病院・クリニックで行われている在庫管理の方法
医療現場で実際に行われている在庫管理の方法を紹介します。
定数管理
医療現場は在庫切れを回避するために、定数管理を基本として物品管理をおこなっています。
定数管理とは部署ごとに医療材料や医薬品の保管する数を決める管理方法で、部署で使った数をカウントし、定数になるように補充をします。
かんばん方式
あらかじめ物品にカードやラベルシールを取り付けます。使用時にラベルをはずして回収し、使用した物品を識別する方法です。物品の定数管理を効率よくおこなうため使われています。
発注担当者や用度課、中央材料室では、集まったラベルを集計して発注を出します。かんばん方式は製造業でよく使われる手法で、ラベルの代わりに物品の空き箱で代用することもあります。
医療用物品管理システムやSPD業者もこの仕組みを利用して物品を管理しています。
かんばん方式による物品管理には
- ラベル貼り付けの手間が発生する
- ラベルの回収もれがある
- 集計の手間が発生する
- 物品を使用した時から、発注を出すまでタイムラグが発生する
等の課題があります。
ノート・物品管理表を使った発注
在庫が切れそうな物品が発生したら、その都度在庫管理ノートや物品管理表に書き出し、担当者はノートを見ながら発注を出す方式です。
かんばん方式の在庫管理と併用されるケースもあります。
ノートや物品管理表を使った発注は、手作業でおこなうため、
- 記入もれや書き間違いが発生する
- 発注忘れが発生する
- 二重発注が発生する
- 記入から、発注を出すまでタイムラグが発生する
等の課題があります。
SPD業者・SPDシステムの利用
SPDとは、医療現場で使用する物品の選定、購入、数量や品質管理、物流を行う業務のことをいいます。 病院のSPDの形態は次の3つがあります。
- SPD専門の部署を設け自院でSPDを運用する
- 物流管理をSPD業者に委託し、物品調達は自院でおこなう
- 物品管理・調達ともにSPD業者に委託する
医療現場で扱う物品管理業務をSPD部門やSPD業者が専門に行うことで、診療スタッフや受付・経理部門は本来の自分の業務に集中できる、大きなメリットがあります。
自院でSPD部門を運用すると、システムの導入や運営、採用や人件費がかかり、SPD業者に委託すると委託料が発生します。 コストとメリットをかんがみて、物品管理・調達ともに病床数の多い大病院はSPD業者に一括して委託する方法、中小規模はSPDシステムを導入し、自分達で物品管理をおこなう方法が主流になりつつあります。
→ SPD業務の詳しい説明はこちら
在庫管理システム・IoT機器の利用
SPD業者やSPD部門に管理を委ねる方式をとっても、各部署内に持つ在庫が発生し数量確認の手間が発生します。 また個人クリニックは費用面からSPD部門の設置や全面的な業者委託が難しい、という現実があります。 SPD部署のある病院の在庫管理をさらに効率化し、自院での在庫管理を省力化する役目を果たすのが在庫管理システムやIoT機器です。
IoT(アイオーティー)とは、Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット」という意味があります。
IoTには、センサーが搭載されており、モノの状態や周辺環境といった情報を感知・収集し、インターネットを介して、それらのデータを人やモノに伝えます。
重量センサーで重さを測る仕組みで、医療現場での在庫管理を自動化するIoT製品をご紹介します。