在庫管理術
物流効率化|物流の課題をシステム化と最新IoTの成功事例で読み解く

再配達や人手不足、コスト増――物流業界を取り巻く課題に対し、効率化は不可欠です。
この記事では、物流業界の最新動向と課題を整理し、システム化・IoT導入による改善策や成功事例を交えて、実践的な物流効率化の方法を解説します。
物流業界の最新状況
国土交通省の調査※1によると、令和5年度(2023 年)の宅配便取扱個数は、50億733万個で、過去最高を更新しました。
- トラック運送:49億1401万個(全体の97.9%)
- 航空等利用運送:9332万個
この背景には、EC市場・ネットスーパーの成長やライフスタイルの変化があります。特に再配達や置き配の需要増、配送の即時性へのニーズが物流現場の負担を一層高めています。
※1:国土交通省「宅配便取扱実績」を参照
物流業界の深刻な課題
上記のような現状の中、物流業界では以下の「物流コストの上昇」と「深刻な人手不足」が大きな課題です。このため、物流現場では効率化・自動化の必要性が一層、高まりつつあります。
物流コストの上昇
物流コストには以下の4種類があります。
「物流コスト」とは、輸送・保管・荷役・管理など、物流に関わる全ての工程で発生する費用の総称です。 物流コストと言うと、「モノの運搬に掛かるお金」というイメージを抱きがちですが、事務作業や梱包作業などの社内業務で発生する経費も物流コストに含まれます。
- 輸送費: 配送にかかる費用。配送人件費や車両リース料、燃料費、運賃等
- 保管費: 在庫を保管する倉庫の費用。賃貸料、光熱費、保険料、倉庫人件費等
- 荷役費: 入荷や出荷の時に発生する費用。入庫費、出庫費、梱包材料費等
- 物流管理費: 物流を管理するための人件費。
深刻な人手不足
物流業界は拘束が長時間に及ぶことが多く、労働環境の悪化が懸念されており、実際に長時間労働による交通事故なども発生しています。
荷物の配送を担当する長距離ドライバーは、運転だけではなく、配送先の倉庫やセンターでの積み下ろしや在庫確認などの作業も加わるため、大きな負担を強いられてしまいます。
このような労働環境の悪さは物流業界の人材流出、人材不足の原因となっており、業務の効率化や働き方改革が急務と言われています。
さらに、少子高齢化の影響もあり、ドライバーの人手不足解消は一刻の猶予もない状況です。
物流効率化とは【方法・メリット】
人手不足、物流コストという大きな課題を解決するに、業務の効率化が求められています。
物流を効率化するには以下のような方法が効果的と言われています。
コスト削減の方法
物流コストを削減するポイントは、在庫管理を徹底し保管費を下げること。 過剰になりがちな在庫量をコントロールし、在庫変動をチェックして滞留在庫が倉庫にないかを調べるのが効果的です。
また自社にフィットする在庫管理システムを導入し在庫管理を自動化することで、物流コストで大きな割合を占めている人件費を削減することができます。 しかし大掛かりな在庫管理システムを導入すると、情報処理費がかさんで新たなコストになることも。
人手不足の解消方法
人手不足を解消するには以下のような改善策への取り組みが必須です。
●労働環境を整える
現在の労働環境や従業員のシフト、賃金を見直し、働きやすい環境を整備。
●最新システム・技術の導入/作業の自動化
IoTやクラウド型管理システムを利用することで、物流管理工数の自動化・効率化が図れます。最新技術を利用した在庫管理・倉庫管理システムなどの導入が一般的。
物流KPI(物流管理指標)の活用
物流効率化の指標となるのが、物流KPI※2(物流管理指標)です。
物流の以下の3点に関して、適切な管理がなされているかを判断するための指標です。
- コスト・生産性1件当たり物流費、出荷作業時間
- 品質・サービス誤配送率、納期遵守率
- 物流条件積載率、再配達率
物流KPIを設定することは、自社における物流の現状を可視化しボトルネックの特定と改善施策を行う上で役立ちます。
※2:KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、業務を進めるうえで重要となるさまざまな定量的データの総称。
物流総合効率化法による支援策
国土交通省では、昨今の物流分野における労働力不足や荷主や消費者ニーズの高度化・多様化による多頻度小口輸送の進展等に対応するため、物流総合効率化法(物効法)※3に基づき、「2以上の者の連携」による流通業務の省力化及び物資の流通に伴う環境負荷の低減を図るための物流効率化の取り組みを支援しています。
流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、以下の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を策定。国の認定を受けた事業は、補助金・税制優遇の対象となる場合もあります。
※3:物流総合効率化法は2005年に施行された流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律
輸送網の集約
倉庫や物流センターなどの物流拠点を集約し、輸送ルートを減らして配送効率を上げる取り組みです。
モーダルシフト
トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換すること。
モーダルシフトを推進し、トラック輸送を船舶輸送や鉄道輸送に代替することで、トラックドライバーの人材不足にも対応できます。
輸配送の共同化
複数の物流企業で提携し、共同で配送業務を行うこと。同じエリアの配送先をひとつの企業が請け負うことで、物流コストの削減が可能です。
輸送量当たりのトラックの本数を減らすことで、トラックの積載効率の向上や、二酸化炭素の排出量削減にもつながります。
物流効率化を支えるIoT在庫管理「スマートマットクラウド」
「スマートマットクラウド」は現場のあらゆるモノの重さをIoTで検知し、在庫管理・在庫発注を自動で行う次世代型システムです。
マットに置くだけ
IoT重量計であるスマートマットに管理したいモノを置くだけで、自動で数量を計測。スマートマットはサイズ展開豊富で、複数使用(マルチマット)も可能。数えにくいモノから重量物まで計測します。またケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能です。
自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
クラウドで一元管理
IoT重量センサからクラウドに転送された在庫情報により、グラフで在庫推移・発注状況を可視化。適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。またAPI連携により、他のWMS/ERPとの接続実績も豊富です。
スマートマットクラウドによる配送・納品の効率化の成功事例
スマートマットクラウドの導入により、顧客への配送・納品の効率化、工数コスト削減に成功した事例をご紹介します。
▼取引先の在庫数を可視化して納品効率を改善(株式会社フロニカ)

リネン業界のフロニカでは、スマートマットクラウドを導入することで、「取引先の在庫状況をリアルタイムで可視化」「日次・月次グラフ化で提案型納品へ」「棚卸業務の削減により取引先・自社双方の業務を効率化」に成功しました。
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この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。