在庫管理術
国民皆歯科健診|健診の概要と歯科医院の準備ポイントとは?
2022年6月政府は、政策運営と翌年度予算編成の方針を示す「骨太の方針」の中で「国民皆歯科健診」を具体的に検討することを名言しました。
今回は、国民皆歯科健診とは何か、国民皆歯科健診が実施されると歯科業界にどのような影響があるのか解説します。
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💡 2026年6月 最新情報
2026年度より、厚生労働省は職場の健康診断に歯周病スクリーニング(唾液検査)を組み込む企業への支援を開始しました。国民皆歯科健診に向けた段階的な整備が本格化しています。本記事は最新動向を反映して更新しています。
国民皆歯科健診とは?
このパートをまとめると!
国民皆歯科健診は「すべての世代が生涯にわたり定期的に歯科健診を受けられる制度」。2022年の骨太の方針で初めて明記され、2026年度からは職場での歯周病スクリーニング企業支援が始まるなど段階的に具体化が進んでいます。全面的な義務化・費用負担の確定は2026年6月時点でまだですが、歯科医院は今から準備を進めることが重要です。
いつから始まる?2026年時点の最新状況
国民皆歯科健診(読み方:こくみんかいしかけんしん)は、すべての世代が生涯にわたり定期的な歯科健診・歯科検診を受けられるようにする制度です。
2026年6月現在の状況を時系列で整理すると、以下のとおりです。
- 2022年:骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)に「国民皆歯科健診」が初めて明記。政府・関係機関で制度化の検討が本格スタート
- 2025年:厚生労働省が「就労世代の歯科健康診査等推進事業(モデル歯科健診)」を実施。成果報告書では費用試算として1人あたり平均4,328円が示された。骨太の方針2025にも「国民皆歯科健診に向けた具体的な取組の推進」が引き続き明記
- 2026年度:厚生労働省が、職場の健康診断に歯周病検査(唾液スクリーニング)を組み込む企業への支援を開始。国民皆歯科健診実現に向けた実質的な第一歩
一方で、法律による義務化・費用負担先の確定・全年齢対象での開始時期は2026年6月時点でまだ決まっていません。今後も政府・関係機関での議論が続く見通しです。

なお、コスト低減策として唾液検査を組み込む方式も注目されています。唾液中のバイオマーカー測定は歯科医師不在でも実施でき、歯周病の早期スクリーニングに有効です。
スクリーニング陽性者を歯科受診につなげることで、早期治療の機会が拡大します。2026年度の企業支援でもこの唾液スクリーニングが活用されています。
国民皆歯科健診のねらいと背景
日本人の歯の喪失原因のうち、約9割がう蝕(虫歯)と歯周病で占められています。厚生労働省はこれまでも歯の喪失リスクを下げるため、定期的な歯科検診の受診とう蝕・歯周病などの歯科疾患の早期治療を呼びかけてきました。
定期検診受診は歯の健康の維持だけでなく、全身の病気を抑制することにもつながります。特に歯周病は、狭心症・心筋梗塞、糖尿病や認知症など全身の疾患に深い関係があることが研究で明らかになっています。
国民皆歯科健診の実施によって将来的に国民の健康寿命を延ばし、国民医療費の大幅な削減をしたいという考えが、制度導入の背景にあります。
国民皆歯科健診が歯科業界に与える影響
このパートをまとめると!
新規患者の増加や治療型から予防型への来院目的のシフトが見込まれます。特に予防ケアを担う歯科衛生士の需要増が予測されており、現状の人手不足がさらに深刻化するリスクがあります。体制整備は早いほど有利です。
歯科業界への影響
国民皆歯科健診の取り組みが広がると、次の変化が見込まれます。
- 新規患者の増加
- 来院目的のシフト :治療中心から予防中心へ
健診結果をきっかけに自覚症状のない人が通院を開始し、歯周病と全身疾患の関係を知った患者は自発的・定期的に検診を受けるようになるでしょう。自費の予防ケアや口腔ケア用品への支出も伸びると予想されます。
各歯科医院は、こうした需要増を見越して計画的な受け入れ体制の整備が急務です。これまでかかりつけ医を持っていなかった新規患者から、選ばれる体制づくりをいち早くスタートしましょう。
取り組んでおきたい準備
国民皆歯科健診の取り組みが本格化すると、予防処置やクリーニングを担当する歯科衛生士の需要がさらに高まることが予想されます。しかし現段階で既に、歯科衛生士の人数が足りない、募集をかけても採用できないなど、院内の人手不足に直面している歯科経営者は少なくありません。
人手不足のため新規患者の受け入れが難しい、定期検診のリコールまで手が回らない、ということにならないように、今から手を打つ必要があります。

