在庫管理術
か強診から口管強へ!認定取得完全ガイド【制度の変更点・基準・加算・取得ステップを解説】

か強診は、予防歯科を重視する医院を国が評価し、診療報酬面で優遇する制度です。
本記事では、最新の認定基準と取得メリットを整理し、届出までのステップを分かりやすく解説します。
在庫・発注業務を自動化する IoT ツール活用例も交え、か強診取得後の経営改善までトータルでご提案します。
か強診とは
か強診・口管強の定義と目的
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(通称 か強診)は、厚生労働省が示す十項目の施設基準(外来環境体制、在宅療養支援診療体制、定期管理の実績件数など)をすべて満たし、地方厚生局へ届出を行った歯科診療所に与えられる評価制度です。
2016 年の診療報酬改定で新設され、2024年改定では算定名称が口腔管理体制強化加算(口管強)へ変更されました。
この制度の目的は、国として「治療中心」から「重症化予防・継続管理中心」へのシフトを後押しすることにあります。
制度の背景
戦後一貫して高かった小児のう蝕は、学校検診やフッ化物応用の普及によって大幅に減少し、12 歳児の平均う蝕歯数は 0.7本未満まで低下しました。
一方、高齢層では 80歳で 20本以上の歯を保有する「8020」達成者が 51.6%と過半数に達し、自分の歯を維持しながら生涯メンテナンスを受けるニーズが急増しています。さらに、4mm 以上の歯周ポケットを有する者の割合は全年齢平均 47.9%で、高齢になるほど増加することが報告されています。
こうした「小児う蝕の減少」と「高齢者のメンテナンス・歯周病対策の重要性」という二面性が、か強診の創設と基準強化を後押ししています。
(参照)
- 厚生労働省『令和4年歯科疾患実態調査 概要』
- 厚生労働省『平成28年歯科疾患実態調査 結果の概要』
- LION デンタルヘルス『12 歳の永久歯の一人あたり平均むし歯等数の年次推移』
- 厚生労働省『平成28年度診療報酬改定の概要(歯科)』
- JM Academy『か強診が口腔管理体制強化加算(口管強)に変更!』
なぜ制度が見直されたのか【か強診から口管強へ】
名称変更で役割を明確化
「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」や「か強診」という旧名称は、患者のイメージする「かかりつけ歯科医」と制度内容が一致しにくく、何を強化した診療所なのかが分かりにくい」という指摘がありました。
また施設基準に小児管理の実績や研修修了要件が含まれておらず、「ライフコースで口腔管理を行う」という本来のコンセプトと齟齬が生じていました。
2024年の改定では、乳幼児から高齢者まで一貫した口腔管理を評価する制度であることを明示しています。
評価指標を数値化し透明性を向上
創設当初は「重症化予防に取り組んでいること」を総括表で届け出れば算定可能でしたが、実績の計上方法が医院ごとにばらつき、患者・保険者から批判がありました。
2024年改定では患者数・管理件数を年代別に具体的な数値で示すことが必須となりました。
- 小児フッ化物塗布の算定件数
- 歯周病安定期治療の実績
等エビデンスベースの評価にシフトしています。
事務処理の簡素化
従来は、歯周病のケアを、
-
- SPT(治療が終わった直後のフォロー)
- P重防(重症化を防ぐ長期メンテナンス)
の2つに分けて請求していました。今回の改定では両者をひとつの枠組みにまとめ、治療が終わった後の定期ケアはすべて同じルールで請求できるように整理されました。
か強診の認定基準とは(2022 年改定対応)
2022年改定で再整理された10項目の施設基準は、下表のとおりです。要件はすべて届出前1年間の実績または体制整備が前提となります。
-
