在庫管理術
OPRPとは?PRP・CCPとの違いと食品工場での設定・管理を効率化する方法
「OPRPとは何か、CCPやPRPとどう違うのかわからない」「HACCP対応でOPRPをどう設定すればいいか迷っている」——食品製造・加工に携わる現場担当者や品質管理担当者から、こうした声をよく耳にします。
OPRP(Operation Prerequisite Program)は、食品安全マネジメントシステムにおいてPRPとCCPの中間に位置する衛生管理の枠組みです。正しく理解して設定することで、食品の安全性を効率的に担保できますが、管理の工数が増えやすく、現場の負担になりがちという課題もあります。
本記事では、OPRPの定義・PRP・CCPとの違い・具体的な設定方法を解説したうえで、OPRP管理に伴う現場の工数負担を自動化によって解消する方法まで紹介します。
この記事でわかること
- OPRPの定義と、PRP・CCPとの具体的な違い
- 食品工場でOPRPを設定すべき工程と具体例
- OPRP管理に伴うモニタリング・記録・在庫管理の工数を自動化で削減する方法
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OPRPとは?定義をわかりやすく解説
👉 このパートをまとめると!
OPRPとは「Operation Prerequisite Program」の略称で、食品安全管理においてPRP(一般衛生管理)とCCP(重要管理点)の中間に位置する管理の枠組みです。科学的手段によるモニタリングが求められる点が特徴です。

OPRPの正式名称と読み方
OPRPは「Operation Prerequisite Program」の頭文字をとった略称で、日本語では「重要な一般衛生管理」または「オペレーションPRP(オペレーション前提条件プログラム)」と訳されます。読み方は「オーピーアールピー」または「オペレーションPRP」です。
ISO 22000(食品安全マネジメントシステムの国際規格)やFSSC 22000*において定義されており、食品安全を確保するための3つの管理手段(PRP・OPRP・CCP)のうちの一つです。
*FSSC 22000(Food Safety System Certification 22000)は、食品サプライチェーン全体を対象とした食品安全マネジメントシステムの国際規格です。GFSI(国際食品安全イニシアチブ)に承認されており,世界中の食品関連企業で広く導入されています。
OPRPとは何をするものか
OPRPを一言で表すと、「食品の安全性に重大な影響は与えないが、放置すれば問題になりうるリスクを、科学的手段でモニタリングしながら管理する仕組み」です。
具体的には以下のような管理が該当します。
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食品に直接触れる機器・設備の洗浄後の細菌量をATP測定で確認する。
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原材料・仕掛品の保管温度を定期的に計測・記録する。
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冷却工程で規定時間内に規定温度まで下がっているか確認する。
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消耗品・副資材の在庫が適正量を下回っていないかモニタリングする。こうした在庫管理の自動化については、在庫管理の自動化で詳しく解説しています。
💡 専門家の視点からアドバイス:現場運用の落とし穴
OPRPは「CCPほど厳格でなくていい」という認識から、管理が曖昧になりやすい領域です。しかし、OPRPが適切に機能していないとCCPへの負荷が増大し、結果的に食品安全全体のレベルが下がります。「CCPを守るための防波堤」として、OPRPを丁寧に設計・運用することが重要です。
PRP・OPRP・CCPの3つの違いを整理する
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PRP・OPRP・CCPは管理の厳格さとモニタリングの要否が異なります。どの工程にどの管理手段を適用するかの判断が、効率的なHACCP構築のカギです。
PRP(前提条件プログラム)とは
PRPは「Prerequisite Program」の略で、食品安全管理の最も基礎的な衛生管理を指します。5S活動・手洗い・作業服の衛生管理・害虫防除・設備の保守点検などが該当します。
PRPの特徴は「実施したかどうかのチェックは行うが、科学的なモニタリングは必須ではない」点です。「きれいにした」という行為の確認はするものの、「どのくらいきれいになったか」を数値で確認する必要はありません。
CCP(重要管理点)とは
CCPは「Critical Control Point」の略で、食品からハザードを確実に除去・低減する最も重要な工程です。加熱殺菌・金属探知機通過などが代表例で、1℃でも基準を外れれば不適合となる厳格な管理が求められます。
CCPの特徴は「許容限界(Critical Limit)が明確に定められており、逸脱した場合は廃棄・再処理などの是正処置が必須」である点です。
OPRPはPRPとCCPの「中間」に位置する
3つの違いを整理すると以下のようになります。

