在庫管理術
在庫とは|定義・分類・会計処理から最新管理システムまでやさしく解説

この記事では、「在庫って結局のところ、何を指すの?」という疑問をお持ちの方に、在庫の基本的な定義から、会計上の位置づけ、業種ごとの分類、よくある在庫の課題、そして最新の在庫管理システムについて分かりやすく解説しています。
在庫の扱いや在庫管理の入門編として、ぜひご一読ください。
在庫とは【定義と意味】
在庫の定義
在庫(英語:stockまたはinventory)とは、企業が商品や製品を加工または販売する目的で、一時的に保管している資産のことを指します。
こういった在庫は会計上では「棚卸資産」と呼ばれ、流動資産に分類されます。
在庫と在庫品の違いとは?
在庫は企業が販売・生産など利益創出のために、一時的に保管している商品・製品・原材料・仕掛品などの広範囲な品目のことを指します。
一方で在庫品とは、自社資産の在庫のうち、具体的に在庫管理されている対象物品のこと。都度調達するものや、工程間にタイムラグが無い仕掛品で在庫管理が不要な品目は「非在庫品」と呼ばれます。
業種別在庫の違い|在庫の範囲
流動資産に含まれる在庫の範囲は業種によって変わってきます。
小売業・流通業
- 仕入れて販売する「商品在庫」がメイン
- 店頭在庫、倉庫在庫など複数拠点に分散
顧客への販売を予定していない事務用の文具や消耗品などは原則、在庫には含まれません。
製造業
- 原材料 → 仕掛品(半製品)→ 完成品 という3段階の在庫が存在
- 工程ごとに在庫の保管場所や消費場所が分かれ、管理が煩雑化
また製造工程に関わる梱包材や副資材※1も、その大半が在庫扱いされます。
※1:半導体洗浄液や樹脂・顔料の溶剤、分散剤など最終製品に残らない物品などが代表的
会計における在庫の重要性
在庫は、期末における資産評価や利益計算に大きな影響を与えます。というのも、在庫は棚卸資産として、賃借対照表上※2で計上されるからです。過剰在庫や不動在庫を抱えると現金化が遅延し、キャッシュフローの悪化につながります。
一方で、在庫が少なすぎると販売機会の損失や生産機械の損失となる「欠品」に直結します。過剰在庫を恐れるあまり欠品を引き起こせば、利益損失を被る場合もあります。:
在庫管理では需要と供給のバランスを把握した上で、在庫量を適正に維持することが最重要課題となります。
※2: 貸借対照表とは決算日時点の財政状態を表す書類
在庫の種類・分類
在庫は用途や状態によって、以下のように分類されます。
- 商品・製品在庫
販売されるのを待っているもの。小売・流通業では「商品在庫」と呼びます。すでに完成済みのため、完成在庫と呼ばれることも。いわゆる「在庫あり」とは、商品や製品とは、取り寄せ品など注文できる商品を指します。 - 原料在庫
原材料や資材として用意されているもの。 - 部品在庫
ネジやナットなど、すぐに使える1つの製品の部品の在庫のこと。 - 仕掛在庫(半製品)
生産工程途中の在庫。中間在庫とも呼びます。 - 店頭在庫
店頭に陳列されるなどして保有されている状態、またはその商品そのものを指します。 - 消耗品在庫(備品)
医療業界ならマスクや消毒薬、手袋など。オフィスならコピー用紙や文具類など、ホテル業界ではリネン類等いわゆる消耗品(棚卸対象外も含む)などを示す。 - 液体・粉体・微細部品・バラ部品など手動計測しにくいもの
このように在庫にはさまざまな種類があります。適切な在庫管理のためには、在庫の分類に応じて保管や計測を正確かつ効率よく行うことが不可欠です。
在庫の保管場所・保管方法
保管の課題
在庫の保管方法や保管場所は、業界や企業ごとにさまざまです。原則では、決められた倉庫や冷蔵庫などで保管するのが一般的ですが、
- 倉庫や冷蔵庫代のコストがかかる
- 倉庫や冷蔵庫までいちいち行くのが面倒
- 倉庫を用意するほど大量に在庫を抱えない
などの理由で、保管場所を設けずに、工場や作業場、店舗やオフィスの一角に在庫を置いている場合もあります。
そうなると、「どこに何があるか分からない」などロケーション管理不備の問題や、保管場所の環境(温湿度や日射条件)が不適切である問題が生じます。
保管方法や場所の工夫
保管方法を工夫するには、
- 種別/SKU/数量ごとの棚分け
- パレット積載・ケース保管・袋詰めなど保管状態別に区分け
- 在庫量に応じた区画・スペースの確保
- 在庫管理システムによる管理
在庫の種類ごとやSKUごとの棚分けは基本中の基本。パレットへの積載や段ボール、袋詰めなど、在庫の保管状態別に方法によって保管場所を区分けするのも在庫を俯瞰的に把握する一助となります。
また、適正在庫を維持するために必要な在庫量を把握し、それに応じたスペースを確保することも重要です。とはいえ、在庫の種類やSKU・数量が増えれば増えるほど、人力で適切な保管状態を維持したり、在庫数量を把握したりするのは難しくなります。
そういった場合、在庫の種別や数量を自動認識し、ロケーション記録や入出庫記録をカンタンに行い、自動記録する「在庫管理システム」の活用をお勧めします。
在庫管理とは
在庫管理とは、商品や資材が必要な時に必要な量だけある状態を保ちつつ、商品・資材・原材料の在庫数や状態を適正な水準に保つ、つまりムダを省いて利益を最大化する取り組みです。
