在庫管理術
バーコードで在庫管理するには?【仕組みやメリット・デメリットをご紹介】
この記事では伝票への記入・回収、エクセル台帳への手入力などアナログな手法を脱却し、バーコードからモノの情報を識別する「バーコードでの在庫管理の仕組み」について詳しく説明しています。
またバーコードを用いた在庫管理のメリット・デメリットを解説。特に膨大かつ流動の激しい在庫をバーコードで管理するのは負担が大きいケースも。バーコードと併用してもOKな「重さ」で在庫管理をするソリューションを紹介しています。ぜひ最後までご一読ください。
バーコードを使った在庫管理の仕組みは?
バーコード読み取りから情報処理の流れ
バーコードは基本的には0~9の数字の羅列をもとに、太さの異なるバーとスペースを組み合わせた1次元シンボル※1として扱われます。ハンディスキャン(バーコードリーダー)やハンディターミナル、スマホアプリ等の読取り端末でバーコードに内包された情報を非接触で識別できます。
バーコードを在庫管理に使う場合、既に流通・運用されているバーコードを利用するケース※2がほとんどです。バーコードから認識された情報は、リーダーの種類や必要に応じて端末内で情報を処理もしくは、上位システムのPC等に転送するかが変わります。
基本的にハンディスキャンは情報の読み取りに特化し、上位システム(ソフトウェア)が必要となってきます。対してハンディーターミナル(スマホタイプ/アプリ利用)はリーダ本体にOSやプログラムが搭載され、単体でも使用可能で処理できる在庫情報※3も数多くあります。
とは言え、どのリーダーを使っているとしても、収集したデータから需要予測・不動在庫検知・消費変動を分析するのはPC等に搭載した上位システムで行うのがスムーズです。在庫管理業務を単なる効率化に留まらず、何らかの変革に繋げたいならデータ分析がカンタンに行える仕様の上位システム(ソフトウェア)であるほうがよいでしょう。
※1:QRコードは二次元コード。バーコードと比べて情報量が多く、またURL等で拡張されるケースも
※2:バーコードの自作に必要なGS1事業者登録、新規コードの発行についての詳細は後述
※3:数量情報の追加や入出庫処理、発注依頼など在庫管理業務を効率化できる処理が多い
バーコードで識別できる情報は?
既に流通している代表的なバーコードは以下の4つ。
- JANコード
- ITFコード
- 医療系コード(GS1データバー/GS1-128)
- 書籍コード(ISBNコード)
身近なバーコードの多くは「JANコード」と呼ばれ、商品の製造メーカーや商品アイテム情報を含みます。また物流業界で用いる「ITFコード」はJANコードの情報に加え、商品の複数単位や荷姿の情報が入っています。
医療用医薬品コードある「GS1データバー」や「GS1-128」は製造ロットや有効期限の管理情報を含みます。またISBNという書籍コードからは、出版社や著作名を特定することが可能です。
バーコードリーダーは読み取りに特化。ハンディターミナルはその場で処理できるタスクが多い
バーコードを識別するには、ハンディスキャナーとも呼ばれる「バーコードリーダー」もしくは「ハンディターミナル」を利用します。
バーコードリーダーは、スキャンしたバーコードを数字/文字に変換する読取りに特化しています。そのため、モノが複数個ある場合に数量をカウントするには、「スキャンを繰り返す」という動作が必要です。他の入出庫などの在庫処理は、上位システムでPCなどから処理・更新しなければなりません。
一方でハンディターミナルは、機器本体にプログラムが組み込まれ、また物理的(もしくは液晶画面内)にもテンキーなどの入力ツールが付随しています。そのため数量入力・入出荷・入出庫など在庫管理に関わるデータの処理や更新が可能です。
PC端末に必ずしも接続する必要はなく、単独での利用も可能です。加えてクラウドを介して上位システム(ソフトウェア/PC接続)と繋げる場合は、双方向でデータの送受信ができるため、在庫整理や棚卸の際に遠隔からの指示が出せます。
近年では、識別アイテムとして「スマホアプリ」が登場。ただし一般のアプリストアで購入できるうちの大半は、バーコードリーダーと同じ機能しかありません。ハンディターミナルと同等な高性能アプリは、バーコード在庫管理システムの運営企業からアップセルや拡張機能の一端として販売されています。
バーコードを使った在庫管理・棚卸のメリット
メリット① 物品識別から情報入力に人手が介入しないので、ヒューマンエラーが抑制される
物品の識別からデータ入力までに、アナログ手法のように筆記記入、転記、エクセルへの手入力などの人手が介入することがありません。
