在庫管理術
在庫管理は重量で自動化せよ| 重さで在庫を管理するIoT重量センサ完全ガイド【精度・比較・事例】
在庫管理の現場では今、数える、確認する、記録するといった人手作業が限界を迎えています。
特にネジ・ボルトなどのCランク部品や、液体・粉体といった不定形物は、正確に数え続けること自体が現実的ではありません。
そこで注目されているのが、重量センサーマットを使った在庫管理です。重さで在庫を管理すれば、在庫を動かすことなく、24時間365日、自動で残量を把握できます。

本記事では重量センサとは何か・どんな仕組みか、なぜ今、在庫管理に重さが選ばれているのか、RFIDやバーコードと何が違うのか、導入に失敗しないための注意点やIoT重量センサの選び方までを在庫管理の意思決定に必要な観点で網羅的に解説します。
なぜ今、在庫管理にIoT重量センサが選ばれるのか?
バーコードやRFIDが不向きな大量・不定形な物品に対し、重量管理は置くだけでリアルタイム可視化を実現する唯一の手段です。製造現場の在庫管理手法は、大きく分けて
- バーコード/QRコード
- RFID(ICタグ)
- 重量センサ(IoT)
の3つがあります。単価が安く大量に消費されるネジ、ボルト等の部品や液体、粉末は、バーコードやRFID管理が最適解にならないことがあります。
RFIDは高精度ですが、部品在庫に数十円のタグを貼るのはコスト的に矛盾しがちです。また、バーコードは入出庫のたびにスキャンが必要になり、現場作業員の負担が大きくなります。
IoT重量センサは、モノを載せておくだけで重さから個数を自動換算し、クラウド上で在庫を可視化できます。この作業レスな特性が、製造現場に定着する最大の理由です。

【比較】バーコード vs RFID vs 重量センサ
バーコード・RFID・ 重量センサ管理のそれぞれの特徴を整理しました。
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バーコード/QRコード:導入コストは低い一方、スキャン作業が必須で運用負担と人為ミスが残りやすい
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RFID:読み取りは効率的だが、タグ費用がネックになりやすく、Cランク部品ではコストが合わない場合がある
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重量センサ:置くだけで在庫が減った分を追跡でき、液体・粉体・微細部品にも強い

数えられないモノを可視化する【液体・粉末・部品・巻物】
重さの管理が真価を発揮するのは、これまで目視確認しか手段がなかった不定形物です。
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液体・粉末: タンクやドラム缶の中身は外から見ても分かりません。重量センサなら、容器の重さを風袋として差し引き、中身の残量を数値で可視化できます。
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部品: 「在庫がどの程度減っているか」を把握する精度で、棚卸や欠品防止に十分な管理が可能になります。
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ワイヤー・ケーブル:コイル状に巻いて保管する資材は、目分量で管理になりがちですが、重量を使うと数値管理が可能になります。

✍️筆者の経験からの一言アドバイス
「ネジ1本」と侮らず、Cランク部品にも重量管理を導入してください。
消耗品やネジ・ボルト・ワッシャーなどCランク部品は、数が多く減り方が早い一方で、主資材よりもどうしても管理が甘くなりやすく、欠品リスクの温床になっています。
特殊ボルトの欠品で、主要ラインを2時間停止したケースがあります。安価な副資材の納品リードタイムが短いとは限りません。重量センサは人が軽視しがちなリスクを24時間監視してくれる番犬のような存在なのです。
重量管理の仕組みと精度を保ち誤差を減らす運用とは?
重量管理の精度は導入を検討される方が必ず抱く疑問です。結論から言えば、重量センサ自体の精度は極めて高いですが、現場環境の影響を受けやすく誤差を吸収する運用ノウハウが不可欠です。
ロードセルの仕組み
多くのIoT重量計には、電子はかりと同じロードセルというセンサが使われています。 カタログスペックには非直線性やヒステリシスといった指標で誤差(例:フルスケールの±0.1%など)が記載されていますが、これは静止状態かつ一定温度という理想環境での数値です。

