ロジスティクスとは？物流との違いからSCMとの関係までを図解で学ぶ戦略入門

そもそもロジスティクスとは？物流との決定的な違い

【まずは基本】物流を構成する6つの機能

物流という言葉から、多くの人が思い浮かべるのはトラック輸送や倉庫での保管作業でしょう。そのイメージは正しく、物流とはモノを生産拠点から消費者の手元へ届けるまでの物資の移動と管理のすべてを指します。

物流は、次の6つの機能で構成されています。

6つのプロセスは、いずれもモノの流れを支える実行機能です。つまり物流とは、企業の供給活動を現場レベルで支える手足のような存在です。

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物流を包括的にマネジメントする経営戦略「ロジスティクス」

一方、ロジスティクスとは、物流の各機能を経営の視点で計画し、統合的に管理し、全体を最適化する戦略です。
単なる輸送や保管の効率化ではなく、「いつ・どこで・どの量を・どの手段で」届けるかを設計する仕組みそのものを意味します。

ロジスティクスの目的は、在庫や輸送コストを最小限に抑えながら、需要に応じた供給を実現すること。需要予測や拠点配置の最適化、情報システムの整備を通じて、企業全体のサプライチェーンを統合的にマネジメントします。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会（JILS）は、ロジスティクスを「物流を高度化させたもの」と定義しています。

つまり、物流が現場レベルでの部分最適を目指す活動であるのに対し、ロジスティクスは企業やグループ全体の流れを最適化する上位概念で、経営戦略の中核として、モノと情報、そして顧客との関係性をつなぐ重要な役割を担っています。

【図解】ロジスティクスと物流の関係性

言葉だけではイメージしづらいかもしれませんが、図を用いることで両者の関係性がより明確に理解できます。

図が示すように、物流はロジスティクスの一部として機能する実行領域です。
ロジスティクスは、輸送や保管などの現場作業を経営視点で最適化し、システムやデータを通じて全体の流れを統合的に管理します。
戦略と実行の包含関係を理解することが、効率的なサプライチェーン構築の第一歩となります。

サプライチェーンマネジメントとロジスティクスの関係

企業活動を俯瞰すると、ロジスティクスはモノの流れを最適化する中核機能で、さらに上位の概念としてサプライチェーンマネジメント（SCM）が存在します。

サプライチェーンが原材料の調達から消費者への提供までをつなぐ全体の流れであるのに対し、ロジスティクスはその中でモノの流れを円滑にし、最適化する役割を担います。

サプライチェーンマネジメントとは？

ロジスティクスと物流の違いが理解できたところで、次に押さえておきたいのがサプライチェーンマネジメント（SCM）です。

サプライチェーンとは、商品が消費者に届くまでの

原材料の調達 → 製造 → 在庫管理 → ロジスティクス → 販売

という一連の流れのこと。この流れに関わる複数の企業や部署を横断し、モノ・情報・お金の流れを統合的に最適化する経営手法をサプライチェーンマネジメントと言います。

ロジスティクスが主に自社内部の効率化を目的とするのに対し、サプライチェーンマネジメントは取引先や販売店などの外部も含めた最適化を目指すという点で、より広い視野を持つ概念です。

【図解】サプライチェーン全体におけるロジスティクスの位置づけ

このように、ロジスティクスはサプライチェーン全体の中で、モノと情報の流れを結び、各工程を効率的に機能させる役割を担っています。
ロジスティクスが適切に整備されていなければ、サプライチェーン全体の流れにムダや停滞が生じ、結果として供給の安定性にも影響が及びます。

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なぜ今ロジスティクスが「戦略の武器」になるのか？

多くの企業が陥る誤解「物流＝コスト」という思い込み

「ロジスティクスが重要なのは理解している。だが、物流や倉庫のシステム利用費用など、結局はコストでは？」そう感じる経営者やマネージャーは少なくありません。

確かに物流は企業の費用構造に直結する領域です。しかし単なる経費として扱うか、将来の利益を生む投資として捉えるかで、事業の成長軌道はまったく異なります。

データとDXでロジスティクスをコストから戦略へ転換

ロジスティクスを戦略的に位置づけるということは、効率化と付加価値創出を両立する仕組みを経営マネジメントの中に組み込むということです。
この視点の有無が、顧客満足度・リピート率・市場シェアといった成果に直結します。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
自動車部品の供給会社では、取引先メーカーへの納品タイミングのズレが課題となっていました。メーカー側が発注するまで在庫状況を把握できず、需要の変動に追随できないことがしばしば発生。結果として、補充のための緊急輸送コストが膨らんでいました。そこでスマートマットクラウドを導入し、取引先と在庫データをリアルタイム共有するVMI（ベンダー在庫管理）を開始。

これにより、発注待ちの時間や緊急出荷が大幅に減少。納期遵守率が向上しました。同時に、在庫データを双方で共有することで、適正在庫の維持と供給計画の精度向上も実現しています。

この取り組みを通じて、ロジスティクスは単なるコスト削減の対象ではなく、取引先との信頼を強化し、継続的な受注につながる戦略的投資領域へと進化しました。

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避けては通れない2024年問題とDX

さらに物流の2024年問題という、働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられることで輸送力が減少する懸念が、BtoBの供給網に深刻な影響を与えています。
AIによる需要予測やIoTを活用した在庫・輸送データの可視化、倉庫業務の自動化など、物流DXによるロジスティクス最適化はもはや不可欠となっています。

