在庫管理術
3PL|サードパーティー・ロジスティクスとは何か?

3PLとは、保管・配送・在庫管理を専門業者に一括委託し、物流を外部最適化する仕組みです。人手不足やEC拡大で物流が複雑化し、コア業務に集中するため3PLの導入ニーズが高まっています。
この記事では3PLとは何か、市場規模と、動向メリット・デメリット、IT活用で在庫精度とサービスを向上する方法について解説します。
3PLとは?【定義】
3Plの概要
3PL(サードパーティー・ロジスティクス/英語:Third Party Logistics)とは、荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること(国土交通省3PL事業の総合支援より)。
簡単に言うと、運輸企業や物流業者ではない第三者の物流企業が、 荷主から一括で受託し、専門で物流業務をおこなっていくことで、もともとアメリカで生まれた物流アウトソーシング(外部調達・外部委託)の形態を意味します。
2PLや4PLとの違い
サードパーティー・ロジスティクスのほかに、以下のような物流の形態があります。
- 1PL(ファーストパーティー・ロジスティクス):荷主企業の自社物流
- 2PL(セカンドパーティー・ロジスティクス):一部の委託を受けた物流業者
- 4PL(フォースパーティ・ロジスティクス):3PLに、ロジスティクス戦略の企画、推進を行うコンサルティング要素が加わった新しい物流の形態
現在、日本では政府と国土交通省が、3PL人材育成推進事業の実施、ガイドライン等の策定、物流効率化法や物流拠点施設に対する税制特例などによる支援を行い、3PL事業を総合的に推進しています。
この支援は、3PLの普及による物流効率化がCO2排出量を削減し地球温暖化の改善、地域採用の創出などの効果を期待していることによるものです。
3PL事業者の種類
アセット型
英語の「asset(資産)」が由来になっています。自社で持っている施設・トラック車両・情報システムなどの資産を用いて物流サービスを提供する業態で別名「アセットベース型」ともいいます。
ノンアセット型
資産を保有しない、自社では物流倉庫やシステムなどを持たない業態です。物流業務のノウハウやコンサルティングのみを提供し、実際の物流業務は他社が請け負います。別名「ナリッジベース型」といいます。
アセット型は、需要変動への対応力や荷主との信頼関係形成に強く、ノンアセット型は自社の資産にとらわれず、荷主の要望へ柔軟に対応することが可能です。
日本国内の3PL事業者はアセット型が主流ですが、店舗や倉庫を持たないケースも多いEC事業者のように、配送先が不特定多数である場合はノンアセット型が適している場合もあります。
3PLを手がける大手代表企業の日本通運や日立物流ではアセット型とノンアセット型の両方の業態を手掛けています。
3PLの市場規模と動向
月刊ロジスティクス・ビジネス『3PL白書 2024』によれば、国内3PL市場は2022年度に約4兆円(推計値:4兆1,660億円)まで拡大し、コロナ禍で伸びが鈍化した2020年度(約 3.3兆円)からわずか2年で+約26%と急激に拡大しました。
運賃単価や庫内作業員人件費の上昇が数字を押し上げた面もありますが、EC化率の高まりとサプライチェーン再構築需要が引き続き3PLの成長を後押ししています。
3PLのメリット・デメリット
3PLのメリット
コストの削減・最適化
自社で物流を運用している場合、人件費、運送費、倉庫費、WMS導入のランニングコストなどの固定費が毎月必ず発生します。これらの物流コストを見える化できるほか、物流全体の運用を見直し、固定費と変動費の圧縮や投資費用の削減など、物流コストの最適化が可能です。
生産性向上・品質向上
蓄積されたデータに基づく業務改善や情報システムを活用した業務の効率化により、品質改善、販路の拡大、顧客のニーズにも対応できます。
人手不足解消
3PLの導入により、物流関連作業にあてられていた人員などのリソースを本来の業務にまわせるようになるので、人手不足解消や働き方改革をもたらします。メーカーはより重要な内容の業務に専念でき、ビジネス拡大のチャンスにもつながります。
3PLのデメリット
反面、3PL業者に委託することにより以下のようなデメリットがあります。
- 自社の物流人材の育成やノウハウの蓄積ができない
- 事業者に委託するため、必要な情報が伝わりにくい、細かな管理が行き届かない
- 3PL業者への委託費が発生する
特にコストの課題は大きく、事前に自社で倉庫管理を行う場合の人件費やコストと比較して、メリットがあるか検討する必要があります。
スマートロジスティクスとは
これからの3PL(サードパーティー・ロジスティクス)のソリューションとして注目されているのがスマートロジスティクスです。
ロジスティクス(物流)とは、物流を統合・一元化して効率よく管理していくことです。
そして、スマートロジスティクス(スマート物流)とは、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)などの最新技術を使い、業務を効率化して顧客満足度を高めるために重要視されている取り組みのひとつです。深刻化している物流業界の人手不足や業務効率化のためにも欠かせない考え方です。
ロジスティクス効率化とIoT
ロジスティクス(供給網の最適化)の課題を解決するために必要な在庫の見える化を可能にするIoTが、注目を集めています。
人手不足で業務に忙殺されている物流業界や倉庫業界などの在庫管理の現場スタッフをサポートすることも大いに期待されています。
倉庫管理効率化に「スマートマットクラウド」
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、在庫管理自動化が実現します。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
置く場所を選びません
スマートマットはサイズ展開豊富。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや倉庫管理システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
(参考)
国土交通省 政策統括官付参事官(物流施設)室
『3PL事業促進のための環境整備に関する調査研究 ― 国際競争力強化のための我が国3PL施設整備におけるアウトソーシングの現状及び今後の予測に関する調査(要旨)』2008 年3 月発行
月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)「3PL白書 2020」〈特集〉2020 年9 月号
月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)「3PL白書 2022」〈特集〉2022 年9 月号
月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)「3PL白書 2024」〈特集〉2024 年9 月号
セイノー情報サービス「3PLの現状|市場が拡大する背景と導入するメリットを解説」
IMARC Group Japan 3PL Market Report 2025-2033(Japan 3PL Market Size, Share, Growth 2024 データ)2024 年版