棚卸

棚卸（たなおろし）とは

棚卸（英語：Inventory）は、実際の商品在庫数を数え、在庫総額を計算する業務のことです。コンビニやスーパー、アパレルショップ、飲食店、薬局などで「棚卸のためお休みします」という告知を見かけることがあるように、実務的にも重要かつ手間のかかる作業です。

一方で、正確な棚卸の実施は、企業の財務状況や利益計算、経営戦略にも大きく影響します。この記事では、棚卸の基本から、経営層が注目すべき戦略的意義、実務担当者が押さえるべき具体的手順・注意点、さらには最新の自動化技術についても解説します。

在庫総額: 在庫品の数量×単価などを掛け合わせ算出する合計金額。企業の資産として計上される。

 

 棚卸の目的と重要性

棚卸を行う理由

在庫の数量や状態を正確に把握する

棚卸では在庫の総数や品質を正しく確認し、在庫金額を算出します。これにより、企業が保有している資産の規模を明確にできます。

売上原価を割り出す

売上原価を正確に計算することで、純利益や経営状態を把握できます。棚卸資産の評価を正しく行うことが必須です。

滞留在庫や不良在庫を把握し、過剰在庫を防ぐ

長期間売れ残っている商品や品質に問題がある在庫を早期に発見し、財務リスクを回避します。

盗難や不正の早期発見

棚卸によって、紛失や盗難などの在庫リスクをすばやく把握できます。つまり棚卸を怠れば、純利益の把握が困難になり、経営の根幹を揺るがす恐れがあります。

棚卸は年度末や決算期に行う場合が多いですが、店舗形態や業種によっては月次・四半期での定期的な棚卸を実施する企業も少なくありません。

棚卸が経営層にもたらす戦略的な意義

経営指標に与える影響

棚卸によって手に入る正確な在庫データは、仕入れ計画や在庫コスト削減、機会損失の防止など、企業の収益性に直結します。例をあげると、過剰在庫が続けばキャッシュフローが圧迫され、不良在庫が増えれば利益率が下がります。一方、在庫不足に陥れば、販売機会を逃し、収益を取りこぼすリスクが高まります。

経営層は棚卸結果をもとに、こうしたリスクヘッジの意思決定を行う必要があります。

棚卸資産回転期間と他の主要指標との関連

棚卸資産回転期間は、在庫がどれくらいの期間で販売されるかを把握する指標です。

【棚卸資産回転期間の計算式】
棚卸資産回転期間（日） = 棚卸資産 ÷ 1日あたりの売上原価
1日あたりの売上原価 = 売上原価 ÷ 365日

経営層は、売上高・売上原価・粗利率と合わせて棚卸資産回転期間をモニタリングし、購買戦略や販売戦略に反映するとよいでしょう。

リスク管理と内部統制の強化

 

棚卸の目的とやり方

 

実地棚卸（Periodic Inventory）

実地棚卸とは決まったタイミングで営業を止め、実際の在庫を数える方法です。

帳簿棚卸（Perpetual Inventory）

帳簿棚卸とは入出庫記録を常に帳簿やシステムで更新する方法です。

タグ方式・リスト方式・バーコード方式・IoT重量計など

関連記事：棚卸システム＞＞

不良在庫・滞留在庫と会計処理

不良・滞留在庫の仕分け・評価

棚卸を行うと、不良在庫や長期間動かない滞留在庫が発見されることがあります。これらの在庫は資金を圧迫するため、早期に仕分けを行い、再利用や廃棄、評価損の計上を検討します。

会計処理と関連法規の参考情報

会計処理には 企業会計基準第9号「棚卸資産の会計処理に関する会計基準」などが適用される場合があります。

税務上は法人税法や所得税法に則って評価損を計上するなど、届け出の要否が生じることもあります。

参考文献・引用元

棚卸の具体的な手順とミス防止策

【図解】棚卸手順の流れ

ポイントを押さえて棚卸をミスなく・効率的に行えるようにしましょう。

よくあるミスと防止策

棚卸スケジュールと在庫管理システムの導入効果

年次・月次・四半期での棚卸サイクル

年次棚卸

決算期（年度末）に実施する棚卸です。貸借対照表や損益計算書の作成に直結します。

月次・四半期棚卸:

在庫回転が速いビジネスや、不正防止を重視する企業に最適です。定期的に在庫を確認し、棚卸差異を最小化できます。

在庫管理システム導入のメリット

 

 

棚卸へのIoT・AIの最新技術の活用事例

 IoT重量計「スマートマットクラウド」の導入メリット

在庫をマットの上に置くだけで重量計測から自動で在庫数を算出できる棚卸システムです。特に粉体・液体・小物など、バーコードでの管理が難しい在庫で威力を発揮します。

 

RFIDやハンディターミナルでの管理が難しければ「IoT重量計」を活用

 

ICタグや識別コードをハンディターミナルやRFIDなどで読み取る方法は、全ての在庫にタグ等を貼り付ける必要がある上、貼り付け不可な形状の在庫も。さらにハンディターミナルやRFID専用リーダーは、導入費用が高くなる傾向にあります。

RFIDは一括読み取りが可能なツールとは言え、扱っている在庫数量や商品数が多いほど、ミスが発生しやすくなり、作業する人の労力やプレッシャーも大きくなってしまいます。

 

 

棚卸業務をIoT重量計で大幅削減！スマートマットクラウド

 

現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。

あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます

さまざまな自動発注に対応

お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です

在庫圧縮を促進

推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します

置く場所を選びません

スマートマットはサイズ展開豊富。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。

API・CSVでのシステム連携実績も多数

自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。

 

棚卸の現場負担削減に貢献した導入事例

 

棚卸に関するQ&A

Q1. 経営層：棚卸にコストをかける価値はありますか？

• A. 棚卸の正確性は、財務諸表の精度や投資判断に影響します。過剰在庫を抱えるリスクや機会損失を防ぐだけでなく、内部統制や監査対応の強化にも貢献し、結果的にコスト以上の効果が期待できます。

Q2. 実務担当者：効率的な棚卸の方法はどのようなものでしょうか？

• A. 自社の取り扱い品目や導入コストに応じ、バーコード方式やIoT重量計などのツール導入を検討しましょう。ヒューマンエラー削減と作業時間短縮が同時に実現できます。

在庫管理や棚卸の疑問がまるっと分かる「在庫管理の教科書」

 

ネット書籍でしか販売されていない「在庫管理の教科書」は、在庫管理アドバイザーとしての実務経験とコンサルティングのノウハウをまとめた著書。

在庫管理の課題別にまとめた、「在庫を知る」、「現品管理」、「データ管理」、「棚卸」、「システム導入」の5冊が販売されています。

「在庫管理のことが体系的に学べた」「現場ですぐに活かせる内容だった」「現状で抱えている問題を解決できた」など、読者から高評価の声が数多く見受けられます。