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ロジスティクスに関するよくある質問（FAQ）

Q. 3PLとは何ですか？

A. 3PLとは「Third-Party Logistics（サードパーティ・ロジスティクス）」の略です。企業が物流機能の全体または一部を外部の専門業者に委託するビジネスモデルを指します。単なる輸送や保管の代行だけでなく、物流戦略の立案から情報システムの構築まで、包括的なコンサルティングを提供してくれるパートナーと考えると分かりやすいでしょう。

Q. ロジスティクスの将来性はどうなりますか？

A. ロジスティクスの重要性は今後ますます高まっていくと考えられます。特に、AIによる高精度な需要予測、ロボットによる倉庫内作業の完全自動化、ドローンや自動運転トラックによる無人配送など、最新テクノロジーとの融合が加速するでしょう。これにより、さらなる効率化と顧客体験の向上が実現され、ビジネスにおけるロジスティクスの役割はより一層戦略的なものへと進化していきます。

 【まとめ】明日から始める戦略的ロジスティクスへの第一歩

ロジスティクスは物流を内包する経営戦略。全体像を理解し、自社の課題を洗い出すことが、競争力を高める第一歩となります。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

本記事のポイント

次のステップ

この記事を読んでロジスティクスの全体像を掴んだあなたは、もうスタートラインに立っています。まずは会社の製品の流れが、サプライチェーン全体の中でどのようになっているかを可視化してみましょう。

そして、顧客により速く、より安く、より確実に届けるためにどこに改善の余地があるか、考えてみることが戦略的ロジスティクスへの重要な第一歩です。

自社のサプライチェーン最適化における課題の特定や、具体的な改善策について専門家のアドバイスが必要な場合は、お気軽にご相談ください。

IoT活用で課題をチャンスに変える
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IoTがロジスティクスを変革する

IoT機器を導入することにより、さまざまな業務の自動化や見える化ができるだけでなく、今までは採れなかったデータの収集・蓄積が可能です。特に情報とモノの流れを整備し、データ収集できるIoT機器は、戦略的なロジスティクスの大きな一助となります。

導入効果の例

例えば在庫管理や工程管理業務にIoT機器を導入すると、以下のような効果が期待できます。

DXの入り口としてのIoT導入

特に、生産・物流・販売の各現場でデジタルデータを活用することで、人的依存から脱却し、標準化された業務運用が可能となります。これにより、DX（デジタルトランスフォーメーション）の第一歩として、ロジスティクス改革を小さく始めることが可能になります。

顧客先の在庫情報をリアルタイムで把握するVMIの方法を見る＞＞

スマートマットクラウドですぐ始められるロジスティクスDX

「スマートマットクラウド」は、在庫をマットに置くだけで自動計測・発注できるIoT在庫管理システムです。現場のあらゆるモノをIoT重量計（スマートマット）で自動計測し数量を見える化。発注の自動化やあらゆる在庫の一元管理、在庫圧縮に活用できます。

簡単にモノの流れとデータを見える化。最適な在庫管理DXソリューションであり、ロジスティクス強化にも繋がります。

●置くだけ設置＆自動検知

スマートマットの上にモノを置くだけで、在庫の変動を自動で把握。人手いらずで在庫をリアルタイム管理。

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在庫が減ったタイミングで、FAX・メールなどお客様に応じた発注手段を自動実行。

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推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します

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ケーブルレス設計。A3〜A6サイズまであり、工場ラインや医療倉庫、厨房内でも柔軟に配置。棚や引き出しの中にも設置可能で、複数組み合わせるマルチマッチ仕様なら、～2ｔまでの重量物にも対応できます。

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生産管理システムや購買管理システムとの連携実績も多数。全体最適の在庫管理に対応可能です。

スマートマットクラウドによるロジスティクス強化の成功事例

スマートマットクラウドは、現在多くの企業様に導入いただいています。導入により、より戦略的かつ顧客満足度向上につながる在庫管理が実現した事例をご紹介します。

▼RPA連携で発注業務を自動化（株式会社NTT東日本 板橋サービスセンター）

保守パーツ部材の在庫管理に課題を抱えていた中、スマートマットクラウドを導入。リアルタイムで在庫を可視化できる体制を構築しつつ、自社発注システムとRPA連携しました。これにより、欠品リスクを回避しつつ、発注業務の効率化と作業時間の大幅削減を達成。現場主導で進めるロジスティクス改善の好例です。

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▼属人的な在庫管理から脱却、在庫100万円削減（株式会社カナエ産業）

従来は担当者に依存した在庫管理が行われ、実在庫と理論在庫の乖離、生産計画やリードタイムにも影響が出るなどの課題があった。SmartMat Cloud導入により、全社的な在庫の見える化を実現。これにより補充の適正化が進み、発注ミスや過剰在庫を抑え、在庫金額の約100万円削減を達成した。在庫の見える化による業務改善だけでなく、コスト削減・顧客満足度の向上などロジスティクスの強化に大きく貢献。

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