現場で誤差が出る3つの要因
現場の環境によっては、重量センサでカタログスペック通りの精度が出るとは限りません。工場特有の環境要因が精度に悪影響を与えることがあります。下記の環境では正常に動作しない可能性が高いため、設置場所の精査が必要です。
- 火の近くなど大きく温度差がある場所
- 気温が低すぎる・高すぎる場所
- 水中・地面が濡れている場所
- ほこり・砂塵が多い場所
- 傾斜のある場所
✍️ 筆者の経験からの一言アドバイス
とはいえ、夏場の空調のない倉庫や粉塵の舞うライン周辺など、製造業の現場はロードセルに理想的な環境ばかりではありません。スマートマットクラウドは冷凍環境での利用でも、条件付きでの利用が可能です。
1,400件以上の導入支援で培ったノウハウを踏まえて、お客様の現場に最適な方法をご提案します。お気軽にご相談ください。
▼多様な環境での導入事例
自社に最適な管理方法を相談する>>
【図解】重量検知から自動発注までのデータフロー
在庫が減ってから発注書がサプライヤーに届くまでの流れは、以下のようになります。

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現場: 重量計が在庫の減少を検知
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通信: Wi-Fi経由でクラウドへデータ送信
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クラウド: 事前に設定した発注点を下回ったか判定
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アクション:自動発注データを送信
これにより担当者が在庫を確認し、発注書を作成し送信する手間がゼロになります。
失敗しないIoT重量センサの選び方と主要サービス比較
通信方式、耐荷重、電源タイプなど、自社の環境に合わせた選定基準を提示し、主要サービスを比較・レビューします。
サービス選定の5大チェックポイント
導入後にミスマッチとならないよう、サービスを選ぶ時に以下の5点を必ず確認してください。
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通信方式: Wi-Fiは安価ですが、工場内では遮蔽物で切れるリスクがあります。安定性を求めるなら、携帯電話網を使うLTE対応モデルが推奨されます。
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耐荷重とサイズ: A4サイズのマット(数kg〜数十kg)から、パレットごとのる1t対応モデルまであります。管理対象に合わせて選びます。
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電源: 配線工事が不要な乾電池式が主流ですが、電池交換の手間を省きたい場合はAC電源式を選びます。
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API連携: 自社の基幹システムやSlack/Teamsなどチャットツールと連携できるか確認します。
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耐久性: 粉塵や油が舞う環境なら、防塵・防水規格(IP規格)や耐油性を満たしている必要があります。
主要IoT重量センササービスの比較
ここでは、代表的な重量センサ活用の3つのサービスを紹介します。
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●SmartMat Cloud (エスマット)
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特徴: センサーであるスマートマットのラインナップが豊富。自動発注・AIによる在庫最適化など機能が充実。
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向いている企業: 本格的に自動発注まで実現したい中〜大規模工場。
●ZAICON (ZAICO)
特徴: 在庫管理ソフト「zaico」と連携するIoT重量計。アプリで手軽に管理できるのが強み※1
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向いている企業: まずは低コストでスモールスタートしたい中小規模の現場。
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●SmartBin Cloud (ボサード)
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特徴: 産業用部品商社ボサードが提供。部品供給サービスと一体化しており、部品・部材の補充を自動化※2
向いている企業: ボサードのネジやボルトを使用し、管理・発注業務自体をアウトソースしたい企業。
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(参照)
※1:株式会社ZAICO「IoT重量計ZAICON」
※2:ボサード株式会社「SmartBin Cloud 」
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導入を成功させるための3ステップ
まずは特定ライン・特定品目で実験的に導入をし、効果や現場の使い勝手を検証します。失敗しない導入のためには、以下のステップを踏むことを推奨します。
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対象品目の選定 : 初めから全ての在庫を重量管理する必要はありません。管理工数がかかっている在庫、欠品の影響が大きい在庫をABC分析を使って選定し、部分的に導入します。
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小規模導入: まずは3ヶ月等期間を区切ってデータを取ります。この期間で通信は安定しているか、誤差は許容範囲内かを検証します。
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運用ルールの策定: 納品後速やかに重量デバイスに載せる、空箱はすぐに撤去といった現場の運用ルールを決め、マニュアル化します。
重量センサを使った在庫管理に関するよくある質問 (FAQ)
Q.Raspberry Piでセンサを自作できますか?
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A.技術的には可能ですが、業務利用は推奨しません。 耐久性、電源管理、セキュリティの面でリスクが高く、故障時の保守コストが製品購入費を上回るケースが大半だからです。
Q. 既存の棚にそのまま設置できますか?
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A.システムによります。コードレスで薄型設計のデバイスなら、既存の棚やパレットの下に設置できます。棚板の耐荷重制限と傾きには注意が必要です。
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まずは管理工数の大きな資材から!重量管理を始めよう
これまでの泥臭い棚卸し作業から解放され、生産性向上を実現するための第一歩は、重量センサの資料請求から始まります。
重量センサは、適切な場所に設置すれば、自社工場の生産性を向上させる強力な武器になります。 まずは自社の課題を整理し、ベンダーに相談することから始めましょう。
載せっぱなしでOK。24時間365日在庫を見続ける「スマートマットクラウド」
在庫管理ソリューション「スマートマット」は重量センサを利用した在庫管理・発注自動化サービスです。スマートマットは、24時間365日リアルタイム実在庫を監視します。

