在庫管理術
物流効率化|業界の課題を物流効率化法×IoTシステム活用で解決する方法とは?
再配達や人手不足、コスト増――物流業界を取り巻く課題に対し、効率化は不可欠です。
この記事では、物流業界の最新動向と課題を整理し、システム化・IoT導入による改善策や成功事例を交えて、実践的な物流効率化の方法を解説します。
物流業界の最新状況
国土交通省の調査※1によると、令和6年度(2024年度)の宅配便取扱個数は、50億3147万個で、過去最高を更新しました(前年度比0.5%増)。
- トラック運送:49億2614万個(全体の約98.1%)
- 航空等利用運送:1億533万個(全体の約1.9%)
この背景には、EC市場・ネットスーパーの成長やライフスタイルの変化があります。特に再配達や置き配の需要増、配送の即時性へのニーズが物流現場の負担を一層高めています。
※1:国土交通省「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について」を参照
物流業界の深刻な課題
こうした状況を受け、物流業界では物流コストの上昇と深刻な人手不足が大きな課題となっています。物流現場では効率化・自動化の重要性がこれまで以上に高まっています。
物流コストの上昇
物流コストとは、輸送・保管・荷役・管理など、物流に関わる全ての工程で発生する費用の総称です。 物流コストと言うと、モノの運搬に掛かるお金というイメージを抱きがちですが、事務作業や梱包作業などの社内業務で発生する経費も物流コストに含まれます。物流コストは、大きく以下の4種類に分けられます。

- 輸送費: 配送にかかる費用。配送人件費や車両リース料、燃料費、運賃等
- 保管費: 在庫を保管する倉庫の費用。賃貸料、光熱費、保険料、倉庫人件費等
- 荷役費: 入荷や出荷の時に発生する費用。入庫費、出庫費、梱包材料費等
- 物流管理費: 物流を管理・運営するための費用。管理部門の人件費、受発注や在庫管理に使うシステム費、通信費、事務用品費等
深刻な人手不足

物流業界は拘束が長時間に及ぶことが多く、労働環境の悪化が懸念されており、実際に長時間労働による交通事故なども発生しています。
荷物の配送を担当する長距離ドライバーは、運転だけではなく、配送先の倉庫やセンターでの積み下ろしや在庫確認などの作業も加わるため、大きな負担を強いられてしまいます。
このような労働環境の悪さは物流業界の人材流出、人材不足の原因となっており、業務の効率化や働き方改革が急務と言われています。
さらに、少子高齢化の影響もあり、ドライバーの人手不足解消は一刻の猶予もない状況です。
物流効率化とは【方法・メリット】
物流効率化とは、輸送・保管・荷役・包装・流通加工といった物流の各機能を見直し、ムダや停滞を減らして物流全体を最適化する取り組みです。人手不足、物流コストという大きな課題を解決するには、この物流効率化が求められています。物流効率化は、出荷や在庫管理など個別業務の改善を積み重ねることで実現します。物流を効率化するには以下のような方法が効果的と言われています。
コスト削減の方法

物流コストを削減するポイントは、在庫管理を徹底し保管費を下げること。 過剰になりがちな在庫量をコントロールし、在庫変動をチェックして滞留在庫が倉庫にないかを調べるのが効果的です。
また自社にフィットする在庫管理システムを導入し在庫管理を自動化することで、物流コストで大きな割合を占めている人件費を削減することができます。 しかし大掛かりな在庫管理システムを導入すると、情報処理費がかさんで新たなコストになることも。
人手不足の解消方法

人手不足を解消するには以下のような改善策への取り組みが必須です。
●労働環境を整える
現在の労働環境や従業員のシフト、賃金を見直し、働きやすい環境を整備。
●最新システム・技術の導入/作業の自動化
IoTやクラウド型管理システムを利用することで、物流管理工数の自動化・効率化が図れます。最新技術を利用した在庫管理・倉庫管理システムなどの導入が一般的。データ活用やシステム連携による物流DXの取り組みも進んでいます。
物流KPI(物流管理指標)の活用

物流効率化の指標となるのが、物流KPI※2(物流管理指標)です。
物流の以下の3点に関して、適切な管理がなされているかを判断するための指標です。
- コスト・生産性:1件当たり物流費、出荷作業時間、積載率、保管効率
- 品質・サービスレベル:誤配送(誤出荷)率、納期遵守率、棚卸差異
- 物流条件:出荷ロット、出荷指示遅延、納品先待機時間(荷待ち時間)、附帯作業時間
物流KPIを設定することは、自社における物流の現状を可視化しボトルネックの特定と改善施策を行う上で役立ちます。
※2:KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、業務を進めるうえで重要となるさまざまな定量的データの総称。
物流効率化法(旧・物流総合効率化法)による支援策と義務

国土交通省では、昨今の物流分野における労働力不足や荷主や消費者ニーズの高度化・多様化による多頻度小口輸送の進展等に対応するため、物流効率化法(旧・物流総合効率化法)※3に基づき、「2以上の者の連携」による流通業務の省力化及び物資の流通に伴う環境負荷の低減を図るための物流効率化の取り組みを支援しています。
流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、以下の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等が設けられています。国の認定を受けた事業は、補助金・税制優遇の対象となる場合もあります(対象要件や支援内容は年度により変わるため、最新の公募要領をご確認ください)。
また同法は2024年問題への対応として2024年5月に改正・公布され、2025年4月に荷主・物流事業者の努力義務や判断基準が、2026年4月には特定事業者の指定・物流統括管理者(CLO)の選任・中長期計画の提出・定期報告の義務が施行されました。支援策の活用と同時に、自社が特定事業者に該当するかの確認も欠かせません。
※3:2005年に施行された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」(物流総合効率化法/物効法)が2024年の改正で「物資の流通の効率化に関する法律」(物流効率化法)に改称され、2025年4月1日から新名称となりました。
輸送網の集約
倉庫や物流センターなどの物流拠点を集約し、輸送ルートを減らして配送効率を上げる取り組みです。
モーダルシフト
トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換すること。
モーダルシフトを推進し、トラック輸送を船舶輸送や鉄道輸送に代替することで、トラックドライバーの人材不足にも対応できます。
輸配送の共同化
複数の物流企業で提携し、共同で配送業務を行うこと。同じエリアの配送先をひとつの企業が請け負うことで、物流コストの削減が可能です。
輸送量当たりのトラックの本数を減らすことで、トラックの積載効率の向上や、二酸化炭素の排出量削減にもつながります。
物流効率化に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 物流効率化とは何ですか?物流の5大機能との関係は?
A. 物流効率化とは、輸送・保管・荷役・包装・流通加工といった物流の5大機能を見直し、ムダや停滞を減らして全体最適を図る取り組みです。人手不足やコスト上昇への対応として、運送の効率化やデータ活用が重要視されています。
Q2. 物流効率化法とは何ですか?2026年4月から何が変わりましたか?
A. 物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)は、荷主・物流事業者に物流改善を求める法律です。2024年の改正により、2025年4月から荷主・物流事業者の努力義務と判断基準が施行され、2026年4月からは一定規模以上の「特定事業者」に対して、物流統括管理者(CLO)の選任、中長期計画の提出、定期報告が義務化されています。
Q3. 物流効率化を進めるには何から始めるべきですか?
A. まずは物流量・在庫・荷待ち時間などの現状を可視化することが重要です。IoTやデータ連携を活用し、積載率改善や作業平準化を進めることで、物流効率化法への対応と同時にコスト削減・安定供給につながります。
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