OPRPとCCPの最大の違いは「逸脱時の柔軟性」です。CCPは1℃でも基準を外れると即座に不適合ですが、OPRPは「この程度なら修正で対応できる」という現場判断の余地があります。
💡 専門家の視点:現場運用の落とし穴
「OPRPはCCPより緩くていい」と解釈して管理が形骸化するケースが多く見られます。OPRPの本来の役割は「CCPに到達する前にハザードを低減すること」であり、適切に機能することでCCPの負担が減り、工場全体の食品安全レベルが向上します。「緩い管理」ではなく「目的に適した管理」という認識が重要です。
OPRPの設定方法と具体例
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OPRPの設定は、ハザード分析の結果をもとに「CCPほど厳格でないが、PRPだけでは不十分な工程」を特定することから始まります。設定には5つの要素が必要です。

OPRPに設定すべき工程の判断基準
ある工程をOPRPに設定すべきかどうかは、以下の観点から判断します。
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そのハザードが発生した場合の影響が中程度である(重大ではないが無視できない)
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その場で科学的に測定・確認できる手段が存在する(ATP測定、温度計測など)
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PRPの一般的な衛生管理だけでは不十分な工程である
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CCPのように「即時廃棄」が必要なレベルではない
OPRPの設定に必要な5つの要素
OPRPを正式に設定する際には、以下の5つを文書化します。
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① 管理対象のハザード 例:設備表面に残存する細菌による製品汚染
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② 管理手段 例:製造開始前のATP拭き取り検査(500RLU以下を確認)
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③ 処置基準(モニタリング値) 例:ATP値500RLU以下。500を超えた場合は再洗浄・再検査
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④ モニタリング手順 例:各製造ライン開始前、担当者がATPメーターで測定・記録
- ⑤ 修正・是正処置と記録方法 例:基準超過時は当該設備を再洗浄し、再検査で合格後に製造開始。ATP検査記録表に記録。記録・棚卸の効率化については、循環棚卸とは?一斉棚卸との違い・やり方と「数えない」自動化の実現も参考にしてください。

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OPRP管理が現場の「忙しさ」を生む理由
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OPRPを正しく運用するためには、定期的なモニタリング・記録・在庫確認が必要です。これらを手作業・紙・エクセルで管理していると、担当者の工数が増大し、本来の製造業務を圧迫します。

手作業・紙管理が生む「OPRP管理の3つの工数」
OPRPを正式に設定する際には、以下の5つを文書化します。
① 定期モニタリングの工数
温度計測・ATP検査・在庫確認など、OPRPのモニタリングは製造前・製造中・製造後に繰り返し実施する必要があります。1回あたりの時間は短くても、複数工程・複数ラインで積み重なると、1日あたり数十分〜数時間に達します。
② 記録・転記の工数
紙の記録シートへの手書き→エクセルへの転記→管理者への報告という流れが一般的ですが、この転記作業は付加価値を生まない純粋な工数です。記入漏れ・転記ミスのリスクも常に伴います。
③ 原材料・消耗品の在庫確認工数
OPRPの対象となる原材料・洗浄剤・副資材などの在庫が適正量を下回ると、管理基準を維持できなくなります。在庫切れを防ぐための日次確認・発注作業が担当者の負担になります。
属人化と人手不足がリスクをさらに高める
OPRP管理は「担当者の知識と経験に依存する」属人化が起きやすい領域です。担当者が不在・退職した場合、管理基準の引き継ぎが不十分になり、食品安全上のリスクが高まります。また人手不足の現場では、OPRP管理の担当者が製造業務と兼務せざるを得ず、モニタリングの抜け漏れが発生しやすくなります。属人化の解消と在庫の見える化については、在庫管理の「見える化」はエクセル脱却から!で事例とともに解説しています。
💡 専門家の視点からアドバイス:現場運用の落とし穴
「記録は取っているが、誰も確認していない」「紙の記録が山積みになっているが整理できていない」という状況は、OPRP管理の形骸化の典型です。記録の目的は「問題が起きたときに原因を特定し、是正処置につなげること」です。リアルタイムで確認・共有できる仕組みがなければ、記録は意味をなしません。
OPRPの管理工数を自動化で解消する方法
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SmartMat Cloudは「置くだけ」で在庫・消耗品の数量をリアルタイム自動計測するIoTサービスです。OPRP管理に必要な原材料・洗浄剤・副資材の在庫確認と記録を自動化し、担当者を本来の製造・管理業務に集中させます。

