在庫管理術
クラウド×在庫管理【クラウドならではの特徴やメリットを活用するには?】
サーバーが提供するさまざまなサービスをインターネットを介して利用できる「クラウド」。ソフトウェアのインストールやデバイスを変更時におけるデータ移行の手間を省き、クラウド内での自動バックアップやアクセスの利便性に優れた特徴を持ちます。
そのため、ECサイトやコミュニケーションアプリ、ビジネスでもさまざまな業務システムに利用されています。在庫管理システムにもクラウドを利用することで、オンプレミスのパッケージソフトにはない形態のサービス提供が可能。この記事ではクラウドを使った在庫管理システムについて、具体的なシチュエーションを交えて説明します。
クラウドとは?分かりやすく解説
インターネットを通じて「やりたいこと」を実現できるサービスの提供形態が「クラウド」です。クラウド*1を使ったサービスには情報伝達をはじめ、購買・ビジネス業務処理・クリエイティブ関連などさまざまなコンテンツがあります。
クラウドはサーバーやストレージといったインフラの設置・運用は不要です。またクラウドが提供するサービスの種類によっては、開発環境やソフトウェアなどのコンピューター資源を持つ必要がありません。
使いたいクラウドサービスのアカウントを保有し、インターネット環境さえ整っていれば、いつでもどこでも、どのような端末からでもサービスを利用できるのがクラウドの特徴です。
*1:クラウドは通信端末がコンピューターの仕組みを持つ必要があるため、クラウド・コンピューティングとも言う。つまり超小型化したコンピューターに通話機能を持たせたスマートフォンでクラウドは利用できるが、小型化した電話機にインターネットとメールの閲覧機能を持たせただけのガラケーでは利用できない。
SaaSとの違い|クラウドのエンドユーザー向けサービス
「SaaS」と「クラウド」のどちらも用語を知ってはいても、違いを正しく説明できる人は少ないでしょう。SaaSとはクラウドサービスの種類のひとつであり、他にはPaaS・IaaSがあります。
さまざまなデータを許容するサーバーやストレージといったインフラを土台とし、レイヤーを重ねることで、クラウドサービスに種類の違いが生じます。インフラの土台だけあるのがIaaS*2、それに開発環境を重ねたものがPaaS*2、ソフトウェアやアプリといった階層を重ねた最終形態がSaaSです。
身近なECサイトやメッセージアプリ、SNSなどはSaaSに含まれます。またビジネスにおいても購買システムや経理システム、在庫管理システムがクラウドを使ったサービスであれば、SaaSです。エンドユーザーとして利用者が最も多いのが「SaaS」となるでしょう。
*2:IaaSやPaaSは、専門知識を有したエンジニアが目的に沿ったシステムを構築・実装する際に導入する。物理的にサーバーを設置・運用する必要がなく、セキュリティが保証され、システム構築の自由度が高いことがメリット。反面、エンジニア技術が必須、開発期間が必要となるというデメリットもある。
オンプレミスとの違い|クラウドの対抗馬
オンプレミス*3とは自社でサーバーを保有し、必要なIT機器やシステムも自社で調達・運用するコンピューターシステムの利用形態のことです。必要なシステムは自社のエンジニアが構築・実装するか、目的に沿ったソフトウェアのライセンスを購入し、PCにインストールして利用します。
オンプレミスは限られたユーザーだけでインフラを利用する「閉じられたネット環境」であるため、セキュリティの点で非常に優れています*4。現在、オンプレミスを進んで利用するのは、銀行や証券会社、軍事施設・官公庁といったところでしょう。
対して、サーバーのストレージ容量やシステムの拡張機能やアップセルを、必要に応じて増減することは簡単にはできません。そういった点での自由度は低く、運用コストもかかるため一般的な企業でオンプレミスを好んで使うことは少ないでしょう。
*3:「オンプレミス」は2006年にクラウドが普及し始めてから、それ以前の利用形態を示す用語として造られた。クラウド以前は、自社でサーバー・IT機器・システムを第三者を介さず保有・運用する利用形態が一般的であった。
*4:オンプレミスを十分に利活用できる環境ならば、基本的にセキュリティはクラウドより優位性を保つ。但し、充分な運用コストが掛けられない場合はその限りではない。現在のクラウドセキュリティはオンプレミスとほぼ同等。
クラウドサービスの在庫管理システムを利用するメリット
情報をいち早く、少ない工数で共有できる
クラウドサービスの在庫管理システムは、通信環境さえ整っていれば、アカウント保有者はいつでも、どこでも、またどんな端末からでもアクセス*5することが可能です。
そのため入出庫数の処理を倉庫で完結でき、また顧客との商談時に在庫数の確認が可能ならば、迅速な納期回答に繋がります。手持ちの端末からカンタンに操作できれば、伝票の書き起こしや回収作業、メールのやり取りなど煩雑な工数が大幅にカットされます。
更新された情報はリアルタイムで確認でき、また在庫量の変動履歴や入出荷・入出庫予定のデータも全て共有可能。関係者全体で在庫データの見える化ができるため、クイックに必要なアクションを起こせます。
*5:通常、セキュリティの観点で「個人のスマホや個人IDからはアクセスNG。フリーWi-FiではアクセスNG」等の一定の社内規定はある。
システム専任スタッフやコスト・運用工数を抑制できる
クラウド型の在庫管理システムを運用するために、専任スタッフを置く必要はほぼありません。最低限必要なのは、在庫管理システムのサプライヤーの窓口となる人間です。
