在庫管理術

ホテルのDX推進｜宿泊業界の人手不足解消と付加価値戦略をかなえる方法とは？

ホテル業界の現状

長らくホテル業界に打撃を与えていた新型コロナウィルス感染症。感染症法上の位置付けが2023年6月に２類から5類に移行し、インバウンド需要も回復傾向にあります。ホテル業界ではアフターコロナならではの新しい課題が山積しています。

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そんな中、ホテル経営の課題解決をめざし競争に勝ち抜く手段として、DX推進に踏み切る宿泊施設が増えています。この記事では、宿泊業界の課題とそのために必要なDX推進の方法について、宿泊DX化の成功事例をまじえ解説していきます。

宿泊業界が抱える課題

人手不足

新型コロナウィルスの感染が拡大していた時はインバウンド需要が大きく落ち込みました。宿泊業全体で非正規雇用者を中心に、出勤日数や勤務時間を減らす動きがあり、安定した雇用を求めて宿泊業界から転職する従業員が増加しました。

現在は入国規制も緩和され、宿泊需要は急速に増加しています。以前よりも少ない人数で営業をすることを余儀なくされ、現場は今までにない深刻な人手不足に陥っています。

アフターコロナの深刻な人手不足課題

労働環境の改善・離職リスク解消

もともとホテル業界は、業務の都合上、夜勤や早朝勤務が発生するため、過酷な勤務体系になりがちです。他の業界と比較し、ホテル業界は離職率が高めでした。

昨今の状況を鑑み、よりよい条件を求めて求職者がホテル業界そのものを敬遠する動きが目立つようになりました。欠員が発生しても企業は採用が思うようにできず、残された労働者に長時間労働の負担がかかるケースが多発しています。

こうした過重労働が改善されないままだと、さらに離職者が増えて、ホテル・旅館が営業を継続できなくなるため、スタッフの労働環境を改善し働き方改革をすすめることが急務になっています。

顧客ニーズの多様化【非接触型サービス・無人化の需要増加】

宿泊客から求められるサービスの内容にも変化が起きています。これまでは丁寧な接客・細やかなおもてなしが、ホテルや旅館のサービスの要となっていました。

しかし現在は、チェックイン・アウト時にスタッフとの接触を極力避けたい、ロビーや大浴場といった共用施設は空いているときに利用したいという非接触や無人化という需要が急増、スタッフはそうした新しいニーズへの対応に苦慮しています。

非接触や無人化のニーズ増加そうした背景の中でシェアを伸ばしているのがスマートホテルです。

スマートホテルとは、AIやIoTを導入、デジタル技術によりスマート化されたホテルのこと。すでに国内でも外国旅行客に人気のエリアを中心に開業が広がっています。自動で適切な温度・湿度になる空調、人工知能が搭載されたスピーカーや清掃家電、自動チェックイン・チェックアウトシステムといったツールが採用されています。

宿泊業界DX化のメリット

ホテルや旅館が抱えている深刻な人手不足問題解消、スタッフの労働環境の改善、宿泊客の新しい需要への対応など、難しい課題解決のカギとなるのが、DXの推進です。DXとはデータやAIやIoTなど最新のデジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルを生み出すことです。

宿泊DXの推進によって、

顧客満足度の向上
業務効率化
スタッフの働きやすさ向上

というメリットを得ることができます。

ホテルDXの種類と導入目的

ホテル業界DXツールの例

ひと口にDXツールと言っても様々な選択肢があります。

●DX化できる業務の種類

予約管理：宿泊予約、施設予約の管理
コンシェルジュ業務：チェックイン、チェックアウト、館内・観光情報の提供
在庫管理：アメニティ、リネン、浴衣、食材の在庫調査・発注・棚卸
清掃管理：清掃指示、進捗チェック、忘れ物管理等

DX推進はこうした業務をツールで効率化することだけが目的ではありません。将来、企業が新たな付加価値を生み出せるよう従来のビジネスや組織を変革することが真の目的となります。

ホテルDXの目的デジタルツールの活用によって、これまでの業務プロセスを変えて、新たな利益や価値を生み出す仕組みをつくることが求められているのです。

スマートマットクラウドの）導入後、RevPAR（客室単価×稼働率）が向上しました。

棚卸業務から解放され、よりレベニューマネジメントのような付加価値業務に専念できていることが、この好調の要因のひとつかと考えています。

スマートマットクラウドに出会えたことで、スタッフの生産性が上がっていることを実感しており、発注の自動化でその流れを更に強化し続けていきたいです。

株式会社エフ・ジェイホテルズ導入インタビューより

在庫管理DXを優先すべき理由とは

ホテルDX化の順番ですが、在庫管理を優先させるのがおすすめです。
在庫管理では発注のために在庫を確認する作業が発生します。スタッフが持ち場を離れて在庫置場で費やす時間を削減することで、人手不足の課題を速やかに解消できます。

またアメニティや消耗品、食材やドリンクの欠品は、顧客満足度の低下に直結します。在庫管理や発注の自動化は、人為的ミスによる欠品を解消し、手動管理よりも正確に管理ができるようになります。

また欠品を起こさないように多めに在庫を持つことが、過剰在庫の原因になっています、在庫変動データを蓄積できるデジタルツールを導入すると、消費量から適切な在庫量を分析して割り出し、発注量を見直すことができます。

ホテルDX推進のメリット

→ホテルの在庫管理に関する詳しい記事はこちら

宿泊業界でのDX推進が苦戦する理由

宿泊業界でシステムやデジタル技術を導入する際、初期費用やランニングコストがかかるため、導入をためらう企業が多くあります。

しかし宿泊業界が置かれている状況を見る限り、業務にかかる人件費やあらたな採用にかかる求人費や教育コストを考えると現状の課題を洗い出して、デジタル化・自動化を推進することを強くお勧めします。

ホテルDXで勝ち組に IoTやAIというデジタル技術は、大手ホテルチェーンだけが利用するものではありません。現場スタッフが高度なIT技術や知識を身につけていなくても使いこなせる、スモールスタートが可能なシステムが登場してきています。

業務の全てをマンパワーでおこなう体制を見直す時期と捉え、現場の負担を確実に軽くできるツールを選択し、DX化をすすめましょう。

導入費用の懸念がある場合、補助の対象に該当する場合は、IT導入補助金をはじめとする各種補助金を活用することをお勧めします。

→IT導入補助金×ホテル宿泊業についての詳しい記事はこちら

スマートマットクラウドの在庫管理のしくみ

重さで在庫を見える化

スマートマットは重さで在庫を検知する仕組み。
重さを定期的に計測し、あらかじめ設定しておいた値を下回ったら、自動でアラートを受け取ることができます。

増えていく在庫にも対応

ホテル業務の中で、管理が必要な在庫は減少するものだけではありません。スマートマットクラウドは定期的に巡回し、あふれる前に回収が必要なゴミや、入浴施設の使用済みのタオルの管理にも使用できます。

廃棄物の管理に最適な増加モードの仕組み

導入前は使用済みタオルの集まるロッカールームは、脱水機の点検など他の業務も含めてですが、1時間に1回、定期的に巡回していました。（中略）

巡回のために頻繁に業務を中断する必要があり、その影響で作業効率が悪くなっていました。接客など他の重要業務がおろそかになってしまうというデメリットもありました。

導入後は通知が来たときだけ回収に向かえばよくなり、定期の見回り自体が不要になりました。重要な業務を優先して進めることができるようになり、施設運営全体の効率がかなりよくなりました。

株式会社日清ウェルネス導入インタビューより