在庫管理術
入出庫管理【低コストで課題解決!エクセル活用から始める業務効率化の完全解説】

入出庫のDX化に挑戦したいけれど、導入コストがネックで踏み出せない――。そんな悩みをお持ちではありませんか?本記事では、入出庫管理の基礎からよくある課題、そしてIoTやAIを活用して初期投資を抑えつつDXをスモールスタートできる具体策までを網羅的に解説します。
低コストで“今すぐ”始められる入出庫管理効率化のヒントを探している担当者必見のガイドです。
入出庫管理とは?
入出庫管理とは在庫を入れる時と出す時に数量や担当者など必要な情報を記録する業務を指します。在庫管理では入出庫のたびに在庫数が変動するため、その都度正確に履歴を残すことが欠かせません。在庫の出し入れ作業を在庫受払と呼ぶこともあります。
多くの企業では実地棚卸の手間を軽減するために入出庫の実績から理論在庫を算出しており、入出庫管理は在庫管理全体の精度を左右する重要な業務といえます。
入出庫管理で記録する項目
入出庫管理で記録するのは以下のような項目です。
- 日付
- 品目
- 入庫数/出庫数/在庫数
- 担当者
- 保管場所
これらの記録項目は、取り扱う在庫の種類や管理ルールによって増減する場合があります。たとえば、毒物・劇物を扱う企業では、重量や使用目的まで厳格に管理する必要があるため、専用台帳への詳細な入力が求められます。
入出庫管理の方法
入出庫管理の4つの方法を紹介します。
低コストで入出庫管理を始められる方法から順に紹介します。
「初期費用ゼロ!身近なツールで始める入出庫管理」
手書きによる在庫管理表作成
在庫の近くに紙の管理表を置き、日付や数量などを都度記入する方法です。導入コスト0円で習熟が簡単な一方で、用紙の紛失・汚損、転記ミスが発生しやすいです。在庫点数が少ない現場の暫定策に適合しています。
エクセルを使った管理表
エクセルの無料テンプレートに基本関数を組み込めば、紙ベースの在庫表を即デジタル化できます。追加コストなしでデータ精度と共有性を高められるため、DXの第一歩として最適です。Microsoft Create 「Inventory templates」※では入出庫登録&自動集計ができるテンプレートが公開されています。
- 入力規則:数値入力やプルダウン選択を固定し誤入力を防止
- SUM/SUMIFS 関数:品目別・全体在庫を自動集計し手作業ゼロ
- 条件付き書式:在庫不足セルを赤表示し欠品リスクを即把握
- クラウド共有:Google Drive/OneDriveで複数拠点がリアルタイム更新
ハンディターミナル
バーコードやQRコードをスキャンして入出庫を瞬時に記録し、作業時間を大幅削減できます。SKU数が多く、コードが貼り付けできる在庫、紙やExcel運用に限界を感じる現場に向いています。
- トレーサビリティ:タイムスタンプ付き履歴で追跡が可能
- コスト要因:端末購入・保守料およびシステム連携費が発生
- 運用リスク:電池切れやスキャン漏れ時は手入力が必須
本格的な効率化へ!クラウド型システムの活用(無料プランやトライアルを活用)
在庫管理 SaaS
ブラウザで即スタートできるクラウド型サービス。無料プランやトライアルを利用しながら在庫を一元管理できます。トライアル終了後や機能制限を外す場合は月額課金・オプション費が発生するため、必要機能とROIを事前に精査管理する必要があります。
- 即利用&低ハードル:インストール不要、無料プラン・トライアルがある場合も
- 機能統合:入出庫・棚卸・発注を一元管理
- システム連携:APIで基幹・EC・会計ソフトと自動同期し二重入力ゼロ
- スケーラビリティ:ユーザー数やSKU増加に合わせてプランを拡張可能
重量IoTツール
スマートマットに載せるだけでIoTが重量変化で入出庫を検知し記録します。管理が煩雑な在庫管理からスタート、効果測定をしてから必要エリアに順次拡張ができます。
- 載せるだけ・工事不要:Wi-Fi 接続のみ。AC電源なしでもバッテリー運用可
- 完全自動化:工数大幅減で人件費カット、人手不足問題も同時に解消
- リアルタイム管理:重量データを即クラウド送信し在庫をリモートで可視化。
- 誤差・欠品ロスを削減:閾値アラートで過剰在庫や欠品を未然に防止
- 発注までワンストップ:クラウド API 連携で自動発注・分析レポートを実現
入出庫管理システム段階的アプローチのおすすめ
コストゼロでまず「仕組み」を試運転し、手応えがつかめたらスマホ用バーコードアプリやクラウドSaaSへ拡張、という段階的アプローチがおすすめです。管理対象である在庫の性質や重要度によって、入出庫管理の方法を変えても良いでしょう。
入出庫管理で生じる課題とその対処法①
今すぐできる低コストの対処法とは?
