在庫管理術
3定【3定とは?進め方と定着のポイントを確認】

3定(定位・定品・定量)は、現場の整頓を支える基本であり、在庫管理のムダ・トラブル・属人化を防ぐ有効な手法です。
本記事では3定の意味や導入のコツ、近年のデジタル活用動向に加え、定着支援に役立つ在庫管理システムも紹介します。
3定とは
「3定(さんてい)」とは、在庫管理や現場改善におけるの整頓の実践手法のひとつで、定位・定品・定量の3つの原則から構成されます。
- 定位(ていい)・・置く場所を定める
- 定品(ていひん)・・置くものを定める
- 定量(ていりょう)・・置く量を定める
これら3定を実践することで、「誰が見ても、どこに何が・どれだけあるか」が一目でわかる状態を創出します。もともとは5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)のなかでも「整頓」に含まれる考え方のひとつ。3定は在庫のムダ・取り違え・過剰在庫を防ぐ基本的な管理方法として一般的に知られています。
近年では、IoT機器やクラウド技術を活用し、3定の一部をデジタル化・自動化する動きがしばしば見られます。
例1:IoT重量計による定量の可視化
例2:端末-クラウドでの情報ネットワークによる定位の把握(ロケーション管理)
3定管理の目的とは?
3定管理の目的は、誰がみても在庫の状態がよく分かるようにすることです。
そのためには、置き場所(定位)、品目(定品)、在庫量(定量)を決め、それらが誰の目にも明確になるよう「見える化」された状態に整備・表示する必要があります。
一方で、3定が徹底されていない現場では、情報共有の不徹底や俗人的な判断がいつでも起こりかねません。そうなると在庫管理が乱れ、会社全体の利益低下に繋がる可能性があります。
現在では、IoT機器やクラウドシステムを用いて、「3定の見える化」を自動で実現する手段が増えてきています。
定位とは
定位とは、「どこに在庫を置くか」を明確に定めることです。単に置き場所を決めたり、表示したりするだけに留まらず、誰が見てもひと目でその場所がわかるように表示・ルール化するような運用面も重要です。
基本的に定位は、以下のようなステップで表示体系を整えます。
- 1. エリアマップの作成(フロア全体の配置)
- 2. 棚や保管場所の識別番号付け(例:棚番5-A列-3段目)
- 3. ネームプレートやラベルで明示(資材名・品番)
また、近年ではデジタル棚札やARタグ、棚卸連携システムを用いた「動的な定位管理」も導入が進んでおり、現場の状況に応じたより柔軟な定位管理ができるようになっています。
定位は、単なる整理整頓ではなく、作業ミスや時間ロスを未然に防ぐ仕組みづくりとして、継続的な見直しやマネジメントが求められます。
定品とは
定品とは、「どの場所に、どの商品・資材を置くか」を事前に決定することです。
その最たる目的は、「誰が作業しても同じモノが同じ場所に置かれ、迷わず使える状態を保つ」ことで、ピッキングミスや滞留品の発生を防ぎます。
定品を設計する際には、以下のポイントを考慮するのが望ましいです。
- 作業工程との整合性・・使う人・現場の近くに配置されているか
- 種類の分類・・材料・工具・備品などカテゴライズされているか
- 使用頻度・・頻繁に使うモノは取り出しやすい場所にあるか
管理方法としては場所を固定して運用する「固定ロケーション管理」と保管物品に応じて柔軟に保管場所を変える「フリーロケーション管理」があります。
消費予測が難しい選択部品を扱う現場や在庫変動の激しい現場、高回転商品のある店舗や倉庫では、ITやデジタル技術を活用した運用が益々、実用的になってきています。
保管場所の整合性
原則的には、よく使う場所の近くで在庫を保管しましょう。作業場所は作業工程の流れにそって決まるので、保管場所と作業工程が一致するように設定することは、生産性の向上にも直結します。
種類の分類
原料・工具・保全品・備品など、種類ごとに分けて保管することで、ピッキングや使用の際に迷わず、ムダな時間や動作の排除になります。
使用頻度
使用頻度の高いものから取り出しやすい位置に配置するのも重要です。一方で、使用頻度の低いものは定位が徹底されていないケースもあるので、返却・保管の際には置き場所の情報が分かりやすく・再確認しやすいことも運用のポイントです。
定量とは
定量とは、在庫ごとに「どのくらいの量を置くか」、予め決定することです。これは欠品を防ぎつつ、過剰在庫やスペースのムダを産まない適正な在庫量を維持することを目的としています。
定量で大切なのは、一度決定すれば終わりではなく、実際の消費量や調達リードタイムをもとに定期的に見直すべき指標ということです。
定量の初めて設定する場合、以下のような基準を参考にしましょう。
- 平均消費量・使用頻度
- 発注リードタイム
- 棚の耐荷重や保管スペース
- 緊急時の調達可否
近年では、クラウド在庫システムやIoTセンサーの導入により、消費動向の見える化や自動記録によって定量の精度を高める取り組みも広がっています。 特に、属人化を避けるためにも、定量設定をチームで共有し、システム的に統一・維持する仕組みの整備が重要です。