スタッフを増員しても、所持させるPCや端末にシステムのソフトウェアをインストールする必要はなく、専用アカウントを渡すだけでOK。一般的なPC操作ができるなら、誰でも使いこなせる仕様のシステムが圧倒的な数に昇ります。
また在庫管理システムの機能拡張を構築・実装したり、バグ修正を自社で行なったりする必要もありません。そのため、運用に関わる工数やコストを削減できます。
ストレージ容量やスペックを必要に応じ増減可
クラウドサービスにおける在庫管理システムは、自社の在庫管理に必要なストレージ容量や機能を選ぶことが可能です。つまり、取り扱う在庫の量や種類、システムで統括したい業務種別の範囲に応じたスペックを選べます。
管理したい在庫量や種類、統括したい業務種別が増減すれば、それに合わせてスペックの契約変更が可能です。またスペックに限らず、新規の在庫管理システムへの刷新や併用についても、契約のキャンセルや変更だけで済むクラウドサービスならではの身軽さがあります。
但し、その多くが定額制の支払い形態であるクラウドサービスですが、在庫管理システムは他の業務システムと比較すると、初期の導入コストが掛かることは覚えておきましょう。
というのも、実際のモノ自体を管理するためのバーコードリーダーやハンディターミナル・在庫監視カメラ・RFIDタグ・ICタグ読み取り機器・IoT重量計などのプロダクトが必要となってくるからです。
シンプルで分かりやすいサービスが多く現場導入もカンタン
在庫管理には、現場の利用者や店舗への品出しなどモノの入出庫、搬入・検品から梱包・搬出するスタッフ、出荷・配送・発注を手配する指示系統、さらには棚卸など、さまざまな業務やスタッフが関わります。
そのため誰にでも分かりやすく、シンプルで使い勝手のよいサービスが数多く提供されています。日常的にPCに触れない現場スタッフでもシステム導入に拒否感を持たないように、端末のアプリやカメラスキャンは使いやすい仕様であることが多いようです。
クラウド活用でユーザーの利便性を追求する「スマートマットクラウド」
当社の「スマートマットクラウド」はクラウドを介し、IoT重量計が自動計測した在庫量を上位システムに転送するSaas型の在庫管理システムです。
重さや重量変化を検知するIoT重量計(スマートマット)の上に管理したいモノを載せるだけ。クラウド上で個数や割合を算出し実在庫データを記録、管理します。
また重さから実在庫数を計測し続け、データはクラウドに自動保存。計測したデータを起点に、入出庫・棚卸・発注などあらゆる在庫管理業務を効率化するシステムです。
クラウドで記録・管理されている実在庫データはPCの管理画面に表示されるため、遠隔管理が可能です。在庫数量の確認のために、移動したり、モノを動かしたり、数えたりする必要はもうありません。
インターネットでどこでも在庫管理
管理画面はPCだけでなく、タブレット端末でも利用可能。PCと同じ管理項目を扱え、また遜色のない操作性を兼ね備えています。さらに初期設定や入出庫処理ができる「SMC Handy App」を提供。タブレット・スマホ端末からその場で必要な処理をサッと行えます。
実際のモノやモノの流れを見ながら情報の処理・更新が行えるため、より精度の高い在庫情報がリアルタイムに更新、全体共有されます。営業マンやリモートワーカーは信頼性の高い在庫情報が確認できるので、より迅速な業務遂行に寄与します。
クラウドを活用したSaas型在庫管理システムならではのフットワークの軽さが魅力。また弊社では倉庫や保管庫、製造現場における資材の一時仮置き場や配膳棚などネット環境がない拠点に、通信環境を整えるサービスも提供しています。
クラウドサービスの本領発揮。最新機能の提供
クラウド経由で機能のアップデートを実施。スマートマットクラウドの導入から年数が経っても、常に最新機能をカンタンに利用できます。またスマートマットクラウドの利用拡大・拡張に沿ったアップセルにも、クラウドを介すれば容易に対応可能です。
在庫を24時間365日、遠隔かつリアルタイムに監視
スマートマットクラウドは、予め1日に行う計測回数を決める「自動計測」、もしくは重量変化を捉えると即時に計測する「リアルタイム計測」により、実在庫データの監視が可能。24時間365日、遠隔かつリアルタイムに在庫を監視できるシステムです。
SaaS型システムで在庫管理工数の全てを超効率化
スマートマットで計測したデータを起点に、「賢いクラウド/Saas型システム」であらゆる在庫管理工数を効率化。入荷・入出庫・出荷などの在庫データの変動記録だけではなく、棚卸や発注に至るまでシステム内での処理が可能です。
特に発注は予め決めておいた閾値を下回ると、自動発注もしくは発注アラートを送信。自動発注する際には購買先の仕様に合わせて、FAXやメールを自動送信します。
在庫管理に関わるさまざまな工数を自動で行うため、人的労力やヒューマンエラーを大幅削減。在庫管理の超効率化に貢献します。
データ量を気にせずカイゼンに繋がる履歴を蓄積
自動記録される在庫データはそのままクラウドで保存。過去60日以上のデータが蓄積されると、最適閾値や発注点をAI分析によりリコメンドしてくれます。また消費履歴データを基に「過剰消費」や、在庫変動や発注履歴のない「不動在庫」をいち早く検知して異常アラートを送信します。
また自動で在庫データの推移グラフを作成し、過剰・安全・不足範囲を3色で色分け表示。適正在庫の維持や在庫圧縮によるキャッシュフローの正常化など、さまざまなカイゼンに取り組むことが可能です。
「スマートマットクラウド」で在庫管理の超効率化に成功した事例
この記事を書いた人
スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。