これまで在庫管理では「人が在庫のある場所まで移動する」「在庫を動かす」「在庫を数える」作業が不可欠でした。
当社の在庫管理システム「スマートマット」は在庫を載せっぱなしで、遠隔管理OK。重さから実在庫数を計測し続け、データを自動保存します。

在庫が閾値を下回った場合や、異変をキャッチした場合は速やかにアラートを送信。タイミングを逃さずに、欠品や過剰在庫を回避するアクションを起こせます。

重量物・長物在庫にも対応
スマートマットは重量物や長物にも対応します。複数のスマートマットを組み合わせたマルチマット機能で100kg以上の在庫も計測可能です。

自動発注から在庫削減まで。重量IoTで実現する在庫最適化
IoTで重量を検知するだけでなく、発注までを自動化、さらに蓄積データをもとにAIが改善支援を行うことで、在庫削減とキャッシュフロー改善を実現します。
重量IoTスマートマットクラウドの真の価値は、「棚卸を楽にする」ことではなく、「在庫を最適化する」ことにあります。
AI連携による在庫最適化
スマートマットクラウドは、重量センサで収集した在庫データをAIが分析する機能を提供しています。
AIは欠品リスクの上がった在庫を検知し、しきい値の変更や必要数の追加発注まで提案します。単に減ったら発注するだけでなく、在庫圧縮の余地がある資材をピックアップし、発注しきい値の引き上げの提案も行います。日次で在庫を監視しているので欠品の不安なしに在庫削減に着手できます。

人はAIの提案を確認し、承認か却下をフィードバックします。欠品リスクは日次で監視されているので、安心して在庫の削減にも取り組めます。
在庫最適化の成果を定量指標として集計した月次レポートが自動生成されます。取り組みの効果を客観的に把握でき、社内向けの報告資料としても活用できます。
重量センサで在庫管理の効率化に成功した導入事例
重量センサで在庫管理の効率化に成功した事例をご紹介します。
▼過酷な倉庫での作業時間を大幅減 東京ガスネットワーク株式会社
導入前は約800種類にも及ぶ工材を目視で確認。膨大な労力に加え、数え間違いが発生。夏は暑く冬は寒い倉庫での長時間作業が問題になっていました。RFIDのシステムも検討しましたが弊社の工材管理業務には適さないという結論に至りました。インターネットで重量計測という方法を見つけ、設定が簡単でWi-Fiを設置するだけという点が魅力的でした。
▼消費予測が困難な部品在庫を見える化 株式会社SUBARU
車の生産に必要な消費スピード予測が困難なバランスウェイトという部品があり、計画と実際の使用数にブレが生じていました。導入以前は緊急手配をなくすため、毎日社員が1.5hの工数をかけて数を確認し、発注をしていました。
スマートマットクラウドの導入によって、バランスウェイトを毎日手作業で数えることなく、在庫を見える化。年間244日、1日1.5時間にも及ぶ作業時間を削減することができました。














