在庫管理術
稼働率とは?計算方法・可動率との違い・低下の原因と在庫管理で改善する方法を解説
「稼働率が目標に届かず、生産計画が思うように達成できない」「稼働率を上げたいが、どこに問題があるのかわからない」——製造業・物流・食品加工など生産現場を持つ企業の管理者から、こうした声をよく耳にします。
稼働率とは、設備や生産ラインが本来持っている生産能力に対して、実際にどれだけ稼働しているかを示す指標です。稼働率を正しく把握・分析することで、生産現場の非効率を特定し、改善につなげることができます。
本記事では、稼働率の定義・計算方法・可動率との違いを解説したうえで、稼働率が低下する主な原因と改善策、特に見落とされがちな「在庫・部品管理の非効率による稼働率低下」の解決方法まで紹介します。
この記事でわかること
- 稼働率の定義・計算方法・目安(業種別)
- 可動率・OEEとの違い
- 稼働率が低下する主な原因(設備・人員・在庫・部品の4つ)
- 在庫・部品管理の自動化(SmartMat Cloud)で稼働率を改善する方法と事例
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稼働率とは?定義をわかりやすく解説
👉 このパートをまとめると!
稼働率とは、設備や生産ラインが本来持っている生産能力(最大生産可能量)に対して、実際にどれだけ稼働・生産しているかを示す割合です。生産効率・設備利用効率を評価するための基本指標です。

稼働率の定義
稼働率(かどうりつ)とは、設備・生産ラインが持つ最大生産能力に対して、実際にどれだけ活用できているかを示すパーセンテージです。
製造業では「設備稼働率」として使われることが多く、工場全体の生産効率を評価する重要なKPIの一つです。稼働率が高いほど設備を有効活用できていることを意味しますが、単純に高ければ良いというものではありません。
稼働率が重要な理由
稼働率は以下の場面で活用されます。
-
生産計画の精度向上:稼働率を把握することで、現実的な生産計画を立案できる
-
ボトルネックの特定:稼働率が低い工程・設備を特定し、改善の優先順位をつけられる
-
コスト管理:設備の固定費に対して実際の生産量を評価し、製造原価の管理に活用できる
-
投資判断:新規設備投資や増産対応の判断材料になる
💡 専門家の視点からアドバイス:現場運用の落とし穴
「稼働率を上げること」を目標にしてしまうと、売れる見込みのない在庫を生産し続けるリスクがあります。稼働率はあくまで「現状把握と改善のための指標」であり、需要予測・在庫計画と連動させて活用することが重要です。稼働率が高くても過剰在庫が増えていれば、財務上のリスクが高まります。
稼働率の計算方法と業種別の目安
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稼働率の計算方法には「時間基準」と「生産量基準」の2種類があります。目的に応じて使い分けることが重要です。業種別の目安も参考にしながら、自社の稼働率を評価しましょう。

計算方法① 時間基準の稼働率
稼働率(%)=(実際の稼働時間 ÷ 計画稼働時間)× 100
具体例:
計画稼働時間:8時間(1日)
実際の稼働時間:6時間(部品切れ・段取り替えで2時間停止)
稼働率:(6 ÷ 8)× 100 = 75%
計算方法② 生産量基準の稼働率
稼働率(%)=(実際の生産量 ÷ 最大生産可能量)× 100
具体例:
最大生産可能量:1,000個/日
実際の生産量:750個/日(機械調整・部品待ちにより)
稼働率:(750 ÷ 1,000)× 100 = 75%
業種別の稼働率の目安
稼働率に「絶対的な正解」はなく、業種・設備の特性・需要状況によって適正値が異なります。一般的な目安は以下のとおりです。

可動率・OEEとの違い
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稼働率・可動率・OEEは似た概念ですが、測定する対象と目的が異なります。3つの違いを正しく理解することで、現場の問題点をより精度高く特定できます。

可動率(べきどうりつ)とは
可動率とは、設備が稼働可能な時間のうち、実際に正常稼働していた時間の割合です。故障・メンテナンスによる停止を評価する指標で、設備の信頼性・安定性を測ります。
可動率(%)=(正常稼働時間 ÷ 稼働可能時間)× 100
稼働率と可動率の最大の違いは「何を分母にするか」です。
| 指標 | 分母 | 測定する内容 |
|---|---|---|
| 稼働率 | 計画稼働時間または最大生産能力 | 生産効率・設備利用率 |
| 可動率 | 稼働可能時間 | 設備の信頼性・故障の少なさ |
OEE(設備総合効率)とは
OEE(Overall Equipment Effectiveness)は、稼働率・性能効率・品質効率の3つを掛け合わせた総合指標です。
OEE = 稼働率 × 性能効率 × 品質効率
-
稼働率:計画停止以外のロス(故障・段取り・部品待ち等)
-
性能効率:速度ロス(チョコ停・速度低下等)
-
品質効率:不良品・手直しロス
OEEの世界水準は85%以上が優良とされており、日本の製造業の平均は60〜70%程度といわれています。
稼働率が低下する4つの原因
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稼働率低下の原因は「設備」「人員」「在庫・部品」「計画」の4つに大別されます。特に「在庫・部品管理の非効率」は見落とされがちですが、稼働率低下に直結する重要な原因です。