そのためヒューマンエラーが発生しにくく、結果的にシステム内の情報と実情報との乖離を抑えることが可能。理論在庫と実在庫の乖離が大きな問題になりがちな年次の棚卸に有益です。
メリット② ハンディターミナルで読み取れば、その場で情報が一致しているか確認できる
ハンディターミナルを使えば、識別した情報が端末画面に表示されるため、その場で実際のモノの内容や数量と一致しているかどうかを確認できます。
例えば、どのような状態・数量で実際に入荷されたか、納品時の検品作業と並行してハンディターミナルでスキャンしつつ、発注・納品書内容と一致しているか照合することが可能です。出荷時も同じく、検品や梱包作業をしつつモノの情報を識別し、照合することができます。
また事業所内で倉庫から製造現場や他拠点にモノを移動させたり、倉庫に戻したりする入出庫作業でも、実際のモノや数量を確認しながらのスキャニングが可能です。
メリット③ リアルタイムかつ遠隔から在庫状況を把握できる
日次で目まぐるしく変化する入出庫の流れをバーコードで管理すれば、リアルタイムな在庫状況を追えます。出庫数を確認するために、敷地内各拠点を巡回する必要はもうありません。
バーコードを使った在庫管理システムの仕様によっては、より迅速な入出庫作業・整流化に寄与。例えば入出庫のスキャンと同時に、モノの行先・ロット・数量・作業者など、モノの流れの管理に必要な情報をその場で入力します。
そうすると、離れた場所からでもリアルタイムな在庫状況が把握でき、適切な作業指示や迅速な発注アクションを出すことも可能で、在庫管理の効率化に貢献します。
メリット④ GS1に事業者登録すれば、バーコードは自作できる
自社アイテムにバーコードを自作・発行し、流通や在庫管理に使うことは可能です。但しまずは、各種流通コードを管理しているGS1※4に事業者コードの発行を依頼する必要があります。
さらに自社アイテムを整理・精査しつつ商品アイテムコードを策定し、前述の各数字からチェッククレジットを算出しなくてはなりません。それぞれの番号が決定してようやく、バーコード化つまりシンボル化できます。
バーコードの作成は商品パッケージや印刷会社に外注するか、もしくはGS1 Japanのホームページやバーコード印刷ソフトで自作可能。またバーコードを無料でカンタンに自作できるブラウザやソフト、アプリもインターネット上で見つけられます。
※4:GS1とは商品やサービスの国際標準となる識別情報の規格を策定・管理・普及させている非営利団体のこと。バーコードだけでなくRFIDやEDIにも関わっている。
エクセルを用いて、バーコードを自作することも可能です。Excel2013以降のバージョンなら、開発リボン内の「Microsoft Barcode control」というツールでバーコードを自作できます。
ただしバーコードのプリントアウトには白地に黒インク、かつシールタイプが基本。加えてスキャナで正しく読み取れる精度のプリンターが必要です。外注するにしろコストが掛かり、さらにGS1事業者コードの発行や3年単位の更新にも手数料が必要です。
自社アイテムのバーコード発行には、そのあたりの対費用効果や労力が割に合っているかどうか、よく検討するほうがよいでしょう。
バーコード在庫管理の課題点・デメリット
デメリット① バーコード有りが大前提。なければ自作
バーコード在庫管理システムは管理したいモノ全てにバーコードが付いているのが導入の前提条件です。バーコードがない物品については、自社で自作する必要があります。GS1事業者でない場合は、先に述べたように事業者登録から行う必要があります。
販売業や小売業であれば、取り扱うモノの多くにバーコードが付いていますが、製造業や建設業、インフラ業はその限りではありません。そのような業界で扱う資材・副資材・仕掛品・完成品をバーコードで在庫管理するのは、ハードルが高いでしょう。
デメリット② 在庫管理の効率upにはますます費用が嵩む
自社でバーコードを取得・自作するにしてもGS1への登録料と更新料、またバーコードの作成コストが必要です。
加えて在庫管理のよりよい効率化のため、ハンディターミナルを導入するにしても、システム(ソフトウェア)のプランをあげるにしろ、ますます費用が嵩んできます。
デメリット③ 読み込み不可やヒューマンエラーのリスクも
またバーコードが隠れていたり、汚れていたり、破損していれば識別は不可能です。さらに重複スキャンやスキャン忘れといったヒューマンエラーのリスクが生じます。
デメリット④ バーコードに含まれる情報量が少ないのもネック
また、バーコードは同じく自動識別ができるQRコードやRFIDと比べて、コードに含まれる情報量が少ないのが最たるネック。もちろんRFIDのように情報の書き換えもできません。
台帳・伝票の記入不要。スキャンとPC入力も不要。「重さ」で在庫管理する「スマートマットクラウド」