入出庫管理の管理レベルごとに、発生やすい課題とその具体策をまとめました。費用を抑えた方法で、カイゼンの道を模索してみましょう。
管理レベル | よくある課題 | 低コストでできる具体策 |
---|---|---|
手書き管理 | ・転記ミス・文字の読みにくさ ・用紙の紛失・汚損 |
- ダブルチェック:記入後に別担当が赤ペンで確認 - 日次ミニ棚卸:目視カウントで差異を早期発見 - 定位置保管・5S:帳票の置き場と順路を固定し取り違え防止 |
エクセル管理 | ・入力漏れ・数式崩れ ・ファイル破損 ・管理の属人化 |
- 入力規則/プルダウン:数値・リスト限定で誤入力防止 - 週1バックアップ:自動保存+別フォルダ複製でデータ保全 - 条件付き書式:在庫不足セルを赤色→欠品を即把握 |
バーコード運用 | ・スキャン漏れ・誤読み ・ラベルの汚損 |
- ラベル強化:ラミネート&大サイズで読み取り精度UP - 作業フロー掲示:「ピック→スキャン→置き場」手順を標準化 - 端末バッテリー表:日次点検で電池切れゼロ |
RFID運用 | ・タグ読み落とし ・電波干渉 |
- 月1読取テスト:読取率チェックでアンテナ位置を微調整 - 通信環境確認:ルーター再起動・チャンネル変更でノイズ回避 - リフレクタ付きタグ:金属棚でも読み取り安定 |
入出庫管理で生じる課題とその対処法②
デジタル化を「スマホ×無料アプリ」で小さく始める
無料バーコードリーダーアプリを導入、入出庫時にスマホで読み取り、スプレッドシートへ自動転記ができます。
●無料バーコードアプリ
-
「QR & Barcode Scanner」:スマホのカメラで各種バーコードを読み取り、履歴保存やテキスト・URLの即時共有まで行える無料アプリ
-
「iScanner」:スマホのカメラで紙書類・名刺・QR/バーコードをスキャン、自動補正PDF化・クラウド共有まで行える多機能無料アプリ
●手順
-
GoogleスプレッドシートにApps ScriptのURLを発行する
-
スマホのバーコードアプリにそのURLを登録する
-
スキャンするたび在庫がシートへ自動入力される
無料在庫管理アプリを併用する
在庫管理アプリのフリープランを使い、スキャンデータをクラウドで自動集計します。本格導入の前に、導入コストゼロで在庫差異の可視化・欠品アラートを体験することができます。
ツール導入時はローコスト研修&シンプル運用で定着を促進
無料オンライン研修動画を活用
-
ベンダー公式チャンネルYouTube の操作動画を共有することで、座学コストを削減できます。10~15分の短尺動画を業務スキマ時間に視聴し、習熟度チェックをクイズ形式で実施します。
A4・1枚の運用ルールから
-
自己流の作業はスキャン漏れやダブルカウントのリスクを高めます。「スキャンしてから在庫を移動する」、「エラー時は赤ペンで台帳にメモを残す」といった運用ルールをA4の紙1枚程度のボリュームに抑えて作成します。
-
現場の声のフィードバックを実施し必要に応じてルールを徐々に細分化します。
ステップアップ計画を決め、投資判断をミスなく
無料ツールで入出庫管理を運用を始めたら、「誤入力率」と「棚卸工数」を記録します。改善率が頭打ちになったら、高度な管理ができるRFIDなどデジタルツールの導入を進めます。
効果測定→小さな改善→再測定を繰り返すことで、最小コストで入出庫 DX を加速できます。
ステップ | 具体策 | 期待できる効果 |
---|---|---|
① 無料バーコードリーダーアプリを試す | スマホにインストールして入出庫時に商品コードをスキャン | ・用紙転記が不要になり入力ミスを大幅に削減 ・スキャン履歴が自動でタイムスタンプ付き保存 |
② 無料の在庫管理アプリを併用 |
在庫数をクラウドで一元管理できるフリープランを活用 |