在庫管理の主な目的は以下の3点。
- 欠品防止(機会損失防止や顧客離れのリスク低減)
- 過剰在庫・不動在庫の削減(キャッシュフロー改善、保管コストの最適化)
- 管理作業の効率化(業務負荷・人件費削減)
このように効率的かつ適正な在庫管理は、顧客満足度の維持や企業の健全な経営のために必要不可欠な業務です。
在庫管理に見られる課題
在庫管理に関する課題は多くの現場で指摘されています。
課題 | 詳細 |
---|
手入力によるミス | Excel管理や紙台帳での誤記録、二重入力など |
在庫の把握に時間がかかる | 管理品目が膨大、保管場所が複数など |
欠品・過剰在庫の発生 | 需要予測が不正確/在庫の見える化が不足 |
RFIDやターミナル導入の反動 | 初期費用・運用コスト増、現場教育不足・運用の複雑化 |
在庫管理には、手動管理ゆえにミスが多いことや、人手不足で十分に管理が行き届かないことなど、多くの現場が抱える問題があります。さらに、適正在庫を把握できない結果、余剰在庫や欠品が生じてしまうケースも少なくありません。
在庫管理システムを導入してもコストがかさむ場合があります。また、ハンディターミナルやRFIDなど在庫自動認識ツールを取り入れたとしても、運用の複雑化や現場への教育不足などが原因で、以前より手間や労力がかかることも課題として挙げられます。
在庫管理の最前線|重量センサを用いたSmartMat Cloud
在庫管理における最大の課題の一つは、「正確な数量の把握」です。手作業やバーコード読み取り、RFIDタグの取り付けなど、管理担当者が日々煩雑な作業を行っている現場も少なくありません。
こうした課題を解決する方法として、近年注目されているのがIoT重量センサ(スマートマット)を用いた在庫管理システム「SmartMat Cloud」です。
スマートマットクラウドとは?
スマートマットとは、マットやパレットのような形状の計測デバイスで、載せたものの重量をセンサーでリアルタイムに検知し、そのデータをクラウド上に送信する仕組みを持つIoT機器です。計測された重量データをもとに、在庫の残量や使用量を自動的に算出できます。
例えば製造業では、ネジや液体洗浄剤などの計測しにくい資材の減少をスマートマットで自動検知し、発注タイミングを自動通知・自動発注する使い方が広がっています。
在庫管理は企業の利益や顧客満足度を直接左右する重要な業務です。手作業によるミスや手間、在庫数量の把握タイミングの遅れなどに悩んでいる現場は少なくありません。
スマートマットをはじめとするIoT機器の活用で、より正確で効率の良い在庫管理を実現し、過剰在庫や欠品リスクの低減、コスト削減にもつなげることができます。
スマートマットクラウドのメリット
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自動化による業務効率化
従来、人が目視やハンディターミナルなどで確認していた作業を、スマートマットに置くだけで自動的に計測できます。棚卸し作業の手間やミスを大幅に削減可能です。 -
リアルタイムで在庫数を把握
重量の変化を随時モニタリングできるため、在庫がどのタイミングで減少しているのかを正確に把握できます。これにより、欠品や過剰在庫のリスクを抑え、適正在庫を維持しやすくなります。 -
クラウド連携が可能
IoT重量センサで取得したデータはクラウドに自動的に記録・管理。クラウド上の賢いソフトウェア(頭脳)に蓄積したデータを活用し、在庫推移を見える化。発注点の見直しや不動在庫の検知に活用できます。 -
遠隔監視が可能
センサで取得したデータはクラウドに蓄積されるので、拠点が離れていてもパソコンやスマートフォンから在庫状況をいつでも確認できます。管理者や経営者が外出先でも在庫数をチェックし、素早く意思決定できるのも大きな利点です。 -
多様な用途への対応
部品や原材料、液体や粉末などの計測がしづらい在庫も、重量計測であれば一括管理しやすくなります。適用可能な商品・資材の幅が広いことも魅力の一つです。 -
現場支援
導入時の初期設定からテクニカルサポートまで、各専門スタッフが伴走スタイルで支援します。
スマートマットを導入する際のポイント
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管理在庫・スマートマット台数の決定
在庫の使用頻度や重要度によって、スマートマットで管理するかどうか決定します。小型部品と大型商品では必要スペックが異なり、置き場所や導入枚数など事前の検討が重要です。スマートマットクラウドの導入にあたっては各専門スタッフがサポートいたします。 -
コストと導入規模
導入にかかる初期費用や運用コストを試算し、ROI(投資対効果)が見合うかどうか判断することが大切です。小規模な在庫管理から始め、徐々に拡大していく企業も増えています。 -
既存システムとの連携
スマートマットが取得したデータを、在庫管理システムやERPと連動させることで、より効率的な管理体制を構築できます。API連携やCSV出力など、機器側の対応状況を確認しましょう。
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。