在庫管理術
副資材の管理【副資材とは?定義・主資材との違いと在庫管理の最適解】

副資材は製造・建築現場で使われる補助材料です。本稿では、見落とされがちな副資材コストを適切に管理し、利益と業務効率を高める方法や事例を紹介します。
主資材との違いや勘定科目の選び方、ExcelやIoTスマートマットクラウドでの管理方法を具体事例とともに解説。さらに、在庫差異削減や購買コスト削減に関するポイントも網羅しています。
副資材とは?
副資材の定義と管理の意義
副資材とは、製品の主要な構成要素ではなく、製造・建築現場で業務を円滑に進めるために使用される補助材料のことです。段ボール・ネジ・包装材・接着剤が該当します。
副資材は製品原価に直接組み込まれないため、コストが見落とされがちです。単品で見るとインパクトは小さいけれど、調達量・保管スペース・廃棄コストが積み重なり、利益を圧迫する潜在リスクが高めであることが、副資材管理の特徴となっています。
副資材と主資材との違いを理解し、適切に管理することでコスト最適化と業務効率化が期待できます。
項目 | 主資材 | 副資材 |
---|---|---|
用途 | 製品を構成 | 製造・保護・包装など補助的 |
代表例 | 金属部品、樹脂素材 | テープ、ラベル、緩衝材 |
会計処理 | 原材料費 | 副資材費・消耗品費 |
業界別に見る副資材の具体例と役割
副資材は業界ごとに使われ方も管理ポイントも大きく異なります。代表的な3業界の具体例と、現場での役割・管理のコツをまとめました。
●建築業
工期遅延や強度不足を招かないよう、現場近くに使い切り単位で副資材を配備すると欠品とロスを同時に削減できます。
主な副資材 | 役割 | 管理ポイント |
---|---|---|
パッキン | 配管やサッシのすき間を密閉し、気密・防水性を確保 | 劣化が早いのでロット/使用期限管理が必須 |
ビス(ねじ) | 部材同士を固定し、構造強度を高める | サイズ・素材別に在庫を区分し、現場への払い出し記録を徹底 |
モルタル添加剤 | 強度・作業性を向上させる混和材 | 入荷ロットごとに品質証明書を保管し、先入れ先出しで使用 |
●製造業
副資材の消費量は製品原価に直結します。ロール単位で出庫データを取得し、標準化を図りましょう。
主な副資材 | 役割 | 管理ポイント |
---|---|---|
緩衝材(エアキャップ・フォーム材) | 出荷時の製品保護 | 製品サイズ別の使用量をデータ化し、月次で適正在庫を再計算 |
マスキングテープ | 塗装・加工工程での保護や位置決め | 作業ラインごとに“標準長さ”を設定し、消費量を見える化ポイント |
●服飾業界
デザイン変更が多く色番切替えの都度、余剰副資材が発生しがちです。型番ごとの在庫可視化と廃番ルールの整備が鍵となります。
主な副資材 | 役割 | 管理ポイント |
---|---|---|
ボタン | デザイン性と機能性を付与 | 品番・カラー・サイズをタグで管理し、欠品防止の安全在庫を設定 |
裏地 | 着心地と耐久性を向上 | ロール長と残布を追跡、裁断ロスを最小化 |
ファスナー | 開閉機能と装飾性を兼ねる | 金属/樹脂、務歯色で分類し、縫製ラインへ供給 |
副資材・消耗品・備品・間接材料の使い分け
会計処理や耐久性・用途の違いを押さえると、混同しやすい言葉の線引きがクリアになります。下表で主要ポイントを整理しました。
副資材の勘定科目と会計処理
副資材の勘定科目の選定
副資材が製造工程で使用される場合は「副資材費」や「消耗品費」として処理するのが一般的です。
- 副資材費:製造業などで副資材を独立した費用項目として管理する場合
- 消耗品費:事務用品や少額の備品など、消耗性の高い物品の購入費用に適用
副資材の経費処理のポイント
●使用目的の明確化
副資材が製造工程で使用されるのか、一般業務で使用されるのかを明確にし、適切な勘定科目を選定します。
●金額基準の確認
取得価額が10万円未満で使用可能期間が1年未満のものは、原則として「消耗品費」として一括経費処理が可能です。
●社内ルールの統一
同様の副資材について、部署や担当者によって異なる処理が行われないよう、社内で統一した会計処理ルールを策定・周知徹底します。
副資材管理の基本と重要性
管理の甘さが隠れコストに
副資材は点数が多く出入りも激しいため、「いつ・どこで・いくつ使ったか」が曖昧になりやすい資材です。適切な管理を怠ると、次のようなリスクが発生し利益を圧迫します。
潜在リスク | 具体的な影響 | よく起きる原因 |
---|---|---|
紛失・所在不明 | 急な追加購入で 仕入コスト増 | 倉庫・現場間の移動記録がない |