原因① 設備トラブル(故障・メンテナンス不足)
設備の突発故障は稼働率低下の最も直接的な原因です。予防保全(PM)が不十分だと、突発停止が増え稼働率が大きく落ち込みます。
主な対策: 予防保全スケジュールの整備・設備点検の自動化・予知保全(IoT活用)
関連記事:📎 予備品|適正な管理とは?ダウンタイムを最小化する「リスクベース」の在庫戦略
原因② 人員・スキルの問題
段取り替えに時間がかかる、熟練者しか操作できない設備がある、欠員発生時に対応できないといった問題が稼働率を下げます。
主な対策: 多能工化・標準作業手順書(SOP)の整備・段取り改善(SMED)
原因③ 在庫・部品管理の非効率(★最も見落とされやすい原因)
「部品・原材料が足りなくてラインが止まった」「消耗品の在庫切れで作業が中断した」——これらは在庫管理の非効率が稼働率低下に直結している典型例です。
部品・原材料・消耗品の在庫管理が手作業・エクセルに頼っている現場では、欠品の発見が遅れ、ラインが止まってから初めて問題が発覚するケースが多くあります。
主な対策: IoT重量計による在庫のリアルタイム把握・自動発注アラートの導入
関連記事:📎 部品の在庫管理|細小部品や類似部品・選択嵌合部品等に適した管理システムと導入事例
原因④ 生産計画の不備
需要予測の精度が低い、実際の設備能力を考慮しない過剰な生産計画、突発オーダーへの対応不足なども稼働率低下の原因となります。
主な対策: 需要予測精度の向上・生産能力(キャパシティ)の正確な把握・柔軟な計画変更の仕組み
関連記事:📎 生産管理の効率化|効率が下がる原因とは?業務効率化の方法、活用すべきツール
💡 専門家の視点からアドバイス:現場運用の落とし穴
稼働率改善というと「設備投資」「メンテナンス強化」に目が向きがちですが、在庫・部品管理の改善は初期投資が少なく即効性が高い改善策です。「ラインが止まる原因の何割が部品・材料の問題か」を正確に計測することが、改善の第一歩です。
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在庫・部品管理の非効率が稼働率を下げるメカニズム
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部品・原材料・消耗品の在庫管理が手作業・エクセルに依存していると、欠品の発見が遅れ、ラインが止まってから初めて問題が発覚します。このメカニズムを理解することが、稼働率改善の突破口になります。

手作業・エクセル管理が「見えない欠品リスク」を生む
製造現場では、ネジ・ボルト・副資材・消耗品など、バーコード管理が難しい小物部品が多数存在します。これらを手作業・エクセルで管理している限り、以下の問題が繰り返されます。
① 在庫確認に時間がかかる
担当者が棚まで行って目視確認・手書き記録をする作業が毎日発生。1回30〜90分以上かかるケースも珍しくありません。
② 欠品の発見が「ラインが止まってから」になる
在庫数量をリアルタイムで把握できていないため、「ラインを動かそうとしたら部品が足りなかった」という状況が発生。緊急調達・作業中断・残業が常態化します。
③ 発注が「感覚・経験」頼りになる
「そろそろ発注しなければ」という担当者の記憶・経験に依存した発注管理では、発注忘れ・過剰発注の両方が発生しやすく、欠品と過剰在庫が繰り返されます。
稼働率への影響を数値で考える
1日8時間稼働のラインで部品切れによる停止が1時間発生した場合:
稼働率への影響:(8時間 - 1時間)÷ 8時間 × 100 = 87.5%(目標95%に対して7.5%のロス)
月20営業日で換算すると、月20時間のロスが発生します。このロスが在庫管理の改善で防げるとしたら、設備投資なしで稼働率を大幅に改善できます。
在庫管理の自動化で稼働率を改善する方法
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SmartMat Cloudは「置くだけ」で部品・原材料・消耗品の在庫をリアルタイム自動計測するIoTサービスです。欠品による稼働率低下を根本から防ぎ、担当者を確認作業から解放します。

SmartMat Cloudが稼働率改善に貢献する3つのポイント
SmartMat Cloud(スマートマットクラウド) は、部品・原材料・消耗品を置くだけで重量から個数を自動計測するIoTサービスです。製造現場の稼働率低下の根本原因である「在庫の見えない化」を解消します。
① 部品・原材料の欠品をリアルタイムで検知
SmartMatが常時重量を計測し、在庫が発注点を下回った瞬間に自動アラートを送信。「ラインが止まってから気づく」という状況をゼロにします。
② 自動発注アラートで緊急調達を防止
発注点を設定しておくと、在庫量が基準を下回った時点で自動的にアラート通知または発注トリガーを送信。経験・記憶頼りの発注管理から脱却し、欠品・緊急手配の連鎖を断ち切ります。
関連記事:📎 製造業の自動発注を成功に導く完全ガイド(関連記事欄にも記載)※資材調達記事
③ 在庫確認工数をゼロにして本来の製造業務に集中
毎日の目視確認・手書き記録・エクセル転記という作業が不要になり、担当者が段取り改善・品質管理など付加価値の高い業務に集中できます。
関連記事:📎 IoT重量計×在庫管理|在庫管理の自動化と最適化を両立する新しい仕組み