当社の「スマートマットクラウド」はモノの重さを捉えて在庫を管理するシステム。台帳・伝票への記入、PCへの数量入力は不要。さらにバーコード貼り付け作業やスキャニング工数も不要です。
重さを検知するIoT重量計(スマートマット)に管理したいモノを載せると、モノの重さから在庫数量を自動で算出します。数量把握のための目視カウントやスキャンを繰り返す必要はありません。
初期設定でスマートマットのシリアル番号とマットに載せるモノの情報を紐づけるだけでOK!最初からバーコードのないモノ、わざわざバーコードを発行すべきではない仕掛品もスマートマットクラウドで在庫管理ができます。
バーコードの在庫管理とスマートマットクラウドは併用可能
スマートマットクラウドはCSV・API・Wehook搭載で既存システムとの連携・併用が可能です。例えば自社アイテムがJANコードやITFコードを取得している場合、売上処理含む出荷や納品管理はバーコードで処理し、それ以外の在庫管理はスマートマットクラウドでと、扱うモノの特質に合わせて使い分けられます。
バーコードなどの在庫管理とスマートマットクラウドの比較
バーコード以外にもRFIDやカメラを用いた在庫管理があります。従来、在庫表に手で記入したり、エクセルに手入力したりするよりは、ヒューマンエラーが抑制されるというメリットがいずれの在庫管理方法にもあります。
ただし、コードをスキャンしたり、時にはコードやRFIDタグを貼りつけたりという手間がかかり、さらにスキャン漏れ・重複スキャンなどの人的ミスもあり理論在庫と実在庫の乖離はこういったシステムを利用しても、狭まらないと言われています。
そこで、「載せっぱ」でOKなIoT重量計を用いたSMCは、さまざまな人的負担を軽減するのに加えて、上位システム(PC等で使用するSaaS)に転送されるデータ=実在庫データとして乖離がなく、棚卸や在庫管理の効率化に大きく寄与しています。
スマートマットクラウド/RFID/コード系/カメラを使った在庫管理の比較
概要 |
ストック在庫の把握 |
トレーサビリティ |
現場への負荷 | 導入スピード | |
---|---|---|---|---|---|
スマートマットクラウド |
IoT重量計で在庫残量を自動的に取得。ストックされる在庫に最適 | ◎人手を介さず毎日把握可 |
△ |
◎現場負担はほぼ無し | ◎設置日にデータ取得可 |
RFID |
モノの動きやステータスを管理する場合に最適。タグ付けの手間がネック | △ | ◎ | △ | △ |
バーコード/QR |
PKGソフトが多く普及。RFIDと比較すると読取の面が現場の負荷に | △ | ○ | × | ○ |
カメラ |
対象が大きく数が少ない物の管理に有効。重なっている物などは読取不可 | △ | ○ | ○ | × |
リアルタイム実在庫データで的確な自動発注アクション
スマートマットは1日数回の計測タイミング、もしくは手動ボタンによる計測で>重さの変化を捉えます。
予め決めた発注点や閾値を下回れば自動発注・もしくは発注アラートを送信。発注業務が軽減されることにより、在庫管理の超効率化に貢献します。
在庫状態がひと目でわかるグラフ表示
在庫の変動数値は自動で推移グラフとして表示されるため、消費・発注による在庫量推移をひと目で把握。月次や年次のデータ分析や在庫圧縮に貢献します。
さらにスマートマットクラウドの管理画面では、在庫指数を赤・黄色・青の3色分類で表示。倉庫だけではなく各拠点の在庫量が不足、最適、過剰か、誰でもひと目で判断でき、スピード感のあるアクションが可能となります。
I学習機能により最適な発注点などをリコメンド
AI学習機能により2ヵ月分のデータが集積されれば、最適閾値や発注点、過剰消費や不動在庫をレコメンド。適正在庫の維持にも寄与します。
置く場所を選びません
スマートマットはg単位からマルチマット使用で1トンの重量物まで計測可能。さらにケーブルレスなため、保管庫内・収納棚や引き出しの中でも利用可能。耐冷仕様のため冷蔵庫・冷凍庫でも利用できます。
スマートマットクラウドで業務改善!バーコード在庫管理の課題やミスを解決した事例
弊社のスマートマットクラウドはさまざまな業界・企業様でご活用いただいています。なかでも、バーコード在庫管理の課題を解決された事例をご紹介します。
この記事を書いた人
スマートマットクラウド DXメディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業界ごとのDX推進や、業務改善、システムの導入など、わかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。