- タグ方式・リスト方式:低コストだが人件費・転記ミスの負担が残る
- バーコード方式:スキャンによる自動集計。手入力や転記は不要になるが、対象をスキャンする作業自体は残るため、点数が多い現場ではスキャン工数が負担になる。初期コストがかかる場合も
- IoT重量計:載せるだけで重量変化から在庫数を自動計測。粉体・液体・小物など、バーコード管理が難しい在庫にも対応可能
在庫管理術

棚卸(たなおろし)とは、企業が保有する在庫の数量・状態を実際に確認し、帳簿上のデータと照合する作業です。決算や経理処理に欠かせない業務であり、法人税法・所得税法上も実施が義務づけられています。
「棚卸って結局何をすること?」
「いつ・どのくらいの頻度でやるもの?」
「棚卸資産とは何が違うの?」
——こうした疑問を持つ方に向けて、本記事では棚卸の意味・目的・実施タイミングをまず簡潔に整理し、そこから会計処理・実務手順・効率化まで、知りたい内容ごとに詳しい記事へ進めるハブとして機能する内容にしています。
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棚卸とは、保有している在庫(商品・原材料・仕掛品など)の実際の数量・状態を確認し、帳簿上の在庫データと突き合わせる作業を指します。「棚卸し」とも表記され、英語では「Inventory」または「Stocktaking」と呼ばれます。
コンビニ・スーパー・アパレルショップ・飲食店・薬局などで「棚卸のためお休みします」という告知を見かけることがあるように、業種・業態を問わずあらゆる企業に必要な業務です。

棚卸を行う目的は、大きく4つに整理できます。
■ 在庫の数量・状態を正確な把握
在庫の総数や品質を確認し、在庫金額(資産としての価値)の算出
■ 売上原価の割り出し
正確な売上原価の算出による、純利益や経営状態の把握
■ 滞留在庫・不良在庫の早期発見
長期間動きがない在庫や品質に問題のある在庫を見つけ、過剰在庫や財務リスクを防ぐ
■ 盗難・不正の早期発見
帳簿と実在庫の差異から、紛失や盗難といったリスクをすばやく察知できる
棚卸を怠ると、正確な利益把握が難しくなり、経営判断そのものの精度が落ちてしまいます。
棚卸の実施タイミングは、法律上の要件と実務上の目的により、以下のように整理できます。法的には決算期(年1回)の実施で問題ありませんが、在庫回転が速いビジネスほど、月次・四半期での実施が一般的です。
| タイミング | 内容 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 年次棚卸(決算期) | 法人税法・所得税法で義務付けられている、年1回の棚卸 | 貸借対照表・損益計算書の作成 |
| 月次・四半期棚卸 | 在庫回転が速い業種(小売・飲食・製造業など)で実施 | 棚卸差異の早期発見、不正防止 |
| 循環棚卸 | 在庫を範囲に分けて順番に実施 | 現場負担を分散させながら精度を維持 |
📢 棚卸の基本はここまで。目的別の詳細はそれぞれの記事へ進みましょう。
棚卸を正しく理解したい方(会計・実務)と、今のやり方を変えたい方(効率化・テンプレート)とでは、この先で読むべき記事が変わってきます。目的に合わせてお選びください。
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棚卸のやり方には、大きく分けて「実地棚卸」と「帳簿棚卸」の2種類があります。
この2つには「会計処理上の算出方法(帳簿棚卸)」と「現場での実務行為(実地棚卸)」という役割の違いがあり、どちらか一方に統合されるものではありません。それぞれの詳しい解説・違いの比較は以下で行っています。
特徴:決まったタイミングで実際に在庫を数える方法です。実物を目視で確認するため、計上精度が高いという特徴があります。
注意点:営業を止めて実施する必要があるため、営業停止や、人の手で数えることによるミスが発生しやすいという側面もあります。
実地棚卸を詳しく見る →
特徴:入出庫記録を常に帳簿やシステムで更新する方法です。常に最新の在庫数を把握することで、緊急時の資産算定が容易になります。
注意点:入力ミスが続くと、実際の在庫数との差異(棚卸差異)が大きく広がってしまうリスクがあります。
帳簿棚卸を詳しく見る →
棚卸は、一般的に次の5ステップで進めます。
数え間違い・入力ミス・転記ミスといったよくあるミスは、保管場所の整理整頓やダブルチェック体制、ハンディターミナル・IoT機器の活用で防止できます。
ステップごとの詳しい進め方、循環棚卸・一斉棚卸との使い分けは以下で解説。
棚卸しのやり方・手順を徹底解説|準備から差異処理・効率化まで
ステップごとの詳しい進め方、循環棚卸・一斉棚卸との使い分けは以下で解説しています。