・スキャンデータをそのまま在庫表に自動反映 ・欠品アラートや履歴検索で棚卸作業を短縮 |
③ 成功を確認後、RFIDやハンディターミナルへ拡張 | 小規模 PoC(概念実証)で費用対効果を可視化してから本格導入 | ・人的工数を最大 70% 削減 ・誤差ゼロに近いリアルタイム在庫可視化 |
導入ツールの比較と選定のポイント
入出庫管理ツールの選択肢をニーズ別に3段階にわけ、導入するかどうかを決定する判断ポイントをまとめました。
ニーズ | 選択肢 | 判断ポイント |
---|---|---|
初期費用を極力かけたくない・まず仕組みを試したい | スマホ用バーコードアプリ+無料在庫アプリ | 自社スマホで動くか/読み取り精度/クラウド共有の有無 |
部分的にデジタル化したい | ハンディターミナル or フリープランSaaS | レンタル可否/月額×想定台数/既存Excelとの互換性 |
将来的に全社展開したい (多拠点・多SKU) |
高機能SaaS/重量IoT(例:スマートマットクラウド) | API連携/スケール課金方式/サポート体制 |
高機能ツールの選定チェックリスト
入出庫管理の精度向上や管理の規模を拡大する上で高機能ツールを選択する場合のチェックポイントをあげました。
- 総保有コスト (TCO):初期+月額+メンテ費を 3 年分で試算
- 学習コスト:無料動画やA4要約マニュアルで賄えるか
- データ精度 KPI:導入前後で「誤入力率」「棚卸工数」を必ず計測
- 拡張シナリオ:拠点・SKU増でも追加投資が線形か逓減か
- サポート:無償チャット or 有償オンサイト、社内体制に合うか
重さで入出庫履歴を記録する重量IoT
バーコードが貼れない消耗品や頻繁に出入りする部材でも、重量IoTなら“載せるだけ”で入出庫を自動検知。配線工事なし・Wi-Fi接続だけで始められるため、中小現場でも無理なく低コストで入出庫管理のデジタル化が実現します。
●さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
●在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
●置く場所を選びません
スマートマットはサイズ展開豊富。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
●API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
スマートマットクラウドによる入出庫管理改善事例
スマートマットクラウドの機能を活用して、入出庫管理のありかたを改善した製造業の事例をご紹介します。
化学製造業の薬品管理事例
毒劇法対応のため 500品目超の化学品・250種の試薬を都度計量し在庫・使用量を記録する必要があり、現場DXが進む中でも薬品管理が完全にアナログ運用でした。
使用のたびに手計量→紙帳票→管理職承認→月1棚卸(半日作業)という多重フローが、研究員・管理職それぞれに月数時間〜半日の負荷を発生。
高温多湿の環境下で大量の試薬を量り続ける業務は肉体的にも厳しく、研究開発スケジュールと両立しづらい避けられない苦役となっていました。
●スマートマットクラウドによる解決
スマートマットクラウドが約350品目の毒劇物を自動計量しAPI経由でスプレッドシートに記録することで、紙帳票は不要となりました。承認・照合も同シート上で一括処理できるようになり、月1回半日かかっていた棚卸が数分で完了しています。
自動計測により記録漏れや転記ミスが消え、管理精度を高めつつ作業負荷と高温作業時の労災リスクを大幅に低減しました。
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。