在庫管理術
医療現場のDX推進|病院での進め方や導入が進まない場合の対応策とは

この記事では医療機関でのDX化の進め方、医療機関でDX化が進まない理由と対応策、を解説します。医療機関でのDX化に必要な在庫削減・在庫適正化を効率化するIoTサービスや医療機関のDX化の取り組み事例もご紹介します。
医療DX推進の目的と背景
背景に人手不足
医療・介護分野では慢性的な人手不足と長時間労働が深刻化しており、現場職員の負担軽減とサービス品質の両立が急務です。そこで注目されているのが、IoTやAI などのデジタル技術を活用して業務を抜本的に刷新する DX(デジタルトランスフォーメーション) です。
※DX:デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略。IT化や、IoTやAIなどのデジタル技術を活用。デジタル技術を使いこれまでとは異なる新しい便利なビジネス形態を実現すること
政策面の後押し
自由民主党政務調査会は 2025年5月に「医療DX令和ビジョン2030」を公表し、
- クラウド型電子カルテの標準化
- 医療情報プラットフォームの整備
- オンライン診療・電子処方箋の普及
といった工程表を提示しました。さらに2024年度診療報酬改定では、
医療DX推進体制整備加算が新設され、マイナ保険証の利用率などを評価指標に加算点数が決定されます。これにより、DXに取り組む医療機関ほど収益面でもメリット を得られる仕組みが整いました。
医療DXの進め方【手順と優先順位】
医療機関のDX化をどう進めるか
デジタルソリューション導入を検討している医療機関は、導入にあたって具体的にどのような手続きを踏めば良いのでしょうか。簡単にまとめてみました。
- 課題の把握
- DX化の優先順位づけ
- 導入ソリューションの決定
- 導入
- オペレーション見直し
①課題の把握
まず病院内の課題を洗い出し、一覧にします。
現場で特に大きな課題が見えていない場合も、以下の項目に該当する業務はDX推進の効果が高いため、重点的に確認しましょう。
- 手動で行っている定例業務
- システム間の連携を手動で行っている業務
- 報告書や部門間共有が必要な業務
- 長時間労働になっている部門の業務
- 離職率が高い部門の業務
②優先順位付け
課題が把握できたら比較してどこからDX化をすすめたら良いのかを決定します。
これからDXに本格的に取り組む場合は、日常的な業務のデジタル化の優先が現場の理解が得られやすく、DX化推進成功の近道となります。日常的な業務のデジタル化の例をピックアップしてみました。
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電子カルテ:診療報酬明細書や処方薬情報をデジタル化。レセプト業の効率化や他機関との情報共有や連携を簡単にする
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予約システム:診察のオンライン予約。診療情報を提供し、電話応対の回数、患者の診察待ち時間を削減する
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自動発注システム:医療材料、薬剤、消耗品在庫を自動で発注。在庫確認や発注書作成・送付の手間をなくす
③導入ソリューションの決定
優先順位に従い、スタッフの働き方改革や業務標準化等、病院内の課題を解決できるソリューションを選択します。
比較検討する際には、初期費用や年間利用費に注目しがちですが、システムを利用するためのスタッフ教育にかかるコストや、実際の運用に必要な作業量も確認しましょう。
④導入/⑤オペレーションの見直し
運営のオペレーションを決め環境を整備してから、DXサービスを導入します。導入後は定期的に効果を測定し、オペレーションの見直しを続けていきます。
医療DX化の遅れと対応策
病院のDXが進まない理由
どの業界でもDX化が十分に進展しているとは言えませんが、日本では特に医療分野での遅れが目立っています。日本能率協会の調査ではDXに「積極的に取り組む」と回答した病院は20%未満にとどまっています。ここでは、医療現場でDX化が進まない理由とその対策をまとめました。
IT人材が不足している
DX化が進まない理由として多くの病院が、IT人材不足を理由にあげています。病院では、医師以外の職種にも専門職が多く、IT機器の操作に不慣れなスタッフがいます。そのため、運営が安定するまでIT人材を育成する期間として、導入に時間を費やすことが求められます。
予算が制限されている
DX化の意欲はあるが予算が制限されているという点は病院共通の大きな課題です。
DX化と聞くと病院の業務全てを網羅しサポートする大掛かりなシステムの構築や入れ替えをイメージしがちですが、それだけがDXではありません。
対策として単純な事務作業の自動化で、DX化のスモールスタートを切る方法があります。スタッフが治療をはじめとする重要業務の中断を余儀なくされている業務、かつ経営インパクトの大きな業務をデジタル化するIoTの導入からDX化することをおすすめします。
医療DX「スマートマットクラウド」で本業に集中
在庫管理システム「スマートマットクラウド」は、病院の医療の質向上に貢献できるソリューションです。これまで病院の在庫管理は診療の合間を縫って、スタッフが手作業で医療材料や新消耗品の数を数え発注するという方法が主流でした。
限られた時間で目視で在庫を確認、手作業で発注を出すため、診療に必要な在庫を欠品させてしまうリスクがありました。在庫管理バーコードシステムを導入済みの病院であっても、コードを読み取るために倉庫まで行く必要があり、作業が中断されるという課題は残ったままでした。
スマートマットクラウドは、病院内の在庫をマットの上に載せるだけで自動計測し、適切なタイミングで発注まで完結させる在庫 IoTソリューションです。DXをこれから始める医療機関でも 設備投資・現場教育・運用負荷を最小限に抑えて導入できます。
重量センサーが在庫数をリアルタイムで把握し、そのデータをクラウドへ自動送信するため、スタッフが棚卸や二重入力に費やす手間はありません。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
診療に専念できる環境作りに貢献し、医療の質を向上させる在庫管理システムとして、幅広い診療科目の病院で導入が進んでいます。
さまざまな自動発注に対応
「スマートマットクラウド」は、メール・FAXに加え、医薬品やディスポーザブル製品の受発注などに広く使われている標準商品コード「メディコード」を使ったAPI連携により、貴院で現在お取引のある主要ディーラーに対し自動で発注を行うことができます。
スマートマットのサイズはサイズ展開豊富
- 倉庫室のラック上
- 診療エリア備え付けの棚の中
- 引き出しの中
貴院のスペースや使用状況、導線に合わせた設置が可能です。
医療現場での導入成功事例
スマートマットクラウドは、現在多くの医療機関に導入いただいています。病院での導入事例をご紹介します。
(参照)
自由民主党「『医療DX令和ビジョン2030』の実現と医療DXの進化に向けた提言」
中央社会保険医療協議会 「医療DX推進体制整備加算の施設基準等の見直しについて」
日本能率協会「病院経営課題の実態調査(2024)」
厚生労働省「病院における医療情報システムのサイバーセキュリティ対策に関する調査」
厚生労働省「電子処方箋の普及拡大に向けた対応状況」
株式会社エスマット 「在庫管理と発注の自動化で院内スタッフの業務負荷を軽減」導入事例
株式会社エスマット 「多忙な訪問診療でも“置くだけ”管理で欠品や過剰在庫を大幅に削減」導入事例
この記事を書いた人

スマートマットクラウド 医療メディア編集部
医師をはじめとする医療従事者、医療業界の課題に精通している日本最大級の医療情報専門サイト 「m3.com」出身のライターが、医療業界の課題から業務効率化・DX推進までわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。