在庫管理術
定期発注方式|定量発注方式との違いは?メリットとデメリットも
定期発注方式とは、週1回・月1回など発注タイミングを固定し、そのつど必要量を計算して発注する方法です。
発注量が変動する分、需要の波に柔軟に対応できる一方、毎回の計算作業が現場の負担になりやすいという特徴があります。
本記事では、定量発注方式との違い・具体的な計算式・メリットとデメリット・業種別の活用シーン・そして計算作業を自動化する方法まで、在庫管理担当者の実務視点で解説します。
定期発注方式とは
👉 このパートをまとめると
定期発注方式は「いつ発注するか」を固定し、発注量はそのつど算出する方式です。需要変動が大きい高単価品や複数品目を一括補充したい場合に特に有効です。発注間隔を設けることで業務の計画が立てやすくなる反面、毎回の計算を正確に行う体制が求められます。
定期発注方式(Periodic Review System)とは、あらかじめ決めた発注間隔(例:毎週月曜日、毎月15日)ごとに在庫状況を確認し、必要量をまとめて発注する方法です。発注タイミングは固定されていますが、発注量はそのサイクルごとに計算するため、毎回の発注数量は変動します。
最低限確保すべき安全在庫を下回らないよう発注量を算出し、最大在庫まで補充するのが基本的な考え方です。在庫の状況や需要の変化に応じて柔軟に発注量を調整できる点が最大の特徴です。

定期発注方式が向いている在庫の種類
定期発注方式は次のような在庫に適しています。
単価が高く欠品・過剰在庫のどちらもコストに直結する品目、需要の波が大きく毎回の調整が必要な品目、そして複数の品目をまとめて同じサプライヤーに発注したい場合です。
製造業の主要部品・医療機関の高額医療材料・化学・製薬企業の原材料などが典型的な対象です。
定量発注方式との違い
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定期発注方式はいつ発注するかというタイミングを固定し、定量発注方式は「いくつ発注するか」という数量を固定します。この根本的なアプローチの違いが、適している在庫の種類や運用コストの差につながります。自社の品目特性と現場の運用体制に合わせて使い分けることが重要です。
定量発注方式(Fixed Order Quantity System)は、在庫が発注点と呼ばれる基準水準を下回った瞬間に、あらかじめ決めた固定量を発注する方式です。発注タイミングは変動しますが、数量は毎回一定です。
| 定期発注方式 | 定量発注方式 | |
|---|---|---|
| 発注のタイミング | 固定(例:毎週月曜) | 変動(在庫が発注点を下回ったとき) |
| 発注量 | 毎回計算・変動 | 固定量 |
| 向いている在庫 | 単価高・需要変動大・複数SKUをまとめて補充 | 単価安・需要安定・迅速補充が必要 |
| 在庫確認の頻度 | 発注サイクルごと | 随時(継続的モニタリングが必要) |
| 計算の手間 | 毎回発注量を算出する必要あり | 発注量は固定のため計算不要 |
▶︎関連記事:「発注点とは?計算式と設定のポイント」
定期発注方式と定量発注方式の使い分け基準
高単価・需要変動大・複数品目まとめ発注なら定期発注方式、低単価・需要安定・欠品許容度が低いなら定量発注方式が基本の選択基準です。現実の現場では一方に統一するのではなく、品目の特性に応じて併用することが最も多いパターンです。
定期発注方式のメリット
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定期発注方式の主なメリットは、発注業務の標準化・需要変動への柔軟な対応・複数品目の一括発注効率化の3点です。発注タイミングが固定されているため業務計画が立てやすく、担当者の入れ替わりにも強い運用体制を作りやすい点が現場から評価されています。

