在庫管理術
一斉棚卸|正しい在庫を把握する一斉棚卸のメリット・やり方・効率化の方法とは?
一斉棚卸とは、入出庫がストップしている状況下で、企業が保有しているすべての在庫を一度に数える棚卸の方法です。年に1〜2回、決算のタイミングで実施する企業が多く、もっとも古くからある棚卸の型といえます。
一方で「業務を止めなければならない」「限られた時間に人手を集中させる必要がある」という負担が大きく、近年は日常業務を止めずに数える「循環棚卸(サイクルカウント)」との使い分ける企業も増えています。
本記事では、一斉棚卸の基本・メリットデメリット・具体的なやり方の4ステップに加え、循環棚卸との違い、効率化の方法までを解説します。
この記事でわかること
- ・ 一斉棚卸の基本と、循環棚卸との違い・使い分けの考え方
- ・ 一斉棚卸に向いている企業の特徴と、実務での4ステップのやり方
- ・ 一斉棚卸のメリット・デメリット、注意すべき在庫の扱い方
- ・ IoT重量計を使って一斉棚卸の工数・拘束時間を圧縮する方法
一斉棚卸とは
このパートをまとめると!
一斉棚卸とは、入出庫を止めて全在庫を一度に数える棚卸手法。実地棚卸の一種で、対になる方法として「循環棚卸」があります。

一斉棚卸とは棚卸の手法のひとつで、入出庫がストップしている状況下で企業が保有している全ての在庫を数えることを指します。
企業の在庫を数える棚卸の種類には以下があります
また、実地棚卸の手法には「一斉棚卸」と「循環棚卸(サイクルカウント)」があります。棚卸を行う時期や頻度は企業によって異なりますが、棚卸は利益を確定する目的でおこなう決算業務なので、期末には必ず行います。
一斉棚卸と循環棚卸の違い
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一斉棚卸は「年1〜2回、全体を一気に数える」方法、循環棚卸は「日々少しずつ数え続ける」方法です。決算対応のしやすさでは一斉棚卸に、業務停止の回避では循環棚卸に分があります。
一斉棚卸と循環棚卸は、どちらも実地棚卸の一種ですが、「数え方」と「向いている場面」が異なります。
| 比較項目 | 一斉棚卸 | 循環棚卸(サイクルカウント) |
|---|---|---|
| 実施頻度 | 年1〜2回(期末等)に集中 | 毎日・毎週・毎月(品目別) |
| 業務停止の有無 | 必要(工場・倉庫を停止) | 不要(通常業務と並行) |
| 決算対応との相性 | 期末時点の在庫を一括で確定できるため相性がよい | 期中の差異発見には強いが、期末は別途確認が必要な場合がある |
| 向いている業種・規模 | 営業時間が決まっている店舗・製造業、小〜中規模倉庫 | 24時間稼働の大規模倉庫、SKU数が非常に多い現場 |
| 在庫差異の把握タイミング | 棚卸実施日にまとめて判明する | 対象品目ごとに継続的・早期に判明する |
一斉棚卸は「決算のために、ある時点の在庫を確定させたい」というニーズに強く、循環棚卸は「業務を止めずに、日々の差異を早期に潰したい」というニーズに強い、という住み分けです。実際には、期末は一斉棚卸で全体を確定させつつ、期中は重要品目のみ循環棚卸で監視する、という併用も広く行われています。
▶ 循環棚卸の具体的な手順やIoTによる自動化は関連記事、 「循環棚卸」を参照のこと
一斉棚卸に向いている企業とは?
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営業時間が決まっている店舗・製造業や、小〜中規模倉庫は一斉棚卸に向いています。一方、絶え間なく出荷がある大規模倉庫は循環棚卸を選ぶ傾向にあります。
一斉棚卸では、夜間や休業日等在庫が動かない状況で在庫のカウントをします。営業を止め、限られた時間で集中的に棚卸を実施できる企業が、一斉棚卸を採用しています。
▼一斉棚卸に向いている企業
- 営業時間が決まっている店舗や製造業
- 小〜中規模倉庫
製造業では、完成品だけでなく原料・部品・仕掛品をもれなく在庫を数える必要があるため、製造ラインが停止している日に一斉棚卸を実施するところがほとんどです。
一方時間をえらばず、絶え間なく出荷がある大規模なECサイトの倉庫や、24時間営業の大型店舗は営業をストップしないで実施できる循環棚卸を採用する傾向にあります。大手通販アマゾンでは循環棚卸を採用しています。
一斉棚卸の負担を軽くした事例
一斉棚卸に向いている企業でも、「年に一度・まとめて数える」という運用そのものが大きな負担になっているケースは少なくありません。
トラックボディの製造を行うSGモータース株式会社様では、約1,300点の部品在庫を手動で実地棚卸しており、月次作業に加えて理論在庫との差異・過剰在庫が課題でした。スマートマットクラウド導入後は実在庫のリアルタイム自動計測により、在庫金額を27.5%削減(約5,000万円相当)、棚卸にかかる時間を月あたり994分削減。在庫回転率も0.28→0.82へと改善しました。
スマートマットクラウド自体は一斉棚卸そのものを代替する製品ではありませんが、実在庫を常時可視化しておくことで、一斉棚卸の実施日にカウントする範囲・時間を圧縮できます。結果として一斉棚卸1回あたりの拘束時間の短縮や、より高い頻度での実施につなげやすくなります。
導入事例|在庫の見える化で在庫30%削減・棚卸時間を月994分削減
手動の実地棚卸からリアルタイムの重量計測に切り替えたSGモータース株式会社様の事例。一斉棚卸の工数削減につながったポイントを紹介します。
一斉棚卸の方法
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一斉棚卸は①計画作成→②カウント→③帳簿比較→④差異処理の4ステップ。事前準備の質が、当日の作業時間を大きく左右します。
一斉棚卸の方法ですが、次の4つのステップで実施します。

