在庫管理術
電子秤で効率化する棚卸と在庫管理|種類・機能・事例

在庫管理に欠かせない電子秤。重さから個数を算出でき、棚卸や検品を効率化する一方で限界も存在します。
本記事では電子秤の種類や機能、選び方から現場事例まで詳しく解説します。
電子秤を使った在庫管理とは?
在庫管理の現場では、電子天秤・デジタルスケール・台はかりといった電子秤を活用して棚卸や日々の在庫チェックを行う方法が広く用いられています。
電子秤は内部にロードセルと呼ばれるセンサーを搭載し、物体を載せると生じる重さを電気信号に変換、デジタル数値として表示します。
これにより、g(グラム)・kg(キログラム)・mg(ミリグラム)等の単位で重さを確認し、在庫数を正確に把握することができます。
在庫管理において電子秤が特に役立つのは、重量から個数を算出できる点です。
例えば「1個あたり10g」のネジを基準重量として登録すれば、まとめて秤に載せるだけで自動的に個数が表示されます。
これにより手作業で1つずつ数える必要がなくなり、棚卸業務や出荷前の検品工程の生産性と正確性を飛躍的に高めることができます。
電子秤の種類と用途
精密電子天秤
0.1gやmg単位まで測定できる高精度のモデルです。研究室や医療現場での試薬・検査資材管理に利用されます。
台はかり
数kgから数百kgまで対応できる大型タイプの秤です。製造現場や物流倉庫で資材や部品箱の棚卸に使われます。
汎用デジタルスケール
店舗やオフィスでの小物部品や消耗品のチェックに便利です。コンパクトかつ安価で気軽に導入ができます。
電子秤の主な機能
個数計機能
基準重量を登録し、個数を自動算出する機能。部品を一度に数えられるため、棚卸や仕分け作業の効率化に活用されています。
風袋引き機能
容器やトレイの重量を差し引いて純粋な在庫重量を表示する機能。トレーやケースごと秤に載せて計測する作業を効率化します。
データ通信機能
計測したデータをパソコンやプリンタにデータを転送する機能。計量結果を自動で記録し、在庫管理システムや品質管理システムに取り込むことで、手書き記録によるミスや作業負担を削減します。
パーセント表示
基準値と比較して差分比率を判定する機能。材料の配合比管理やコーティングやめっきの厚み確認、乾燥・含水率のチェックなど、製造プロセスの品質管理・配合比管理に役立ちます。
コンパレータ機能
測定値と設定した許容範囲と比較し、良否を判定する機能。部品や製品の重量検査に用いられ、規格外のものを即座に判別してラインから外すなど、品質保証のプロセスで活躍しています。
「重さを測る」ことは単なる数量管理を超え、安定した品質を支える役割も果たせることを知っておいてください。
電子秤の選び方
最大ひょう量と最小目量
在庫管理用の電子秤を選ぶときは、最大ひょう量と最小目量のバランスを確認することが大切です。
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最大ひょう量:その秤で量れる一番重い重さ
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最小目量:どこまで細かく表示できるか
例えば「最大3kg・最小目量0.1g」のモデルであれば、数kgまでの荷重に対応しつつ、0.1g単位で表示するモデルで、ネジや小物部品、軽量な資材の在庫管理に向いています。
校正方法
さらに、校正方法も重要なチェックポイントです。
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手動校正タイプ:定期的に分銅を使って自分で調整する
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自動校正タイプ:内部に補正機能を内蔵していてボタンひとつで精度を維持できる
日常的に使うなら、自動校正タイプのほうが便利で安定性も高いでしょう。
使用環境に適したモデルか
使用環境も考慮が必要です。工場や倉庫など粉塵や湿気の多い現場であれば、IP65以上防塵・防水規格に対応したモデルや、錆びにくいステンレス製の構造が安心です。
研究室やオフィスでの利用なら、風防と呼ばれるカバーが付いたモデルを選ぶと気流や静電気による誤差を防止できます。
通信機能の有無
最後に、通信機能の有無も確認しましょう。RS-232C、USB、Bluetooth対応の秤であれば、測定したデータを在庫管理システムやパソコンに直接転送できます。手入力の手間や記録ミスを防ぎ、棚卸のスピードと精度を大幅に向上できます。
電子秤を利用した在庫管理の課題
棚卸に便利な電子秤ですが、在庫管理全体を最適化するには限界があります。
作業負担が大きい
在庫を確認するたびに人が持ち上げて秤に載せる必要があります。作業負担が大きく、特にガロン缶のような重量物では腰痛やけがのリスクがあり、現場安全の観点でも課題があります。
データ記録・共有に工数発生
電子秤には通信ポートを搭載している機種もありますが、多くはデータ共有機能はオプションで、追加コストが発生します。データ記録を手動で行うことが多く、入力ミスや遅延が生じやすくなります。
在庫最適化の仕組みがない
電子秤自体には発注や在庫最適化の仕組みがありません。現時点の数量を知るだけにとどまり、いつ発注するか、どのくらいが適正在庫かといった判断は人が担わなければなりません。欠品や余剰を防ぐという観点で限界があります。
進化した在庫管理ツール、IoT重量計
こうした課題を解決できるツールがIoT重量計です。電子秤と同様に重量を計測しますが、IoT重量計は在庫を載せたまま24時間常時計測し、データを自動的にクラウドに送信します。
これにより、手動で都度棚卸を行う必要がなくなり、在庫データは常に最新の状態で共有されます。さらに、発注点を設定しておけば、在庫が閾値を下回った際にアラートを出したり、自動発注を実行することもできます。自動的に蓄積されるデータがたまると、AIが在庫推移を分析し、在庫最適化の提案を受け取ることができます。
IoT重量計で在庫最適化「スマートマットクラウド」
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、クラウドにデータを蓄積することで在庫状況をリアルタイムに把握できる「スマートマットクラウド」。専用のIoT重量計に管理したい物品を載せるだけで、設置が完了します。
従来の電子秤の弱点であった作業負担を解消し、作業の安全性、在庫管理の効率性・精度を同時に高めることができます。
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能。既定の閾値を下回ると自動で発注やアラートを送るため、スムーズな在庫補充が行えます。
在庫圧縮を促進
重量データに基づく消費推移グラフで在庫を可視化。適正な安全在庫の見直しがカンタンにできるため、過剰在庫を減らし在庫回転率の向上を支援します。
置く場所を選びません
スマートマットはサイズ展開が豊富で、ケーブルレス&防塵・防水仕様のため、冷蔵庫・冷凍庫内での管理も可能。狭い倉庫や屋外など、設置場所を選ばずに使用できます。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、データを自動で送り合うことで在庫管理や発注に関わる業務の効率化・自動化をさらに高めます。
電子秤による管理課題を解消した事例