過剰在庫 | キャッシュフロー悪化・保管スペース逼迫 | 使用量の見込みが曖昧、先入れ先出しが徹底されない |
在庫切れ | 作業ストップ・工期遅延 | 安全在庫ラインが設定されていない |
少額の印象が強い副資材ですが、ロスや二重発注が積み重なれば粗利を下げる「隠れコスト」 になります。
副資材の管理方法【エクセルから専用システムまで】
エクセルから専用システム/MROまで、中小企業でも実践しやすい副資材管理の4つの選択肢と導入事例を紹介します。
Excelテンプレート
品目マスターをエクセルやグーグルスプレッドシートで管理します。バーコードを使用して入庫・出庫を読み取り、CSV連携も可能です。初期費用がかからず、スモールスタートに最適な方法です。
ただし、複数人で入力する際には、データの整合性を保つための工夫が必要です。
棚卸チェックリスト
アナログ管理にプラスαで差異を減らす方法が棚卸チェックリストです。SKUごとに棚番号を設定し、リストに従って棚卸を行います。棚卸後は、Excelの在庫表に差異を記録、原因を分析します。具体的には、差異が発生した場合、「紛失/二重出庫/入力ミス」のカテゴリに分類し、翌月の改善策を明確にします。
クラウド型在庫管理システム
精度とスピードを両立させたいならアナログ管理からステップアップしましょう。RFIDや重量センサーと併用すると自動で入出庫を記録、画面から在庫数・ロットを即時確認できます。
MROプラットフォーム
MRO※とは、保全・修繕・運用に必要な副資材を一元カタログ化し、在庫・購買をまとめて管理する仕組みです。取引先を集約し購買コストを削減したり、使用実績を分析し、標準化・削減施策を立案したりできます。在庫管理にとどまらず、副資材の調達コストまで最適化したい場合に最適です。
※MROはMaintenance, Repair & Operationsの略
副資材管理の課題
従来、多くの現場では副資材を『目視+棚ラベル方式』で管理してきました。担当者が残量を目で確認し、ラベルやホワイトボードに手書きで補充メモを残すやり方で、初期コストはかかりませんが、書き忘れや担当者の勘に頼る場面が多く、在庫精度がばらつきやすいのが難点でした。
次に、週次や月次で数えた在庫数を Excel に入力する「定期棚卸+Excel管理」。この方式は帳簿を整えやすい反面、棚卸のたびに作業を止めて全品目を数える必要があり、人数や品目数が増えるほど工数が膨らみます。さらに棚卸の合間は実在庫が見えないため、差異が発生しても早期発見が難しいという課題がありました。
改善策として導入が進んだのが「単品バーコード出庫」です。箱やロール単位でバーコードを貼り、出庫時にスキャンして帳簿へ反映する仕組みで、数量の記録漏れは減ります。しかしテープや袋などは途中で使いかけになることが多く、巻末残量までは把握できません。その結果、帳簿と実在庫に徐々にズレが生じ、最終的に再棚卸でギャップが発覚する、というのが従来管理に共通する悩みでした。
重量管理で副資材管理の課題を解消
在庫管理システム「スマートマットクラウド」は、重量センサを搭載しています。スマートマットが重さで副資材の残量をリアルタイムで検知し、残量が少なくなったら、アラート送信もしくは自動発注をします。欠品させたくない副資材の管理に最適です。
スマートマットクラウドは重量で、目視で数えにくい部品や液体、巻物、重たいもの、かさばる副資材の残量を自動かつ正確にカウントします。
副資材の在庫管理改善に成功したスマートマットクラウド導入事例
スマートマットクラウドの機能を活用して、副資材在庫管理の課題を解消できた事例をご紹介します。
井上工具株式会社様の事例(製造業)
●対象副資材:製品梱包用資材
●Before:手動管理のため重複発注や欠品といったトラブルが発生。 定期的に簡易棚卸が必要
●施策:A3タイプを中心に100台のスマートマットを導入。商材ごとに閾値を設定し、基準を下回った場合は、自動発注。
●After:自動発注で副資材の管理時間を大幅削減。在庫状況は管理画面から状況を一元で簡単把握
井上工具株式会社様が実際にスマートマットクラウド運用されている動画
戸田建設株式会社様の副資材管理事例(建設業)
●対象副資材:養生テープ・ガムテープ・土嚢袋
●Before:現場ごとに使い切ってから連絡があり、欠品により作業待機・段取り替えが発生
●施策:各副資材をスマートマット上で重量管理し、残量が閾値未満で本社購買へ自動通知
●After:欠品と資材の補充待ちによる作業の遅延を回避
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。