3定のメリット
3定(定位・定品・定量)を現場に定着させることで、以下のような実務的なメリットが期待できます。
- 作業の標準化と属性の排除
- 異常への早期気づき
- 作業効率の向上
- 外部評価・信頼の向上
- データ活用の基盤づくり
① 作業の標準化と属性の排除
誰が作業しても、同じ手順でモノを取り出し、戻せる状態をつくることで、業務の属人化を防ぎ、教育時間の短縮や引き継ぎの円滑化にもつながります。
② 異常への早期気づき
必要なモノが「いつもと違う場所にある」「数量が足りない」などの異常が、目視ですぐにわかる状態になるため、紛失・在庫切れ・誤出庫などの事故を未然に防ぎやすくなります。
③ 作業効率の向上
モノを探す、迷う、戻すといった無駄な動作を削減することで、1人あたりの作業スピードと品質が向上し、全体の生産性改善に貢献します。
④ 外部評価・信頼の向上
整った現場は、顧客や取引先・監査担当など外部の目にも好印象を与えやすく、品質管理体制への信頼感にもつながります。
⑤ データ活用の基盤
3定が整っていると、在庫データの正確性が担保されやすくなります。これにより、将来的にデジタル機器やクラウドを導入する際の「整った状態からのスムーズな移行」も可能となり、DX基盤づくりとしても有効です。
3定を定着させるコツ
3定は「形だけ導入しても続かない」とよく言われます。現場で本当に定着させるには、“使う人にとって便利”と実感できる状態にすることが重要です。
定着させるには以下のような工夫が効果的でしょう。
① 視覚的にわかりやすくする
3定は見るだけで置き場がわかるようにすることが基本。物品のシルエット表示やラベル貼付、色分け表示などで「どこに何があるか」を明確にするべきです。
近頃では、写真付きの保管場所マニュアルや端末からのロケーション案内、掲示板アプリの活用も増加しつつあります。
どちらも工具や機械など共有される物品の管理に最適で、新人もベテラン同様、置き場所・置くもの・置く数がひと目で分かる手法です。
② オープン収納で管理する
引き出しやキャビネットの中を避けて、視界を遮らないオープンな場所での管理を基本にしましょう。探す・開ける・戻すといったアクションを最小限にすることで、ムダを省き、ルールも自然と守られやすくなります。
③ ルールを定期的に見直す
生産工程や作業内容が変わることで、保管場所が適さなくなれば、随時新たに保管場所を選定しましょう。また取り扱う資材の変更や刷新があればネームプレートや共有システム内の品名なども同期してアップデートするべきです。
担当者任せにせず、定期的に部署・チーム単位でルールや運用方法について見直すとよいでしょう。
④ 維持管理にITを活用する
保管場所の管理表や在庫のチェックリストをExcel・共有フォルダ・クラウドメモなどで一元管理したり、一元管理機能が備わっている在庫管理システムを活用したりすることは有効です。
また、タブレットやスマホなどの端末から誰でも情報がアクセスできるようにすると、現場間の情報連携が格段にスムーズになります。
3定管理が続く在庫管理システム|スマートマットクラウ」
3定を職場に定着させるには、以下のような悩みにより「分かっていても継続できない」現場の壁をどう乗り越えるかが重要です。
- 管理ルールを作っても、現場全員に浸透しない
- 「使った人が戻す」「ラベルを変える」といった作業を手間に感じ、継続しない
- 在庫数や置き場所が担当者の記憶に依存している
スマートマットクラウドで「3定の仕組み化」を実現
スマートマットクラウドは、モノの下に設置するIoT重量センサーとクラウドシステムを組み合わせ、在庫の変動を自動で検知・記録できる在庫管理ツールです。
置き場所にモノを載せるだけで、「どこに」「何が」「どれだけ」あるかが自動で記録・可視化されるため、3定の基本を“人の意識に頼らず、仕組みで支える”ことが可能になります。
■ 主な特長
- 在庫数量の自動検知・記録で、定量管理の属人化を防止
- 置き場所の明確化・履歴表示により、定位・定品の可視性を向上
- グラフや通知による変動把握で、異常や滞留にもすぐ気づける
- 自動発注や他システム連携で、現場と管理部門の業務効率化にも対応
3定を現場に根づかせるためには、“続けやすい仕組み”を取り入れることが何より大切です。 スマートマットクラウドは、そうした継続の障壁を取り除くツールとして、3定実践の力強い味方となります。
●さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
●在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
●置く場所を選びません
スマートマットはA3サイズ〜A6サイズまでの4サイズ展開。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
●API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。