- 棚卸計画書の作成
- 在庫のカウント
- 帳簿と比較
- 棚卸差異の原因分析と帳簿修正
一斉棚卸は、限られた時間内に正確に在庫をカウントすることがポイントになります。 ②工程でミスを最小限に抑えることが、③④工程にかかる時間を大きく左右します。
①の工程で事前の棚卸準備を入念に行い、棚卸作業に関わる全ての人が作業内容を把握することが一斉棚卸の効率化の鍵になります。
💡 専門家の視点からアドバイス
現場運用の落とし穴 一斉棚卸は「年に一度の大仕事」と捉えられがちですが、実際に工数を圧迫しているのは②カウント作業そのものよりも、③帳簿比較と④差異処理にかかる時間であるケースが多く見られます。カウント精度が低いほど③④の手戻りが増えるため、②の負担軽減(人手を介さない計測など)は結果的に一斉棚卸全体の所要時間短縮に直結します。
一斉棚卸のメリット・デメリット
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一斉棚卸は差異が小さく計画も立てやすい一方、業務停止による機会損失と、限られた時間に必要な人員を確保する負担があります。
一斉棚卸しのメリット

- 棚卸差異が循環棚卸に比べて小さい
- 作業を集中的に行うので作業計画を立てやすい
- 循環棚卸に比べて作業全体にかかかる時間が少ない
特に1番目の棚卸差異を抑えられる点は大きなメリットです。循環棚卸の結果、差異が大きく発生すれば、原因追求のため改めて一斉棚卸を行う必要があるからです。
そのため大規模な企業でも休業日をもうけて、棚卸を一斉棚卸を採用している会社がたくさんあります。
一斉棚卸のデメリット
一斉棚卸は営業や生産ラインをストップをするので、機会損失の原因となります。夜間や休業日に一斉棚卸をおこなう場合でも、決められた時間内に棚卸作業を完結させるため、十分な人員を確保する必要があります。
具体的には、以下のような負担が生じやすい点に注意が必要です。
- 人員の確保・調整コスト
普段の業務とは別に、棚卸当日だけ多くの人員を動員する必要があり、シフト調整や残業代等のコストが発生する - 業務停止による機会損失
小売業では営業時間の短縮・休業、製造業ではライン停止によって、その時間分の売上・生産機会が失われる - 当日に問題が集中するリスク
カウントミスや差異の発見が棚卸当日〜翌日に集中するため、原因調査の時間的余裕が小さい
これらの負担は、在庫を数える作業自体を人手に頼っている限り根本的な解消が難しく、「効率をあげる方法」の章で紹介する工夫が有効になります。
一斉棚卸の注意点

一斉棚卸で棚卸誤差につながりやすい在庫をピックアップし、扱い方の注意点をまとめました。
- 預け在庫:自社以外に預けている自社在庫。棚卸実施日の預り証の発行を受ける
- 預かり在庫:自社で預かっている他社の在庫。棚卸から除外する
- 仕掛品:棚卸資産に含まれる。流動資産として計上する
- 不良品:棚卸では通常の在庫と区分して、分けてカウント。廃棄の場合は期末までに実際に廃棄し、廃棄の証明書を取得する
預かり在庫や不良在庫は粉飾決算に悪用されることがあるため税務調査の対象になりやすいので、正規の手続きでミスなく処理しておきましょう。
一斉棚卸の効率をあげる方法とは
このパートをまとめると!
ハンディターミナル・RFID・棚卸代行・IoTなど、一斉棚卸を効率化する方法は複数あります。それぞれの方式を詳しく比較検討したい場合は、棚卸システムの選び方を専門に解説した記事を参照してください。
実地棚卸では2人で1組となり、ひとりが在庫を読み上げ、もうひとりが在庫を記録するスタイルで棚卸作業を進めます。人手を介した単純作業のため、時間がかかりカウントもれや入力ミスが発生しやすいという特徴があります。
実地棚卸の作業を効率よく行うためには、以下の方法があります。