SmartMat Cloud 導入事例:稼働率改善につながった現場の変化
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部品・消耗品の在庫管理を自動化することで、欠品によるライン停止を防ぎ、稼働率改善と工数削減を同時に実現した事例を紹介します。
事例① 株式会社SUBARU|毎日1.5時間の部品確認作業を自動化・欠品リスクを解消
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課題: 消費スピードが不規則な部品を、若手社員が毎日1.5時間かけて手作業で確認・発注していた。部品切れによる生産ラインへの影響リスクを常に抱えており、緊急手配も頻発していた。
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SmartMat Cloud導入後:バランスウェイトなど70種類の部品の在庫をリアルタイム自動計測。毎日1.5時間(年間約360時間)の手作業確認が不要になり、部品切れによるライン停止リスクも解消。従来比1.5倍の費用対効果を実現した。
💡 このケースの教訓
「毎日1.5時間の確認作業」は稼働率の観点からも大きなロスです。担当者がライン管理ではなく在庫確認に時間を使っている状況は、製造現場全体の生産性を下げています。
事例② 積水成型工業株式会社|クリーンルームの部品確認を遠隔化・月80時間削減
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課題:クリーンルーム内の部品・資材確認のたびに入室準備が必要で、確認作業に多大な工数がかかっていた。在庫状況をリアルタイムで把握できず、欠品による生産への影響リスクが高かった。
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SmartMat Cloud導入後:月80時間の発注・在庫確認業務を削減。クリーンルームへの入室なしで遠隔リアルタイム確認が可能になり、欠品による生産停止リスクも解消した。
💡 このケースの教訓
「場所的な制約」による在庫確認の困難さは、欠品リスクと稼働率低下に直結します。IoT化によって制約を取り除くことが、稼働率改善の最短ルートです。
事例③ 株式会社日立産機システム|約6,000点の部品棚卸を自動化・月12時間削減
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課題:約6,000点の部品在庫を管理していたが、毎月全品目の棚卸が現実的でなく、在庫差異が蓄積。部品の閾値割れに気づくのが遅れ、欠品リスクが高い状態が続いていた。
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SmartMat Cloud導入後:205台のSmartMatを導入し、棚卸工数を月12時間削減。在庫が閾値を下回ると工程部門・調達部門に自動アラートが届くようになり、欠品によるライン停止リスクが解消された。
💡 このケースの教訓
部品点数が多い現場ほど、手動管理では欠品の見落としリスクが高まります。IoTによる自動計測・自動アラートで、部品点数に関わらず確実な在庫管理が実現します。
稼働率に関するよくある質問(FAQ)
Q. 稼働率と可動率はどう使い分ければいいですか?
A. 目的によって使い分けます。稼働率は「設備をどれだけ生産に活用できているか(生産効率・需要対応)」を評価するのに対し、可動率は「設備が故障・メンテナンスなく正常に動き続けられているか(設備信頼性)」を評価します。稼働率が低い場合、その原因が「需要不足」なのか「設備トラブル・部品切れ」なのかを切り分けるために、両指標を併用することが効果的です。
Q. 稼働率を上げるために最初に取り組むべきことは何ですか?
A. まず「なぜ稼働率が低いのか」の原因分析が最優先です。設備故障・段取り時間・部品欠品・計画の問題など、原因によって対策がまったく異なります。実際の停止原因をデータで記録・分析することなく対策を打っても効果が出ません。特に「部品・材料の欠品による停止」は見落とされがちな原因で、在庫管理の改善で比較的短期間に改善できる領域です。
Q. 稼働率の目標値はどう設定すればいいですか?
A. 業種・設備特性・需要状況によって異なりますが、一般的には75〜85%が製造業の目安とされています。重要なのは「業界標準」ではなく「自社の最適値」を設定することです。メンテナンス時間・段取り時間・需要変動を考慮したうえで、持続可能な目標値を設定してください。稼働率100%を目指すと保全ができず、かえって突発停止リスクが高まります。
まとめ:稼働率改善は「設備」だけでなく「在庫管理」から始める

稼働率は製造現場の生産効率を評価する重要な指標です。稼働率低下の原因は設備トラブル・人員問題・生産計画の不備など多岐にわたりますが、特に見落とされがちなのが「在庫・部品管理の非効率による欠品・ライン停止」です。
設備投資やメンテナンス強化に比べて、在庫管理の自動化は初期投資が少なく即効性が高い改善策です。IoT重量計による部品・原材料のリアルタイム把握と自動発注アラートを導入することで、欠品によるライン停止をゼロに近づけ、稼働率を改善できます。
関連記事:📎 製造業の効率化|必要な理由・目安・効率化に欠かせない在庫管理

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