棚卸によって確認した在庫は、決算書上「棚卸資産」として計上され、「いくらで評価するか」という評価方法の選択が必要になります。税務上(法人税法)では原価法・低価法の2種類が認められており、上場企業等が適用する会計基準(企業会計基準第9号)では2008年以降、実質的な低価法が強制適用されています。
評価方法の具体的な選び方、棚卸資産回転期間・回転率の計算式、貸借対照表への計上位置、そして低価法の結果生じる評価損の扱いなど、会計・資産の視点は上記の参照記事に集約されています。
また棚卸を行うと、不良在庫・滞留在庫・棚卸差異(帳簿と実在庫のズレ)が見つかることもあります。こちらは原因別の対処方別に、それぞれ以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
棚卸は「数える苦行」になりがちな業務ですが、バーコード・RFID・IoT重量計などの技術を使うことで、大幅に省力化できます。
株式会社エスマット
代表取締役
林 英俊
棚卸は「苦行」から「利益を生む時間」へ
月末の棚卸しほど、現場の心と体をすり減らす作業はありません。何千種類もの材料を一つ残らず数え、紙に手書きし、エクセルに打ち込む。途中で話しかけられ「どこまで数えたっけ」と最初からやり直す——そんな現場を、私は数多く見てきました。
ですが、IoT重量計で「数える」苦行から解放されると、浮いた時間は設備メンテや部品配置の改善へと向かい、日本の現場が本来持つ「自発的な改善のアイデア」が次々と生まれ始めます。棚卸は削るべきコストであると同時に、利益を生む時間へ転換できる業務なのです。
効率化・自動化の比較や、実際の課題別の解決方法は以下で詳しく解説しています。「棚卸の効率化はもう限界?」はIoT重量計に特化した内容、「棚卸システム」はさまざまなシステムを網羅した内容となっています。

現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」。マットの上に載せるだけで在庫を自動検知し、クラウド上でデータ管理・自動発注まで行います。
仕入先ごとの発注メール文面設定、在庫最適化AIエージェントよる改善提案、冷蔵・冷凍対応、API/CSV連携など、現場の運用に合わせた機能を備えています。
スマートマットクラウドを導入して、棚卸の作業効率や精度を向上した事例をご紹介します。
A. 棚卸は「たなおろし」と読み、英語では「Inventory count」「Stocktaking」「Physical inventory」などと表現されます。簡単に言うと、「今、実際にどれだけ在庫があるかを数えて、帳簿の数字と合っているかを確認する作業」のこと。決算や日々の経理処理に欠かせない業務です。
A. ビジネスの現場では、棚卸しは単なる在庫確認にとどまらず、「売上原価の算出」「決算書の作成」「不正・盗難の早期発見」といった経営管理上の重要な意味を持つ用語として使われます。
A. 一般的に「①在庫リスト・備品の準備 → ②ロケーションごとのカウント → ③棚卸表・システムへの記入 → ④ダブルチェック → ⑤在庫数の確定・経理への引き継ぎ」という流れで進めます。目的は、在庫の正確な把握、売上原価の算出、滞留・不良在庫の早期発見、盗難・不正の早期発見の4つです。詳しい手順は棚卸のやり方・手順を徹底解説で解説しています。
A. 法的には決算期(年1回)に実施すれば問題ありません。ただし、在庫回転が速い業種(小売・飲食・製造業など)では月次・四半期での実施が一般的です。IoT在庫管理システムを導入すれば在庫数をリアルタイムで把握できるため、定期棚卸の負担を大幅に軽減できます。
A. まず数え間違い・入力ミス・盗難・廃棄漏れなど原因を特定します。差異が確定したら、会計上は「棚卸減耗損」または「棚卸減耗費」として処理します。税務上は正常な範囲の減耗は売上原価に算入し、異常な減耗は別途損失計上が必要です。

ネット書籍でしか販売されていない「在庫管理の教科書」は、在庫管理アドバイザーとしての実務経験とコンサルティングのノウハウをまとめた著書。
在庫管理の課題別にまとめた、「在庫を知る」、「現品管理」、「データ管理」、「棚卸」、「システム導入」の5冊が販売されています。「在庫管理のことが体系的に学べた」「現場ですぐに活かせる内容だった」「現状で抱えている問題を解決できた」など、読者から高評価の声が数多く見受けられます。
専門家コラムを書いた人

株式会社エスマット代表取締役 兼 製造DX協会代表理事
林 英俊
京都大学大学院を修了後、ローランドベルガーに入社し、戦略コンサルタントとして製造業を中心にコンサル業務に従事。その後、Amazon Japanに入社し、新規事業立ち上げ・プロダクトマネジメントを経て、2014年にエスマット創業。代表として経営全般を舵取りしつつ、事業立ち上げなどグロース中心に実務も担う。製造DX協会の代表理事として、業界レベルのDX・IoT・AI関連の発信も従事。三重大学リカレント教育の講師も担う。 初の著作「日本の現場力が輝く、人中心のDX」を2026年上梓。