発注作業の標準化と計画立案のしやすさ
発注日が固定されているため、「いつ在庫を確認して、いつ発注作業をするか」を事前にスケジュールに組み込めます。入荷日も見通せるため、棚卸や作業計画との連携が容易になり、発注漏れのリスクも大幅に低下します。
需要変動への柔軟な対応
各サイクルで発注量を算出し直すため、繁忙期に在庫を厚くする・閑散期は絞るといった調整が自然な業務フローの中で行えます。需要の読めない品目でも欠品と過剰在庫を同時に抑制できるのが、定量発注方式にはない強みです。
複数品目の一括発注による効率化
同じサプライヤーへの発注を一つの発注サイクルにまとめることで、発注書の作成回数を減らし、交渉力の向上や送料コストの削減にもつながります。品目数の多い製造現場や医療機関で特に効果が大きい点です。
定期発注方式の計算方法・計算式
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定期発注方式では発注量と安全在庫の2つの計算式を使います。発注量は現在の在庫・発注残・使用予定量・安全在庫から算出し、安全在庫は需要の標準偏差と安全係数から求めます。計算式の意味を正しく理解することで、欠品も過剰在庫も防ぐ精度の高い発注が可能になります。
発注量の計算式と具体例
発注量は以下の計算式で求めます。
発注量 =(発注間隔 + 調達期間)× 使用予定量 + 安全在庫 - 現在の在庫量 - 現在の発注残
具体例:
ある製造部品について、発注間隔7日・調達期間5日・1日あたり使用予定量10個・安全在庫30個・現在庫80個・発注残20個の場合、発注量は以下のとおりです。
発注量 =(7 + 5)× 10 + 30 - 80 - 20 = 120 + 30 - 100 = 50個
この計算を毎回の発注サイクルで実施することで、最新の在庫状況を反映した適正量を発注できます。
▶︎関連記事:「発注量の計算方法と最適化のポイント」
安全在庫の計算式と欠品許容率の表
欠品が生じないよう最低限保持すべき在庫量(安全在庫)は以下の計算式で算出します。
安全在庫数 = 安全係数 × 需要数の標準偏差 × √(納入リードタイム + 発注間隔)
安全係数は、許容できる欠品率に応じて以下の値を使用します。
| 欠品許容率(%) | 安全係数 z |
|---|---|
| 1% | 2.33 |
| 2% | 2.05 |
| 5% | 1.65 |
| 10% | 1.28 |
| 20% | 0.84 |
欠品許容率が低い(=確実に在庫を切らしたくない)ほど、安全係数は大きくなり、安全在庫を厚く設定する必要があります。医療材料のように欠品が患者への影響に直結する品目では、欠品許容率1〜2%の設定が一般的です。
▶︎関連記事:「安全在庫とは?計算式と設定方法を解説」
定期発注方式のデメリットと対処法
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定期発注方式の主なデメリットは、毎回の発注量計算の属人化・発注間隔中の急需要変動への弱さ・在庫精度へのデータ依存の3点です。これらは「仕組み」で対処できる課題であり、特に計算の属人化はIoTを活用した自動化で根本的に解消できます。
毎回の発注量計算が属人化しやすい
定期発注方式では発注のたびに現在庫を確認し発注量を計算します。この作業が特定の担当者のスキルや経験に依存すると、異動・退職・休暇時に業務が止まるリスクがあります。チェックリストや計算テンプレートの整備が最低限の対処策ですが、根本的な解消にはデジタル化が必要です。
発注間隔中の急激な需要変動に対応しにくい
発注間隔が7日なら、次の発注日まで最大7日間は在庫補充ができません。その間に需要が急増した場合、安全在庫が薄ければ欠品が発生します。対処策は安全在庫を厚めに設定することですが、過剰在庫とのトレードオフになるため、需要データの精度向上が鍵です。
在庫精度がデータ品質に左右される
計算式の精度はインプットである現在庫数の正確さに直結します。目視・Excelによるアナログ管理では、カウントミスや更新漏れが計算誤差を生み出します。棚卸頻度を上げるか、リアルタイムで在庫数を取得できる仕組みを導入することが必要です。
定期発注方式の自動化でよくある課題を解消する方法
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IoT重量センサーを使った在庫管理システムを導入すると、現在庫数のリアルタイム把握と発注量の自動計算が実現します。スマートマットクラウドは定期発注・定量発注の両方に対応しており、毎回の計算作業と発注漏れを仕組みとして排除できます。

IoT重量センサーによる発注量の自動計算
スマートマットクラウドは、IoT重量センサーをモノの下に置くだけで在庫数量をリアルタイムで計測します。スキャンも入力も不要で、センサーが計測した重量データから在庫数を自動算出し、発注量の計算まで自動で行います。これにより「現在庫の確認→計算→発注」という定期発注の一連の作業を、担当者の手を介さずに実行できます。
定期発注・定量発注の両方に対応できる理由
スマートマットクラウドでは、品目ごとに「定期発注」「定量発注」を選択できます。定量発注を選択した場合は重複発注防止機能が自動でオンになり、同一在庫への二重発注を防ぎます。品目の特性に応じて発注方式を使い分けながら、どちらの方式でも自動化の恩恵を受けられる設計です。
▶︎関連記事:「定量発注方式とは?メリット・デメリットと使い分け」
発注改善の事例
定期発注方式に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 定期発注方式とはどのような発注方式ですか?
A. あらかじめ決めた発注間隔(例:毎週月曜)ごとに在庫状況を確認し、必要量をまとめて発注する方法です。発注タイミングが固定されているため業務を標準化しやすく、発注量はそのつど算出するため需要変動にも対応できます。
Q2. 定期発注方式と定量発注方式の違いは何ですか?
A. 定期発注方式は「いつ発注するか(タイミング)」を固定し、定量発注方式は「いくつ発注するか(数量)」を固定します。需要変動が大きい高単価品には定期発注方式、需要が安定した低単価品には定量発注方式が適しています。
Q3. 発注量の計算式を教えてください。
A. 発注量 =(発注間隔 + 調達期間)× 使用予定量 + 安全在庫 - 現在の在庫量 - 現在の発注残、で算出します。各数値は最新の在庫データを使用することが計算精度の前提となります。
Q4. 定期発注方式のデメリットを教えてください。
A. 主なデメリットは3点です。①毎回の発注量計算が属人化しやすい、②発注間隔中の急需要変動に対応しにくい、③在庫精度がインプットデータの品質に左右される、です。これらはIoT在庫管理システムの導入により仕組みとして解消できます。
Q5.(ITパスポート対応)定期発注方式に関する記述として適切なものはどれですか?
A. 「発注タイミングを固定し、発注量をそのつど算出する方式」が正しい記述です。よくある誤答パターンは「発注量が固定」というもので、これは定量発注方式の説明です。定期発注方式は発注量が変動し、定量発注方式は発注タイミングが変動します。













