在庫管理術
発注点【計算や求め方・発注点管理方式・安全在庫との違い・適正な発注点を決めるIoT機器】

発注点とは
発注点(英語:Ordering point)とは、「その数量を下回れば発注する」とあらかじめ決めた在庫水準=発注をかけるタイミングのことで、閾値(しきいち)とも呼ばれます。
発注点の設定がしっかりできていないと、過剰在庫や在庫不足のリスクを招くため、発注点を使った在庫管理方法である発注点方式(管理)には欠かせません。
この記事では、効果的な在庫管理を左右する発注点の計算や求め方、発注点管理方式、安全在庫との違いなどをわかりやすく解説していきます。
発注点管理をスムーズに行うためのIoTソリューションについてもご紹介するので、在庫管理にお悩みの方はぜひ、ご一読ください。
発注点管理の方式【定量発注方式と定期発注方式】
発注点の管理方式には、定量発注方式と定期発注方式の2種類があります。
在庫があらかじめ決めておいた水準を下回るたび、一定量を発注する方法である発注点方式(管理)は、一般的に定量発注方式と呼ばれています。
定量発注方式は、一定量まで在庫が減少したら自動的に発注を行うため、需要の変化は考慮しません。
このような理由から、以下のような在庫の管理に向いています。
- 安価なもの
- 需要や供給量の変動が少ないもの
- 重要度の低いもの(ABC分析でBクラス以下に相当するもの)
発注方式には、この定量発注方式のほかに、あらかじめ決めておいた期間ごとに必要な量を発注する定期発注方式があります。
定量発注方式と定期発注方式の違いを簡単にまとめると…
- 定量発注方式「ある在庫量を下回ったら決められた量を発注する」
- 定期発注方式「定期的に必要に応じた在庫を発注する」
ということになります。
定期発注方式は、その時の状況に応じて柔軟に発注量を決めることができますが、発注量を毎回決めるのが手間になる可能性もあります。
発注点の計算方法・求め方
発注点は、一般的に以下の計算式で求めることができます。
- 発注点=1日の平均出荷量×調達期間+安全在庫
次の章では、この発注点の計算式に必要な3つの要素について詳しくご紹介します。
発注点を決めるのに必要な3つの要素【平均出庫量・リードタイム・安全在庫】
発注点を決めるのに必要な3つの要素【平均出庫量・リードタイム・安全在庫】
- 1日の平均出荷量
1日あたりの使用や販売の数量のこと。 - 調達期間(発注リードタイム)
材料の発注点なら、発注してから納品されるまでの調達期間、仕掛品の発注点なら、生産着手から完了までの製造期間のこと。 - 安全在庫
需要変動などのバラつきによって起こる可能性がある欠品を、ある程度防ぐための在庫のこと。
発注点と安全在庫の違い
発注点と安全在庫は、一見、同じような意味合いとも取れるため、よくその違いや関係性が取りざたされます。
すでにご紹介したように、
安全在庫とは、需要変動などのバラつきによって起こる可能性がある欠品を、ある程度防ぐための在庫のことです。
簡単にまとめると、余剰在庫や欠品を防ぐ最低限の在庫量のこと。
一方、発注点とは、「その数量を下回れば発注する」とあらかじめ決めた在庫水準のことです。
つまり、よくよく見ていくと、両者には大きな違いがあります。
そして、安全在庫は、以下のような計算式で求めます。
- 安全在庫=安全係数(安全在庫係数)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)
安全在庫は、発注点を求める際に必要不可欠であるため、正確に把握しておく必要があります。
発注点管理の方法【発注カード・エクセル・自動発注】
発注点管理の方法には、主に以下の3種類があります。
- 発注ノートやカード
品名、発注点、発注量、最大在庫量、発注先、発注方法、価格、納期などが記載されているカードやノートに担当者が人力で記入、確認し、発注する。 - エクセル
品名、発注点、発注量、最大在庫量、発注先、発注方法、価格、納期などをエクセルに入力し、管理、発注。 - 自動発注
どのタイミングでどれくらいの量を発注するのかをシステムが自動的に決め、発注。
発注カードやエクセルを使用した管理は、どうしても記入(入力)漏れ、記入(入力)ミスといった人的なミスを引き起こすリスクがあるため、自動発注システムの導入が重要視されています。
次の章では、自動発注システムについてわかりやすく解説していきます。
自動発注システムとは
自動発注とは、消費者のニーズや売れ行きの状況などをもとに、商品の販売数が発注点または閾値(しきいち)=「その数量を下回れば発注する」とあらかじめ決めた在庫水準(発注をかけるタイミング)になった際に、自動で発注を行うことです。
そして、自動発注を行う上で欠かせないのが自動発注システムです。
自動発注システムは、1日の平均出荷量、調達期間(発注リードタイム)、安全在庫数などの発注点に必要な要素に加え、その時々の消費者にニーズや流行を踏まえた需要予測をもとに、発注点を決定し、その数値に達したら、システムが自動的に発注を行います。
自動発注システムで使用されている発注方式
自動発注システムで使用されている主な発注方式には以下のようなものがあります。
- セルワン・バイワン発注方式
その名の通り「1個売ったら、1個買う(補充する)」売れた分だけを発注する発注方式。 - 需要予測型自動発注方式
過去の販売データからAIなどで、その日の需要を予測。最適な発注量を決定し、商品を自動発注。 - 補充点発注方式
過去の在庫数量や売上数量に基づいて基準在庫数量を設定し、基準在庫数量と現在の売上、在庫数量をもとに自動的に発注時期や発注量を決定。
最適な発注点の決め方をサポートするIoT
iIoT(アイオーティー)とは、英語のInternet of Thingsの略で、「モノのインターネット」という意味です。
あらゆるモノをインターネット(あるいはネットワーク)に接続する技術のことで、具体的には以下のようなことを可能にします。
- 離れた場所からモノを操作する
- 離れた場所からモノの状態を把握する
- モノや人の動きを検知する
- モノとモノとを繋ぐ
IoTを使った家電や設備には、センサーやカメラなどが搭載されており、モノの状態や周辺環境といった情報を感知・収集し、インターネットを介して、それらのデータを人やモノに伝えます。
製造業、医療やホテルや旅館業、薬局在庫管理などもIoTを導入することで、在庫状況などを見える化し、自動発注が可能になります。
搭載されているセンサーは、機器によって光センサーや温度センサー、重量センサーなどさまざまです。
スマートマットクラウドで自動発注が誰でも簡単に!
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です。
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します。
置く場所を選びません
スマートマットはA3サイズ〜A6サイズまでの4サイズ展開。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
スマートマットクラウドで発注点を把握し、適切な発注が可能になった事例
スマートマットクラウドは、現在多くの企業様に導入いただいています。導入をきっかけに発注点(閾値)をデータ化した事例をご紹介します。