するため大きな心理的負担も伴います。
長時間労働が離職の大きな要因となっている飲食店にとって在庫管理や発注、棚卸業務の負担から従業員を解放することは人手不足対策のために欠かせません。
そこで注目され、近年続々と導入されているのが在庫管理・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IIoT=「モノのインターネット化」
IIoTを使った家電や設備には、センサーやカメラなどが搭載されており、モノの状態や周辺環境といった情報を感知・収集し、インターネットを介して、それらのデータを人やモノに伝えます。
飲食店もIoTを導入することで、在庫状況などを把握し、より効率的な在庫管理や棚卸・発注が可能になります。
近年話題のSDGsやフードロスにも対応できるIoTやDXは飲食業界こそが導入するべきと言えるかもしれません。
飲食店のDX成功事例
アフターコロナの飲食店の新たな経営手法に欠かせないDX。実際にDXを導入した飲食店の面白い取り組み・成功事例と失敗事例をご紹介します。
株式会社すき家
人工知能(AI)・クラウド・IoT・セルフオーダー/セルフキャッシング等の技術革新やITによるデータ活用により、定型労働に加えて非定型労働においても自動化を進展。
お客様の利便性と従業員の職場環境を向上させるために、DXを経営上取り組むべき重要課題とし、積極的な改革・新たな価値創造の取り組みを実行。
株式会社すかいらーくホールディングス
全社横断的にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、事業活動の変革と2025年戦略ビジョンの実現を目指している。
デリバリー効率の最大化と配達員の採用難度の低下を目指し、注文ごとに自動的に配達ルートが表示される「配達員専用アプリ」を導入。
注文受け作業の削減による店舗生産性の向上、回転率UPによる客数増のためにデジタルメニューブック(セルフオーダー端末)の導入。
全国の各レストラン店舗へフロアサービスロボットの導入を進めており、2022年中に2,149店舗に対し3,000台の配置を計画。
飲食店DXのメリットとデメリット
では、実際に飲食店にDXを導入することで、どのようなメリットとデメリットがあるのか具体的にご紹介します。
メリット
- 業務の効率化
- コスト削減
- 人手不足解消
- 顧客満足度アップ
- コロナ対策(非接触・非対面でのサービス提供)
- 蓄積データの活用
デメリット
飲食店のDX導入は正しく進めれば、ほとんどデメリットはないと言われていますが、以下のような点には注意が必要かもしれません。
- デジタルを急ぐあまり、人による接客や気配り、笑顔が減り、サービスが無機質なものになる。顧客満足度の低下にもつながる。
- ネット環境の整備など導入環境を整えたり、利用する端末の購入費などが別途必要。
- デジタルが苦手、スタッフによる拒否反応が強く、使いこなせない。
このようにDXの失敗事例を招かないためにも、事前に自店にあっているのか、導入時やアフターフォローなどがあるのかをしっかり確認することが重要です。
次の章では置くだけで在庫の見える化・自動発注が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
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タグやバーコードの貼り付け・読み取りなどの作業負担もなく、管理画面から実在庫の自動記録や、確認ができます。
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自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
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現場への導入に向けては、専門のカスタマー・サクセス担当が、お客様を厚くサポートします。
スマートマットクラウドで人手不足解消に成功した事例
▼従業員の作業負担を軽減し、お客様の接客に注力できるように
(株式会社アリシア)

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今後、多店舗展開を考えている中、求人も思うように得られない飲食業界の現状をいち早く捉えており、同様に、働き方改革を念頭に事業に専念することで、無駄な作業は全てAIやIoTで自動化した方が良いという考えを持っていました。
スマートマットクラウド導入前は目視で在庫数を数え、インフォマートで発注をかけていました。従業員が営業時間後などに在庫数の確認、発注など全てを行っていました。
廃棄ロスなどの問題も考えたりしますが、一番は従業員の作業負担を軽減することは大きなメリットです。