2022年改定で数値基準が明確になり、電子提出が可能になったため、準備期間が短縮できるようになりました。
# | 要件(要点のみ) | 2022年改定ポイント |
---|---|---|
1 | 歯科医師・歯科衛生士を各 1 名以上(または歯科医師複数)配置 | ― |
2 | 外来環境体制加算を届出済 | ― |
3 | 在宅療養支援歯科診療所の届出、または同等の連携体制 | 文書協議での連携可 |
4 | 歯周病継続管理実績: SPT/P 重防 計 30回以上 |
SPT・重防を一本化 |
5 | 初期う蝕管理実績: 根面う蝕管理料・エナメル質初期う蝕管理加算12 回以上 |
回数を明示 |
6 | クラウン・ブリッジ維持管理料の届出 | ― |
7 | 口腔機能管理実績: 口腔機能低下症・発達不全症等 12回以上 |
回数を明示 |
8 | 訪問診療の実績または体制: 訪問診療 5回以上もしくは連携協議書を備置 |
― |
9 | 医科・歯科連携実績: 診療情報提供料等5回以上 |
― |
10 | 歯科点数表〈初診料注 1〉の施設基準、レセプト電算処理 等を届出済 | 届出書類の電子化で簡素化 |
- 厚生労働省『令和6年度 診療報酬改定の概要【歯科】』
- 歯科医療情報推進機構「口腔管理体制強化加算の施設基準」
- JM Academy「か強診が口腔管理体制強化加算(口管強)に変更! 施設基準や届出 …」オンライン動画研修サービス「ジョブメドレーアカデミー」
- 近畿厚生局『口腔管理体制強化加算 施設基準 届出書添付書類』
保険適用範囲と診療報酬加算(2024 年改定・口管強)
か強診を再届出して 口腔管理体制強化加算(口管強) を取得すると、下記の予防・メンテナンス系処置で「本体点数 + 口管強」の形で加算が上乗せされます。(数字はいずれも 2024 年6 月施行の点数表ベース)
主な算定項目 | 通常点数 | 口管強を届出 した場合* |
備考 |
---|---|---|---|
エナメル質初期う蝕管理料 | 30 点 | 78 点(+48) | 月 1 回/年齢制限なし |
根面う蝕管理料 | 30 点 | 78 点(+48) | 月 1 回/高齢者中心 |
歯周病安定期治療(SPT 統合後) | 100 点 | 220 点(+120) | 3 か月に 1 回*間隔制限緩和あり |
在宅患者訪問口腔リハビリ指導管理料 | 40 点 | 115 点(+75) | 同一建物外の場合* 加算名はすべて 「+口腔管理体制強化加算」。点数は本体に上乗せされた合計額を表記。 |
点数数値は毎年微調整されるため、最新の点数表・疑義解釈通知を必ず確認してください。
押さえておきたいポイント
変更の対象は予防・定期管理系処置のみ。 インプラントや補綴の本体点数自体は変わりません。加算は患者ごと、処置ごとに付くため、メンテナンス患者が多いほど収益インパクトが大きくなります。
つまりこれらの加算は、「治療後も通院を継続する患者をどれだけ抱えているか」で実質的な増収幅が決まります。継続管理を円滑に行うための院内オペレーションを組むことが歯科医院には求められます。
出典
- 厚生労働省『令和6年度 診療報酬改定の概要』PDF
- 3tei.jp「口腔管理体制強化加算(口管強)の点数や算定要件」
- 歯科保険の算定なら「算定奉行」
- 社会保険歯科診療報酬点数早見表(令和6年6月版)PDF
- 日本訪問歯科協会「施設基準と報酬|口腔管理体制強化加算の点数」
か強診のメリット・デメリット
患者側のメリット
定期メンテナンスが受けやすい
口管強加算によって医院のフォロー体制が強化され、治療後も同じ医院で継続管理が可能になります。
重症化リスクの早期発見
小児う蝕から高齢者の歯周病まで、年齢ごとのリスクに即した管理プログラムが提供されます
在宅・訪問診療の充実
在宅実績が施設基準に含まれるため、自宅や施設での口腔ケアを受けやすくなります。