- ハンディターミナルを使用する方法
QRコードやバーコードにより商品を識別し、数量や在庫状況をその場で入力できる - RFIDを使用する方法
一括スキャンが可能で棚卸時間を短縮化。RFID専用ゲートなどを活用した仕組を運用できればトレーサビリティにも有益 - 棚卸専門業者に作業を依頼する方法
自社の人員を割かずに済むが、外部委託のコストと事前準備の手間がかかる - 在庫管理IoTで在庫数をカウントする方法
入力やスキャンの手間なく自動で数量を検知でき、カウント作業そのものを人手に依存しない運用に切り替えられる
それぞれの方式にはコスト・精度・導入のしやすさにトレードオフがあり、自社に合った選び方を詳しく知りたい方は、棚卸システムの選び方を解説した記事で技術方式別の比較・選定プロセスを紹介していますので、あわせてご覧ください。
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棚卸を楽にする在庫管理システム「スマートマットクラウド 」

現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、一斉棚卸の負担を軽くできます。
重量型IoT「スマートマットクラウド」は、デバイスの上に置くだけで自動で在庫を計測。入出庫のたびに在庫の数をカウントする作業が不要となり、あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
置く場所を選びません
スマートマットはA3サイズ〜A6サイズまでの4サイズ展開。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
まとめ
この記事では一斉棚卸について、循環棚卸との違いから実務のやり方、効率化の方法までを整理しました。
- 一斉棚卸とは
入出庫を止めて全在庫を一度に数える棚卸手法。決算対応との相性がよい一方、業務停止・人員確保の負担がある - 循環棚卸との使い分け
期末は一斉棚卸で全体を確定させ、期中は循環棚卸で重要品目を継続監視する併用も有効 - 一斉棚卸のやり方
① 計画作成→ ② カウント→ ③ 帳簿比較→ ④ 差異処理の4ステップ。事前準備の質が当日の所要時間を左右する - 効率化の方法
ハンディターミナル・RFID・棚卸代行・IoTなど複数の選択肢があり、実在庫を常時可視化しておくことで一斉棚卸1回あたりの拘束時間を圧縮できる
一斉棚卸の工数・拘束時間を減らしたい方は、まずは自社の環境でどれだけ削減できるか、スマートマットクラウドの資料でご確認ください。
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一斉棚卸に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 棚卸はダブルカウントしますか?
A. 棚卸でダブルカウント(同じ在庫を二重に数えること)は避けるべきです。正確な在庫量を把握するためには、一度カウントした在庫を明確に記録・管理し、重複しないよう手順や担当者を決めて運用することが重要です。ミス防止には人員の役割分担やチェックリスト活用も有効です。
Q2. 棚卸は一斉棚卸と循環棚卸の種類だけですか?
A. 棚卸には帳簿上で確認する方法もありますが、現物を数える「実地棚卸」では、主に一斉棚卸と循環棚卸があります。
前者は全在庫を一度に数える方法、後者は日常的に対象品目を分けて順次カウントする方法です。企業は運用や業務形態に応じて使い分け、状況に応じて両者を併用することもあります。
Q3. 棚卸で在庫が多いとどうなりますか?
A. 在庫が多いと棚卸作業の時間や労力が増え、カウントミスや作業負担が増大します。
また、在庫データの精度低下や業務停止リスク、コスト増加につながることがあります。そのため適正在庫の維持や自動化ツールの活用で負担軽減・効率化を図ることが重要です。
Q4. 一斉棚卸と循環棚卸、どちらを選ぶべきですか?
A. 業務を止められる期末のタイミングで在庫を一括して確定させたい場合は一斉棚卸が適しています。一方、24時間稼働の倉庫やSKU数が非常に多い現場のように業務を止めにくい場合は循環棚卸が適しています。実務では、期末は一斉棚卸で全体を確定させ、期中は重要品目のみ循環棚卸で継続的に監視する、という併用も広く行われています。自社の業務形態・品目特性に応じて選択・併用を検討してください。















