在庫管理術
適正在庫とは【考え方・安全在庫との違い・計算式・適正在庫に近づけ維持する方法・成功事例】

適正在庫とは?
適正在庫(英語:proper inventoryまたはproper stock)とは、欠品を出さない最小限の在庫数のこと。
わかりやすい考え方としては、欠品を出さずに企業利益を最大にする在庫量のことを指します。
適正在庫のポイントは以下の2つ。
- 商機を逃さないように欠品させないこと
- その上で在庫金額を抑えるために数を最小限にすること
この記事では適正在庫を保つ方法や、適正在庫に近づけるために役立つ話題の最新技術IoTやDXについてご紹介します。
適正在庫と安全在庫の違い
よく適正在庫と混同されがちな「安全在庫」は、欠品を防ぐのが目的で設定され、在庫数の下限を決めるものです。
一方「適正在庫」は、企業が利益を出すことを目的とし、在庫の下限だけでなく上限も決めるのが特徴です。
適正在庫を保つ方法とは?
適正在庫の基準(在庫基準値)を求めたら、数値に近づけるように日々の在庫をコントロールしていきます。
適正在庫の維持を可能にする、具体的なポイントを紹介します。
1番目の「在庫を補充する方法を見直す」は特に効果的。人の経験と勘で商品や消耗品の需要を予測するやり方は、さまざまな業界で行われていますが、多くの時間と手間がかかります。
適正在庫の計算式は【求め方・算出方法】
適正在庫を破る出すための計算方法はいろいろあります。主に使用されている4つの計算方法を解説します。
安全在庫+サイクル在庫
適正在庫の基本的な計算方法として幅広い業界で、「安全在庫+サイクル在庫」を使って適正在庫を算出しています。
安全在庫とは、天候や季節、流行など不確定な需要変動により、欠品が発生しないように、最低限保管しておく在庫のことです。
安全在庫は以下の計算方法で求めます。
- 安全在庫=安全係数(1.65)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)
安全係数(安全在庫係数)とは、どれぐらいまでなら欠品(注文に対して商品を供給できなかった割合)を許容できるかを表す数値のことです。
よく使用されている安全係数(安全在庫係数)は欠品許容率5%の1.65です。
また、安全係数(安全在庫係数)は、以下のようにエクセルの関数の「NORMSINV」を使って求めることもできます。
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- 安全係数(安全在庫係数)=NORMSINV(1-欠品許容率)
サイクル在庫とは、発注してから次の発注までの間に消費された在庫量の半分を表す言葉です。
たとえば10日に一度発注するのであれば、5日目までに消費された数量がサイクル在庫になります。
在庫回転率と在庫回転期間
在庫回転率とは、ある期間に在庫が何回在庫が入れ替わったかを表しています。
企業が保有している在庫の仕入れから販売までの速さを示す数字で、棚卸資産回転率や商品回転率ともいいます。
在庫回転率は数字が多いほど、在庫が効率良くお金に変わっていることを示しています。
在庫回転率の計算は「数量で求める方法」と「金額で求める方法」の2種類があります。
それぞれの計算式は以下の通り。
数量で求める方法
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- 在庫回転率= 出庫数 ÷ 平均在庫数
- 平均在庫数=(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2
金額で求める方法
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- 在庫回転率= 売上原価÷棚卸資産
- 売上原価= 期首商品棚卸高+当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
在庫回転率は小売業、アパレル業、製造業…など業種によって水準が変わり、季節によっても変動があるという特徴があります。
自社における数字の推移を追うだけでなく、前年同期比や同業他社と比較すると良いとされています。
在庫回転期間で求める方法
在庫回転期間とは、商品の入荷から出荷までの期間のこと。
在庫回転期間が長ければ商品の入荷から出荷までのスピードが遅く、短ければスピードが速いことを意味します。
在庫回転期間を出すことで何日分・何ヶ月分の在庫を抱えているかがわかります。
在庫回転期間の計算式は以下の通り。
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- 在庫回転期間= 棚卸資産÷売上原価
需要数
需要数から適正在庫を算出する方法で、計算式は以下の通りです。
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- 適正在庫数 = 一定期間の需要数 + 安全在庫数
交叉比率
交叉比率とは、その在庫がどれだけ儲かっているのかをみることです。
交差比率を使っい適正在庫を算出する方法は、主に小売業で利用されています。
交差比率の計算式は以下の通り。
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- 交叉比率 = 在庫回転率 × 粗利益率
- *粗利益率 = 粗利益 ÷ 売上高
そして、交差比率を使って、適正在庫を算出する計算式は以下の通り。- 在庫回転率 = 交叉比率 ÷ 粗利益率
- 適正在庫金額 = 売上目標 ÷ 在庫回転率
在庫量を適正在庫に近づけるIoTソリューション
適正在庫を把握するには、日々の在庫調査や棚卸をこまめにおこない、消費した在庫量を正確に記録する必要があります。その全てを人の手で処理するとなると大きな労力とコストが必要になります。
そこで注目され、近年続々と導入されているのが在庫管理・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IoT=「モノのインターネット化」
IoTを使った家電や設備には、センサーやカメラなどが搭載されており、モノの状態や周辺環境といった情報を感知・収集し、インターネットを介して、それらのデータを人やモノに伝えます。
IoTを導入することで、在庫状況などを把握し、より効率的な在庫管理や棚卸・発注が可能になります。
在庫管理専用のIoT機器を導入することにより、在庫管理の自動化が可能になり、正確な数値を自動で把握し、記録することができます。
IoTはデータを自動的に蓄積するのも見逃せないメリット。正確な消費量の記録から使用量に見合っていて、欠品にならない在庫量を算定する上でIoTは欠かせない存在となっています。
在庫調整の精度を上げるスマートマットクラウド
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
置く場所を選びません
スマートマットはサイズ展開が豊富。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
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自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
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