医院側のメリット
予防処置の収益性向上
初期う蝕管理料や歯周病安定期治療などで口管強加算が上乗せされ、定期管理患者ほど増収効果が大きくなります
患者定着率アップ
「治療後もメンテナンス」の導線が明確になり、リコール率向上が見込めるようになります。
国からの優遇策拡大の可能性
口腔機能管理の重要性は年々高まっており、将来の診療報酬改定でさらなる加算・緩和策が追加される余地があります。
メリットを最大化するカギは定期管理患者の増加とデータ集計の効率化にあります。加算を活かした経営改善には、IoTやクラウドツールを組み合わせて事務負担を下げる院内の仕組みづくりが重要です。
認定取得までの 4 ステップ
① 現状診断
自院の実績(SPT・初期う蝕管理・訪問診療件数など)を直近12か月分で洗い出し、10項目基準と照合。不足項目を可視化し、優先順位を付けます。
② 設備投資計画
滅菌・救急設備、訪問用ポータブルユニット等の不足分をリスト化し、概算コストと回収見込みを試算します。口管強加算での増収見込みと併せ、投資回収シートを作成します。
③ スタッフ研修
歯科衛生士の外部セミナー受講、小児管理・在宅口腔ケア研修を年内に計画します。研修修了証をスキャン保存し、届出添付書類のフォルダを整備します。
④ 届出書類作成
施設基準届出書、実績一覧表、連携協議書を電子データで作成し、地方厚生局の様式に合わせて PDF化します。申請2週間前までに記載漏れを再点検し、オンラインまたは郵送で提出します。
よくある課題と解決方法
課題の背景に人手不足と業務過多
か強診を続ける歯科医院が直面しやすい主な悩みは、
- 人手不足でバックヤード業務に時間を割けない
- 患者説明や接遇を充実させたいのに資料準備が追いつかない
- SPT や初期う蝕管理など届出用の実績集計が手作業で重い
在庫管理システム「スマートマットクラウド」がこうした課題を解決します。
棚やカートに敷いた重量センサーが材料残量を自動計測し、クラウドに同期します。残量が閾値を下回ればディーラーへ自動発注。スタッフは、これまで在庫管理に費やしていた時間を、チェアサイド業務やカウンセリング、届出用の集計作業に充てられるようになります。
IoT で解決する院内オペレーション
- 人手不足:センサーが残量を自動計測し、スタッフの確認作業を削減。
- 接遇向上:過去データをワンクリックで呼び出し、わかりやすい説明が可能。
- 在庫管理の時短:月次棚卸や発注書作成が数分で完了。
スマートマットクラウドで院内オペレーション向上
スマートマットクラウドは、重量センサー内蔵マットとクラウド管理ソフトを組み合わせた 置くだけ在庫管理ソリューションです。
マットの上に材料を載せるだけで残量が自動計測され、ブラウザやタブレットでリアルタイム残量と履歴を確認できます。設定閾値を下回るとアラートが出るため、欠品リスクを先回りで防止できます。
スマートマットクラウド導入事例
スマートマットクラウドは、現在多くの歯科医院にご利用いただいています。スマートマットクラウドによるかかりつけ歯科医様サポート事例をご紹介します。
まとめ
- か強診(口管強)は治療後の継続管理を評価する国の制度。
- 2022・2024 年の改定で基準・名称・加算がアップデート。
- 認定取得には実績件数の可視化と院内オペレーション効率化が必須。
- スマートマットクラウドを活用すれば、在庫・発注・記録業務を自動化し、届出準備に集中できます。
この記事を書いた人

スマートマットクラウド 医療メディア編集部
医師をはじめとする医療従事者、医療業界の課題に精通している日本最大級の医療情報専門サイト 「m3.com」出身のライターが、医療業界の課題から業務効率化・DX推進までわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。