SmartMat CloudがOPRP管理を効率化する3つのポイント
洗浄剤・副資材・原材料など、OPRP管理の対象となる消耗品をSmartMat(IoT重量計)の上に置くだけで、重量から数量を自動計測・記録します。在庫管理の効率化に取り組んだ現場では、この仕組みによって月数十時間の工数削減を実現した事例が多数あります。
② 在庫が基準を下回ったら自動アラート
発注点を設定しておくと、在庫量が基準を下回った時点で自動的にアラート通知が届きます。洗浄剤の残量不足による管理基準の逸脱を未然に防ぎ、OPRP要件の維持を支援します。
③ クラウドで情報を共有し、属人化を解消
在庫データはクラウド上でリアルタイム共有されるため、担当者が不在でも管理者・品質管理部門が即時に状況を確認できます。日勤・夜勤の引き継ぎ漏れによるリスクも低減します。
OPRPの管理記録との連携
SmartMat Cloudはデータを自動でクラウドに蓄積するため、在庫推移の記録が自動生成されます。HACCPの監査・ISO22000の内部審査に必要な記録のベースデータとして活用でき、紙・エクセルへの手動転記が不要になります。製造業における自動発注の仕組みについては、製造業の自動発注を成功に導く完全ガイドも参考にしてください。

SmartMat Cloud 導入事例:食品・製造現場での効果
👉 このパートをまとめると!
食品・製造現場でSmartMat Cloudを導入し、在庫管理・衛生管理関連の工数を大幅に削減した事例を紹介します。
事例① 積水成型工業株式会社|月80時間の在庫確認業務を削減
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課題: 在庫管理が特定担当者に属人化。クリーンルーム入室が必要な保管場所への確認移動が毎日発生し、日勤・夜勤の引き継ぎも不十分だった。OPRP管理に必要な資材の在庫状況がリアルタイムで把握できず、欠品リスクを常に抱えていた。
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SmartMat Cloud導入後: 月80時間の発注・在庫確認業務を削減。クリーンルームに入室せず遠隔でリアルタイムに在庫確認が可能になり、欠品による生産・管理基準の逸脱リスクも解消した。
💡 このケースの教訓
「場所的な制約」がOPRP管理の抜け漏れを生む最大の原因の一つです。IoT化によって「どこからでもリアルタイムで確認できる」状態にすることが、管理品質の向上と工数削減を同時に実現します。
事例② 株式会社SUBARU|毎日1.5時間の手作業確認を完全自動化
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課題: 消費スピードが予測困難な部品・副資材を、若手社員が毎日1.5時間かけて手作業で確認・発注していた。管理基準の維持に必要な資材の欠品リスクが高く、担当者への負担が集中していた。
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SmartMat Cloud導入後: 70種類の部品の検数を完全自動化。従来比1.5倍の費用対効果を実現し、若手社員が本来の業務に集中できるようになった。
💡 このケースの教訓
毎日1.5時間の手作業は年換算で約360時間。人が行う必要のない「数える・確認する」作業をIoTに任せることで、品質管理担当者が本来注力すべき管理業務に集中できます。
OPRPに関するよくある質問(FAQ)
Q. OPRPはHACCPの義務化対応で必ず必要ですか?
A. 日本の食品衛生法に基づくHACCP義務化(2021年6月完全施行)の文脈では、OPRPという用語は必ずしも使用されません。ただし、ISO 22000やFSSC 22000などの国際規格に基づく食品安全マネジメントシステムを構築・認証取得する場合は、OPRPの設定が求められます。自社がどの規格への対応を目指しているかによって、OPRPの必要性を判断してください。
Q. OPRPとCCPの数はどのくらいが適切ですか?
A. 明確な基準はなく、工場の規模・製造品目・ハザードの種類によって異なります。一般的にCCPは絞り込むことが推奨されており(多すぎると管理が形骸化するリスクがある)、CCPの前後の工程でOPRPを適切に設定することで、全体の管理負荷を適正に保つことが重要です。
Q. OPRPの記録はどのくらいの期間保存すべきですか?
A. ISO 22000・FSSC 22000では、記録の保存期間は「製品の保存期間+1年以上」が基本とされています。ただし自社の規定・顧客要求・法規制によって異なるため、品質管理部門と確認のうえ決定してください。デジタル記録(クラウド管理)であれば保存・検索・提出が容易になります。
まとめ:OPRPを正しく理解し、管理を仕組み化する

OPRPは食品安全マネジメントにおいてPRPとCCPの中間に位置し、科学的なモニタリングによってハザードを低減する重要な管理手段です。正しく設定・運用することで、CCPの負担を軽減しながら食品安全全体のレベルを高めることができます。
一方で、OPRPの運用には定期的なモニタリング・記録・在庫確認が伴い、手作業・紙・エクセルで管理を続けると現場担当者の工数が増大します。この工数をIoT重量計によって自動化することで、担当者を本来の管理業務に集中させることができます。具体的な改善事例については、在庫管理の改善事例16選でご確認いただけます。














