在庫管理術
在庫変動【在庫循環と在庫管理との関係、企業に与える影響、在庫変動の記録をサポートするIoT機器】

在庫変動は企業の入庫・出庫によって在庫数が増減する現象を指す、在庫管理の基本的な指標のひとつです。企業の経営マネジメントにとって不可欠な要素であるだけでなく、社会の景気全体の目安にもなります。
本記事では在庫変動の定義をはじめ、経営や景気への影響、さらにIoT機器を活用した効率的な在庫管理方法まで、わかりやすく解説していきます。
在庫変動とは【定義をわかりやすく】
在庫変動(英語:Inventory fluctuation)とは、わかりやすく言うと入庫・出庫により在庫数が変わり動くことです。企業の収益性やキャッシュフローに直結する重要な要素であり、さらに企業単位だけでなく経済全体の動向を示す指標としても注目されています。
在庫変動の履歴をしっかり記録・把握することで、正確な在庫管理を行うことができるため、在庫管理の基本・始まりと言えます。
経済指標としての在庫変動|民間と公的視点
在庫変動とGDPの関係
在庫変動は国民経済計算(SNA)※1において、民間在庫変動・公的在庫変動の2つに大別されます。特に国内総生産(GDP)※2支出面から算出する場合、在庫変動は「民間在庫」「公的在庫」として構成要素の一部として、国民総支出(GDE)の中に含まれます。
※1:国民経済計算(SNA)とは、国全体の経済活動を体系的に記録・分析するための国際基準。
※2:国内総生産(GDP)とは、一定期間内に国内で新たに生み出された財やサービスの「付加価値」の総額。経済活動の大きさを表す代表的な指標。
民間在庫変動
民間在庫変動とは、国民経済計算において民間部門、主に企業や家計が保有する在庫の増減を指します。
具体的には、一定期間にどれだけ在庫が増えたり減ったりしたかを繰入額から引出額を差し引き、劣化・紛失分などの損失を考慮して示す、フローの概念です。在庫は、形態別としては、原材料、仕掛品、製品及び流通品の4つの形態から成っています。
公的在庫変動
公的在庫には、国が保有する原油備蓄や食料安定供給特別会計の備蓄米、弾薬など防衛装備品が含まれます。こうした公的在庫変動は、民間在庫とは別枠で経済指標として評価され、GDP成長率にも影響を与える重要な要素です。
在庫変動と在庫循環
在庫は企業の経営状態だけでなく、国全体の景気を左右する重要な存在でもありますす。景気には波があり、好調な時期と不調な時期を繰り返しますが、その背後にある要因の一つが在庫循環と呼ばれるサイクルです。
在庫循環が起こる仕組み
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需要が高い時期(景気が上り調子)企業は売上増を見込んで生産を増やし、在庫を多めに抱えます(→過剰在庫になりやすい)。
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需要が落ち着く時期(景気が下り調子) 在庫過多になっている場合、企業は生産を抑え、在庫を減らそうとします(→在庫不足に陥りやすい)。
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再び需要が高まり、生産を増やす在庫が不足すると今度は生産を再開し、再び過剰在庫になる可能性があります。
このように、在庫が「増えすぎ → 減りすぎ → また増やす」というサイクルを繰り返す現象が在庫循環です。
在庫循環図
在庫循環図とは、企業が抱える在庫の伸び率と出荷の伸び率をグラフ上で対比し、その変化や傾向を視覚的に把握できるようにした図のことです。
具体的には、縦軸に出荷の伸び率、横軸に在庫の伸び率をとり、各期間のデータ点をプロットしていきます。在庫循環図の見方は、
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縦軸が出荷の伸び率(前年同月比)
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横軸が在庫の伸び率(前年同月比)
となります。
出荷の伸び率と在庫の伸び率を比較することで、企業が在庫過多や在庫不足など、現在どの局面にあるのか、あるいは景気が上向きなのか下向きなのかを把握でき、経済全体の先行き判断にも役立ちます。
また在庫が過剰傾向にあるのか、それとも不足気味なのかを視覚的に理解しやすいため、生産調整や仕入れタイミングの調整など、経営判断に直結する戦略を立てやすくなります。
在庫変動の4つの局面

- 意図せざる在庫減局面
景気拡張期に受注が企業予測を上回り、生産が需要に追いつかず在庫が減少する。 - 在庫積み増し局面
景気が回復し続けるもとで、将来の需要増を見込んで企業が増産し、在庫を積極的に積み増す状態。在庫水準は上昇傾向にあるが、出荷が好調なため需給バランスがよく、過剰在庫には至らない状態。 - 在庫積み上がり局面
景気が減速し始め、企業の需要予測に対して実際の出荷が想定を下回る一方、生産は惰性的に続いているため、在庫が急速に積み上がる状態。需給ギャップが顕在化し、過剰在庫リスクが高まる局面です。 - 在庫調整局面
景気の低迷が続く中で、企業が出荷量の減少に対応し、生産をさらに抑制することで、意図的に積み上がった在庫を減らそうとする局面。在庫調整が主目的となり、生産活動が一時的に低水準で推移している状態です。
このように、在庫変動は企業の収益やコストに影響を与えるだけでなく、景気の先行指標としても注目される重要な変数です。
在庫変動の可視化とDX|IoT技術の活用
在庫変動を正確に把握し、迅速に対応するためには、在庫の可視化とデジタルトランスフォーメーション(DX:データ分析による変革)が不可欠です。近年、IoT(Internet of Things)技術を活用した在庫管理システムが注目されています。
例えば、棚やパレットにセンサーを設置し、在庫数のデータをリアルタイムに取得すれば、在庫の見える化が実現します。これにより、棚卸作業の効率化、過剰在庫の削減、欠品の予防、安全在庫の最適化などが可能となります。
さらにIoTで収集したデータをもとに、今までは見えなかった問題や傾向を分析・把握し、業務変革に至ることも少なくありません。経済産業省も、IoT等を活用したサプライチェーンのスマート化を推進しており、電子タグ(RFID)や画像認識カメラなどのツールを活用した実証実験を行っています。
次の章では置くだけで在庫の見える化が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
在庫変動や在庫循環の把握をサポート!スマートマットクラウド
「スマートマットクラウド」は、在庫数量を自動計測し、在庫変動を正確に記録・分析することができるIoT機器を活用した在庫管理システムです。IoT重量センサであるスマートマットに管理対象のモノを載せるだけで、在庫を常時モニタリングし、リアルタイムの在庫データをクラウド上で一元管理できます。
複雑な数量カウントや在庫状況の確認作業から解放され、管理画面を開けばいつでも・どこでも正確な在庫数を把握できます。需要の変動にも柔軟に対応しやすい在庫管理体制を整備できるのが大きな特長です。
過剰在庫の削減
不要に在庫を抱えすぎていないかを常時チェック。在庫状況をリアルタイムで把握できるため、不要な在庫の積上がありを防止します。
欠品予防
在庫が一定の水準を下回った場合に通知する機能を備えており、欠品リスクを事前に把握することが可能です。
安全在庫の最適化
販売実績や需要予測を踏まえて、適切な安全在庫を算定し、視覚的に把握しやすく、分析しやすいデータ形式により、定期的な見直しを行いやすくなります。
在庫変動の可視化に成功したスマートマットクラウドの導入事例
スマートマットクラウドの導入により、在庫情報のリアルタイム把握と在庫変動の可視化が可能となった例をご紹介します。
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。