検診受診先として選ばれるには?
このパートをまとめると!
新たな主要ターゲットは社会人世代です。丁寧な説明・アクセス・待ち時間の最小化など「通いやすさ」を軸に院内改革を進め、かかりつけ医として長期的に選ばれる歯科医院を目指しましょう。
集患で差をつけるポイント
今後の患者は、虫歯が進行してから駆け込んだ歯医者にそのまま通い続けるというより、信頼できる歯医者を自分で探し、長期にわたって足を運ぶという受診スタイルに変わっていくと予測できます。かかりつけ医への要求水準は、今より高くなることは避けられそうにありません。
新たなボリュームゾーンと目されているのが「社会人世代」。働き盛りで多忙なこの世代に選ばれる歯科医院には次の要素が求められます。
- 丁寧でわかりやすい説明
- 親切な受付・電話対応
- アクセスの良さ
- 忙しくても通える予約枠
- 待ち時間の最小化
選ばれるためのポイントにいち早く着目し、ホスピタリティ向上にむけて院内改革に着手するクリニックが急増しています。

国民皆歯科健診への備え|歯科医院が今すぐできること
このパートをまとめると!
患者増・衛生士需要増に備えるには、限られたスタッフで高品質な医療を提供できる体制づくりが急務です。在庫管理の自動化など日常業務のDX化から着手することで、残業削減・離職防止・本来業務への集中を実現できます。
院内DXの推進
限られたスタッフで高品質な医療を提供する鍵は、DXによる業務効率化です。まずは在庫管理や予約管理など日常業務から自動化すると効果が大きいです。
スタッフを診療と並行して行っていた定例業務から解放することで、業務負担もストレスも軽減し、離職を予防する効果が期待できます。さらに、本業である技術向上や接遇のスキルアップが可能になります。
栄駅前矯正歯科クリニック 理事長芝崎龍典先生導入インタビューより
在庫管理は歯科衛生士にとって、最もストレスが大きく、時間も使う仕事。採用が難しく人手不足になりがちな衛生士が抱えている地味な仕事をどうにかしてコンパクトにしてあげたい、という願いを叶えることができました。
在庫に費やしていた時間は、私がスタッフの技術を見て直接指導する時間にあてていきたいのです。
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(参照)
- 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に向けた取組等について」(令和7年度予算案説明資料・2025年3月10日公表)
- 厚生労働省「就労世代の歯科健康診査等推進事業(モデル歯科健診)実施要領」(2025年3月公表)
- 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に向けた取組等について―骨太の方針2024 関連資料」(2025年3月)
- 厚生労働省「就労世代の歯科健康診査等推進事業 成果報告書(費用試算:1人あたり平均4,328円)」(2025年)
- 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針2025)」(2025年6月)
- 厚生労働省「2026年度 健康診断で歯周病の検査を実施する企業への支援方針」(読売新聞オンライン等報道・2025年11月)
- 相沢歯科医院コラム「国民皆歯科健診とは?そのなかで行われる唾液検査についても解説」(2025年3月掲載)












